【2022年4月5日(火)2面】 音楽は心を一つにする―。コロナ禍ですさんだ気持ちを少しでも打ち消してもらおうと、地域との交流、自衛隊のPRを目指す音楽隊などの活躍は貴重だ。「音楽まつり」となると、音楽隊だけでなく、太鼓や合唱などを受け持つ隊員たちも参加し、音楽隊とともに舞台を盛り上げる。「音楽まつり」への参加、そして、音楽隊本来の定期演奏会の開催。エンターテインメント性たっぷりに趣向を凝らすと思えば、素晴らしい音色で魅了する。住民たちにあすへの活力を与え、笑顔を取り戻してもらうため、奮闘する部隊の報告を特集する。
歌唱、花笠踊りなどで魅了
<山形>陸自6師団(師団長・鬼頭陸将)は2月27日、やまぎん県民ホール(山形市)で「希望~心ひとつに~」をテーマに、「第17回第6師団音楽まつり」を開催した。音楽まつりは、一般公募を取りやめ、招待者に限定した。
6音楽隊(隊長・濱中2陸尉)による国歌演奏、師団の活動紹介映像に合わせた「天と地の恵み」で幕を開け、第1部は、師団ラッパ隊による統制されたドリル演奏、船岡駐所在の「船岡さくら太鼓」による力強い和太鼓演奏、20普連の華やかな「山形花笠踊り」、20普連重迫撃砲中隊の橋本陸士長によるギター弾き語りと音楽隊の合同演奏など、統制美あふれる演奏・演技で来場者を魅了した。
第2部では6音楽隊が、「高度な技術への指標」、トランペットソロの映える「翳(かげ)りゆく部屋」、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島県南相馬市立小高中学校の卒業生が、その思いを歌詞につづった「群青」を6音楽隊の隊員3人が歌うなど、会場全体が温かい雰囲気に包まれた。
フィナーレでは、明るい未来に向かって前に進んでいくという意味を込めて「にじ」を演奏。6音楽隊の隊員が歌い、出演者と来場者が心ひとつに盛り上がり、幕を閉じた。
20普連(連隊長・荒木1陸佐)は、音楽まつりに連隊から花笠踊り23人、師団隷下部隊で編成されたラッパ隊に4人、各種勤務員8人が参加。自衛官らしい力強くキレのある花笠踊りを実施した。
また、公演終盤には重迫撃砲中隊の橋本陸士長が、Wherever you are/ONE OK ROCK、ラブ・イズ・オーヴァー/欧陽菲菲、マリーゴールド/あいみょん-の3曲を歌い上げ、ギターの心地よい音色とともに美声を震わせ、観衆をくぎ付けにしていた。
花笠踊りに踊り手として参加した3中隊の川口3陸曹は、「初めての参加だったが、事前訓練で準備を万全にして本番に臨むことができた。緊張したが、20連隊の花笠踊りを楽しんでもらえてよかった」と述べた。
ギター弾き語りで出演した橋本士長は「ステージに立つ時は緊張したが、とても楽しく演奏することができた」とコメントしていた。