【2022年3月11日(金)1面】 国の令和3年度「原子力総合防災訓練」に参加した岸田文雄首相(左手前から2人目)。関係自治体などと連携を取るなどして取り組み、緊急の記者会見や原子力災害対策本部、非常災害対策本部合同会議を行った=2月11日、首相官邸(写真は「首相官邸ホームページ」から)
約2200人が参加
東北電力女川原子力発電所(宮城県女川町、石巻市)の重大事故を想定した国の原子力総合防災訓練は2月10日から3日間、宮城県のほか、自衛隊、警察、関係7市町などから約2200人が参加して行われた。訓練が同原発で実施されるのは初めて。新型コロナウイルスの感染拡大で、予定していた住民400人の参加は見送られた。
女川原発は、東日本大震災の震源地に近い牡鹿(おじか)半島に立地する。
宮城県原子力安全対策課によると、訓練は(1)原子力災害発生時における関係機関の防災体制や相互連携に係る実効性の確認(2)各種計画やマニュアルなどに基づく手順の確認―などが目的で、緊急時の通信連絡、県災害対策本部運営、女川地域の緊急時対応に基づく手順などを確認した。
訓練は、宮城県内で最大震度6強の地震と津波が発生、運転中の女川原発2号機が緊急停止。外部電源が喪失するなどし、全面緊急事態となったとの想定で行われた。
10日午後3時すぎ、原子力安全対策課に東北電力から一報が入り、原子炉が冷却不能となったとして、政府が原子緊急事態宣言を出し、自衛隊航空機やヘリなどで国や県の要員を現地に搬送。また、首相官邸や県、自治体、県女川オフサイトセンターをテレビ会議システムで結ぶなど、政府と連携した各種会議を行った。
とくに、女川地域の緊急時対応では、初動態勢、避難計画に基づく防護措置について実施手順の確認や検証を行ったほか、東日本大震災の経験を踏まえ、複合災害時を想定。初動対応、避難所や避難経路の確保、実動機関との連携などについて、情報伝達方法や対応手順を確認した。
訓練では、原発から半径5キロ圏内の住民らに必要な除染措置を施した上で、30キロ圏内の避難所に移送する手順や、避難所運営における感染症流行時の防護対策も検証した。