【2022年2月17日(木)1面】 航空自衛隊小松基地(石川県)所属のF15戦闘機が1月31日、基地を離陸直後に日本海に墜落した事故で、航空幕僚監部は2月14日までに、現場周辺の海中から乗員2人を発見した。F15には、小松基地に所属する航空戦術教導団飛行教導群トップの群司令、田中公司1空佐(52歳)が前席に、飛行教導群教導隊隊員の植田竜生1空尉(33歳)が後席に搭乗しており、2人の死亡が確認された。防衛省は今後、設置している航空事故調査委員会で墜落した事故原因などを調べる。
垂直尾翼、引き揚げへ
空幕の発表によると、2月11日、海自の捜索活動中に1人を発見。海自艦艇が小松基地に搬送し、死亡を確認した。また、同13日にも1人を発見して収容。同基地に搬送し、死亡が確認されたという。
事故は1月31日午後5時半ごろ、戦闘訓練に向かう途中だったF15戦闘機が同基地を離陸した直後、基地の西北西約5キロ付近の海上で、小松管制隊のレーダーから機影が消えた。
海空自と海上保安庁が救難用のヘリコプターや航空機、艦艇、巡視船などで捜索したところ、付近で機体の外板の一部や救命装備品などが浮いているのを発見した。
基地を離陸した直後、管制官がF15が向かった方向でオレンジ色の光に気付き、無線で呼びかけたものの応答はなかった。また、乗員が脱出した際に発信される救難信号は確認されていなかったため、F15で離陸直後に何らかのトラブルが発生し、海上に墜落したものとみて2人の捜索と救助に全力を挙げていた。
現場周辺の海域では、F15の垂直尾翼の大部分が見つかっており、空自は2月15日から、民間のサルベージ船による引き揚げ作業を行った。
岸大臣「かけがえのないパイロット失った」
岸信夫防衛大臣は2月15日の記者会見で、F15戦闘機が墜落し、乗員2人が死亡した事故について次のように述べた。
「痛恨の極みだ。謹んで哀悼の意をささげるとともに、ご家族の皆様に対し心よりお悔やみを申し上げる。2人が所属していた飛行教導群は、日本の空を守る戦闘機パイロットを指導する役割を担い、最精鋭のパイロットが集う部隊。その中でも2人は極めて優秀なパイロットとして、先輩や後輩からも慕われ、信頼され、活躍していた。あの日も2人は、厳しい夜間訓練を指導するために飛び立った直後の事故。地元の皆様にご心配、ご不安をおかけしたが、防衛大臣として、かけがえのないパイロットを失ったことは筆舌に尽くしがたいものがある。防衛省として、2人の命を失ったという重大な結果を重く受け止め、事故の原因究明と再発防止策に全力をかかげる」
井筒空幕長「優秀な操縦者2人を亡くし、痛恨の極み」
空自トップの井筒空幕長(空将、元小松基地司令)は2月14日、F15戦闘機の墜落事故で乗員2人が死亡したことについて、「操縦者2人のご冥福を心よりお祈りするとともに、ご家族の皆様にお悔やみを申し上げる。今回の事故で、空自の優秀な操縦者2人を亡くしたことは痛恨の極み。空自としては、航空事故調査により原因究明をするとともに、同種事故防止に努め、飛行の安全に万全を期す」とのコメントを発表した。