【2022年2月3日(木)1面】 新型コロナワクチンの感染拡大に伴う3回目の接種を加速させるため、自衛隊が運営する東京の大規模接種が1月31日午前8時すぎ、東京都千代田区大手町の「大手町合同庁舎3号館」で再び始まった。同日から2月5日までの予約は開始9分で埋まり、大阪会場も2月7日に再開する。東京、大阪両会場ともに7月31日までの接種を予定しており、昨年、大きな成果を挙げた自衛隊による「国家的プロジェクト」が再び動き出した。
今回は米モデルナ製のワクチンを使用。全国の18歳以上が対象で、接種や予約には自治体が発行する接種券が必要だ。
この日、接種に来た人たちは、自衛隊の医官の問診に続き、接種を受けていた。
また、防衛省・自衛隊は同日、公式ツイッターで接種の開始に合わせ、「国民の皆様に安心して接種いただけるよう、官民で協力して取り組んでまいります」と伝えた。会場には、岸田文雄首相も視察に訪れた。
防衛省によると、東京会場の接種枠は、2月5日までは1日あたり720人、6日の会場改装を経て同7日の週に1日5000人程度に接種能力を拡大する。7日から13日までの予約は、1月31日午後6時から受け付け、同15分までに満了した。
また、東京会場では昨年、同じ3号館で1日あたり1万人に接種したが、今回はエレベーターが老朽化していることなどから上層階が使えないため、1階と屋外のプレハブを使用している。
一方、大阪会場は大阪市中央区の民間ビル「八木ビル」で2月7日から1日960人に接種する予定。
自衛隊は昨年5月24日から11月30日まで設置された東京、大阪の大規模接種センターで延べ約5万人の隊員が計191日間にわたり、一日も休むことなく接種業務に従事し、国内全体の約1%に当たる延べ約196万回の接種を実施。岸信夫防衛大臣が「地方自治体のワクチン接種を国として強力に後押しし、国民全体のワクチン接種に大きく寄与できた」と評価した。
しかし、その後、変異株「オミクロン株」による感染の再拡大で再開が決まった。また、3回目接種が始まる中、全国的に遅れが指摘されており、加速させるねらいもある。
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防衛省では再開に先立つ1月30日、東京会場で鬼木誠防衛副大臣出席の下、運営に携わる自衛隊の医官、看護官、民間の看護師ら約30人が集まり、編成完結式が行われた。同省は「自治体のワクチン接種に係る取り組みを後押ししていく」としている。