【2022年1月25日(火)1面】 岸信夫防衛大臣は1月18日の閣議後会見で、外国での災害や騒乱など、緊急時に自衛隊機による外国人だけの輸送を可能にする自衛隊法改正案を今国会に提出する方針を明らかにした。自衛隊機による外国人だけの輸送を可能に

 「在外邦人等の輸送」を規定している現行の自衛隊法84条の4は、輸送対象を「邦人」と定め、外国人の同乗も認めている。しかし、退避させる際に日本人が1人もいない場合、自衛隊機の派遣ができない。

 昨年8月、アフガニスタンでイスラム主義勢力「タリバン」が政権を掌握した際、退避を希望した日本人は1人だけで、希望者の多くは首都カブールの日本大使館や国際協力機構(JICA)で勤務するアフガン人スタッフとその家族らだった。

 このため、改正案では、こうした現地スタッフらは日本人がいなくても輸送できるようにする。岸大臣は会見で「自衛隊として予想される危険を回避するための方策を講じた上で、現行の規定を改正したい。わが国のために同じ志を持って働いてきた仲間である外国人の輸送など、所要の改正を盛り込む予定だ」と述べ、細部を調整中であるとしている。

 岸大臣によると、現行の規定では、民間機での輸送が可能な程度の安全な場合にしか自衛隊を派遣できないような誤解を生じることなどから、岸田文雄首相から改正を検討するよう指示を受けていた。こうしたことなどから、「安全な実施」を輸送の要件としている文言も見直す方針だ。


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