【2022年1月11日(火)1面】 防衛省は1月5日、同日午前8時7分ごろ、北朝鮮の内陸部から弾道ミサイルの可能性があるものが東方向に発射されたと発表した。6日、記者会見した岸信夫防衛大臣によると、「新型弾道ミサイル」1発とみられ、落下したのはわが国の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。6日現在、航空機や船舶からの被害報告などの情報は確認されていない。

 防衛省では、政府、関係機関に対して情報共有を行い、岸田文雄首相に速やかに報告。首相からは、(1)情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うこと(2)航空機、船舶などの安全確認を徹底すること(3)不測の事態に備え、万全の態勢をとること―の指示があった。

 大臣は6日の会見で、今回のミサイルは、最高高度約50キロで、約500キロ飛行し、「これまでに北朝鮮により発射されたことのない新型弾道ミサイルであると考えている」と明らかにした。

 大臣は5日、防衛省内で行った臨時記者会見で、「北朝鮮は令和元年5月以降、これまでに約40発もの頻繁な発射を繰り返している。その目的がミサイル技術の向上にあることは明らか。わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題だ。こうした状況を踏まえ、いわゆる『敵基地攻撃能力』の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後も防衛力の抜本的な強化に取り組む」と述べていた。

2019年以降、発射相次ぐ

 北朝鮮は2019年以降、弾道ミサイルなどを相次いで発射している。

 防衛省によると、19年5月4日から同8月6日まで計4回にわたり、飛翔距離が600キロ程度の「短距離弾道ミサイルA」を発射したほか、8月10日と16日は「同B」を3回(20年3月21日の発射を含む)、また、「同C」を8月24日から20年3月29日まで計7回、10月2日には潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)をわが国のEEZ内に発射した。

 21年には新型とみられるミサイルを繰り返し、発射。3月25日の「新型弾道ミサイル」は、北朝鮮が保有しているスカッドの軌道より低く、北朝鮮は「変則的な軌道特性」などと発表した。

 また、9月15日発射の「短距離弾道ミサイル」の飛翔距離は、19年以降では最長の750キロ程度で、変則的な軌道を飛翔していたほか、同28日の弾道ミサイルの可能性がある飛翔体は、北朝鮮が「新たに開発した極超音速ミサイル『火星8』型」と発表した。

 さらに、10月19日の新型の潜水艦発射型弾道ミサイル(SLBM)も変則的な軌道で、北朝鮮は「側面機動および滑空跳躍機動をはじめとする多くの進化した操縦誘導技術が導入された」としていた。


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