前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。(今週は12月25日~1月7日までの2週間分をお届けします)
2021年12月25日(土)
自衛隊のベトナム軍支援がスタート
◯防衛省・自衛隊は、ベトナム軍の国連アビエ暫定治安部隊(UNISFA)参加準備への協力を開始した。
この協力では、ベトナム軍がUNISFAで使用する物品の梱包について、12月23日にベトナムに派遣された陸上自衛隊中央輸送隊、陸上総隊中央即応連隊・国際活動教育隊などの総勢27人の隊員が、知見の共有や実技の支援を行っている。
中国艦艇5隻を沖縄本島―宮古島間で確認
◯海上自衛隊は午前0時ごろ、沖縄本島と宮古島の間の海域を北西進する中国海軍クズネツォフ級空母「遼寧」1隻、レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイⅡ級フリゲート1隻およびフユ級高速戦闘支援艦1隻の計5隻の艦艇を確認した。
その後、これらの艦艇は東シナ海へ向けて航行した。5隻の艦艇は、12月20日に沖大東島(沖縄県)の南東海域で確認されたものと同一。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第1護衛隊(横須賀)所属の護衛艦「いずも」により、 所要の情報収集・警戒監視を行った。
※フユ級高速戦闘支援艦(901)の写真はなし
2021年12月26日(日)
「しらせ」が昭和基地へ物資輸送
◯統合幕僚監部は、第63次南極地域観測隊員を乗せて19日に南極の昭和基地に接岸した海上自衛隊の砕氷艦「しらせ」の活動をツイッターで公開した。
しらせから昭和基地への人員、物資の輸送を行い、昭和基地の越冬隊員が出迎える様子などが公開された。
2021年12月27日(月)
「日中防衛当局間ホットライン」、早期開設へ
◯午後4時30分から約2時間、岸信夫防衛大臣と魏鳳和・中国国務委員兼国防部長がテレビ会談を行った。
両大臣は、日中関係や地域情勢について意見を交換。岸大臣は、尖閣諸島周辺海域を含む東シナ海情勢に関し、中国軍や中国海警局に所属する船舶による活動といった個別の事案について指摘しつつ、力を背景とした一方的な現状変更の試みに反対するとともに極めて深刻な懸念を伝達し、中国側に強く自制を求めた。
また、台湾情勢についても言及し、台湾海峡の平和と安定は日本の安全保障にとってはもとより、国際社会の安定にとっても極めて重要であり、日本としても引き続き関連動向を注視していく旨を述べた。
さらに、南シナ海問題について、一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対する旨を伝達したほか、本年2月に施行された海警法についても深刻な懸念を伝達。また、中国の不透明な国防費の増加や戦力の近代化・増強に対しても強い懸念を示した。
その上で、両大臣は、「日中防衛当局間における海空連絡メカニズム」について、その実効性を向上させるため、「日中防衛当局間ホットライン」の早期開設が重要であることを改めて確認。引き続き、両大臣が強いリーダーシップを発揮し、来年内の運用開始を目標とすることで一致した。
海自掃海艇とブルネイの哨戒艦が親善訓練
◯海上自衛隊インド太平洋・中東方面派遣(IMED21)部隊の掃海艦「うらが」と「ひらど」は、ブルネイ王国のムアラ周辺でブルネイ海軍哨戒艦「ダルエーサン」との親善訓練を実施した。日ブルネイ間の相互理解の増進が目的。
防衛省・自衛隊は、「今後も両国の防衛協力関係を強化していく」としている。
2021年12月28日(火)
岸大臣がブルネイ防衛相とテレビ会談
◯岸防衛大臣は午後4時から、ハルビ・ブルネイ第二国防大臣とテレビ会談を行った。
両大臣は、日ブルネイ防衛協力・交流覚書の内容の調整が完了したことを歓迎。その早期署名に向け調整をさらに加速化させるとともに、ハイレベルを含む各種交流、寄港、共同訓練などのプログラムを通じ、引き続き両国防衛当局間の関係を強化していくことで一致した。
また、岸大臣は、ブルネイを中心にASEANが運用しているホットライン(ADI=「ASEAN・ダイレクト・コミュニケーションズ・インフラストラクチャー」)への加入を表明し、ハルビ大臣はこれを歓迎した。
地域情勢についての意見交換では、岸大臣が航行・上空飛行の自由の重要性を強調し、国連海洋法条約をはじめとする国際法の遵守、力を背景とした一方的な現状変更の試みや緊張を高めるいかなる行為にも強く反対していくとのメッセージを国際社会に向けて発信していく必要性について言及した。
また、岸大臣は、北朝鮮による度重なる弾道ミサイルの発射は国連安保理決議違反であり、国際社会全体にとっての深刻な課題であるとの認識を示した。
岸防衛相が選ぶ2021年の漢字は「烈」
〇岸防衛大臣は2021年(令和3年)を振り返り、1年を表す漢字に「烈」を選んだ。
日本を取り巻く安全保障環境は一層厳しさを増し、熾烈なものとなっており、また、2021年夏の熱海での災害派遣や新型コロナウイルスへの対応など、熾烈な活動現場で働く隊員に対する思いが表されている。
2021年12月29日(水)
対馬沖でロシア艦艇3隻を確認
◯海上自衛隊は午後3時ごろ、対馬の北北東約430kmの海域を南西進するロシア海軍スラバ級ミサイル巡洋艦、ウダロイⅠ級駆逐艦、ボリス・チリキン級補給艦の計3隻を確認した。
その後、これらの艦艇は対馬海峡を南西進し、東シナ海へ向けて航行した。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第4航空群(厚木)所属のP1哨戒機、第1航空群(鹿屋)所属のP1哨戒機、第3ミサイル艇隊(佐世保)所属のミサイル艇「しらたか」、第2護衛隊(佐世保)所属の護衛艦「あさひ」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
2021年12月30日(木)
香港、台湾めぐり米中の論戦が激化
◯中国の王毅国務委員兼外相は、新華社通信など国営メディアの共同取材で今年の外交政策を振り返り、米国が「台湾独立」勢力を黙認・奨励し、中国大陸と台湾は不可分とする「一つの中国」原則をゆがめていると主張した。「台湾を極めて危険な立場に置くだけでなく、米国も耐え切れない代償に直面することになる」とバイデン政権をけん制した。
前日の29日には香港の「立場新聞」(スタンド・ニュース)が警察の強制捜査を受け、幹部などが「扇動的な出版物の発行を共謀した」として逮捕された件で、アメリカ政府が「報道の自由の侵害だ」と中国政府を批判。中国外務省は「法治や社会秩序を守るために必要で正当なものだ」と反論していた。
2021年12月31日(金)
岸防衛相「来年も気を引き締めて」
◯岸防衛大臣は、ツイッターを更新し、2021年最後のメッセージを発信した。
日本の安全保障環境について「問題が山積」とした上で、「来年も気を引き締めてまいります」と述べた。
2022年1月1日(土)
陸海空幕僚長が年頭のあいさつ
◯陸・海・空自衛隊は、新年を迎えホームページを更新し、それぞれ幕僚長の年頭のあいさつを掲示した。
陸上幕僚長 吉田 圭秀 陸将
https://www.mod.go.jp/gsdf/about/greeting.html
海上幕僚長 山村 浩 海将
https://www.mod.go.jp/msdf/about/topmessage/
航空幕僚長 井筒 俊司 空将
https://www.mod.go.jp/asdf/about/message01/
2022年1月2日(日)
海自が米海軍主催の「シードラゴン2022」に参加
◯海上自衛隊は2日から、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて米海軍との連携を強化するため、令和3年度米海軍主催固定翼哨戒機多国間共同訓練(シードラゴン2022)に参加している。訓練は20日までの予定で、新型コロナウイルス感染症への必要な対策を行い実施される。
訓練はグアム島周辺の海空域で実施され、海自からはP1固定翼哨戒機2機および人員約50人が参加。海上自衛隊の戦術技量の向上と参加国海空軍などとの連携強化を目的に、対潜戦などを訓練する。
2022年1月3日(月)
年末年始、東シナ海で5回の緊急発進
〇統合幕僚監部によると、年末年始の12月29日、31日、1月1~3日の5日間、東シナ海で領空侵犯のおそれがあったため、航空自衛隊南西航空方面隊などの戦闘機が緊急発進し、所要の情報収集・警戒監視を行った。
防衛省・自衛隊は、「引き続き、わが国の領域と国民の皆様の平和な暮らしを守るため、24時間365日、対応に万全を期していきます」としている。
2022年1月4日(火)
小笠原諸島で震度5強の地震 海自が情報収集
◯午前6時9分ごろ、小笠原諸島近海を震源とする最大震度5強(母島)の地震が発生した。
海上自衛隊第4航空群(厚木)所属のP1哨戒機と第21航空群(館山)所属のUH60J救難ヘリコプターが上空から被害状況を確認した。
大きな被害はなく、航空機は基地に帰投した。
2022年1月5日(水)
北朝鮮が弾道ミサイルを発射
◯防衛省は、北朝鮮が午前8時7分ごろ、同国の内陸部から弾道ミサイルの可能性があるものを東方向に発射したと発表した。
詳細については分析中だが、通常の弾道軌道だとすれば約500km 飛翔し、落下したのは日本の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
防衛省・自衛隊は「情報収集・分析および警戒監視に全力をあげ、公表すべき情報を入手した場合速やかに発表する」としている
北朝鮮の弾道ミサイル(可能性)発射事案後の岸防衛大臣の臨時会見の内容は下記で閲覧できる。https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2022/0105a_r.html
ブルーインパルスが「飛行初め」
◯航空自衛隊松島基地(宮城県東松島市)に所在するアクロバット飛行の専門部隊、ブルーインパルスが令和4年初の飛行訓練を行った。
訓練はT4練習機で行われ、石巻市の金華山付近に向けて5機が離陸。隊列を組みながら、背面飛行や360度回転するなどの訓練を実施した。
松島基地は「本年も隊員一同、任務及び訓練に励み、皆様のご期待に沿えるよう努力して参ります」としている。
2022年1月6日(木)
日豪首相が円滑化協定に署名
◯岸田文雄首相は6日、オーストラリアのモリソン首相とテレビ会議方式で会談し、首相官邸で日豪円滑化協定に署名した。
日豪両国は、7年以上の交渉を経て、ついに日豪円滑化協定に署名。この協定により、自衛隊と豪軍の共同訓練や災害救助などの活動が円滑化され、相互運用性が向上する。日米地位協定を除き、日本が2国間で相手国の軍の法的地位を定めた協定を結ぶのは初めて。
防衛省は「今後も、日豪間の安全保障・防衛協力を新たな次元へと引き上げていく」としている。
北朝鮮メディア、極超音速ミサイル発射と報道
◯北朝鮮の国営メディア「朝鮮中央通信」や朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は、同国が5日に極超音速ミサイルの発射実験を行ったと報じた。国連は北朝鮮に対し、弾道ミサイルや核兵器の実験を禁止している。北朝鮮がミサイル実験を行うのは今年初めて。
5日には、韓国軍合同参謀本部や日本の海上保安庁が、北朝鮮が日本海に飛翔体を発射したと発表。防衛省は、弾道ミサイルの可能性があるとして分析を進めていた。
極超音速ミサイルは、音速の5倍にあたるマッハ5以上の「極超音速」で飛行し、その速さだけではなく、長時間にわたり低い軌道でコースを変えながら飛ぶ特徴があり、探知や迎撃が困難であるとされている。
愛媛で鳥インフルエンザ 250人態勢で対応
◯愛媛県西条市に所在する養鶏場2カ所(合計約22.5万羽)で鳥インフルエンザが発生し、4日午後4時、陸上自衛隊中部方面特科隊長(松山駐屯地・愛媛県松山市)は、愛媛県知事からの鶏の殺処分などの支援に係る災害派遣要請を受理した。
中部方面特科隊を基幹とする対処部隊は、同日午後7時30分から約250人態勢で鳥の殺処分支援と殺処分した鶏の梱包作業を実施した。
今回、鳥インフルエンザが発生した養鶏場は、昨年12月31日に鳥インフルエンザが発生した養鶏場(約13万羽)の近隣で、疫学的に関連があると推測される。
6日午後9時27分、じ後の防疫措置が自治体のみで可能となったことから、愛媛県知事が陸上自衛隊中部方面特科隊長に災害派遣の撤収を要請。自衛隊は全ての活動を終了した。
2022年1月7日(金)
対中抑止力強化へ 日米「2+2」開催
◯午前(日本時間)、岸信夫防衛大臣と林芳正外務大臣は、ロイド・オースティン米国防長官、アントニー・ブリンケン米国務長官との間で、日米安全保障協議委員会(「2+2」)を開催した。
委員会はテレビ会議方式で行われ、4閣僚は、日米が直面する安全保障上の課題について認識のすりあわせを行うとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた今後の協力、日米同盟の抑止力・対処力の強化や地域における安全保障・防衛協力の方向性などについて協議した。
共同発表の内容は、防衛省・自衛隊のホームページで閲覧できる。
https://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/2022/0107a_usa-j.html