【2021年10月15日(金)2面】 米国で今年2月、米空軍の練習機が墜落し、飛行訓練中の空自航空教育集団司令部(浜松基地)所属の学生操縦士=当時(25)=ら2人が死亡した事故で、航空幕僚監部は10月8日、米空軍が公表した航空機墜落事故の調査結果の概要について発表した。
事故は2月19日午後4時40分(現地時間)、米アラバマ州モンゴメリー空港周辺で、ミシシッピ州コロンバス空軍基地所属のT38C練習機が、基本操縦課程の飛行訓練中、アラバマ州モンゴメリー空港への着陸進入時に墜落。学生操縦士と米空軍教官操縦士の2人が死亡した。
調査結果によると、練習機は19日午後4時4分、飛行訓練のため、コロンバス空軍基地を離陸。モンゴメリー空港に着陸するため、滑走路への進入を開始した。
教官操縦士は、進入途中、飛行経路を是正するため、旋回途中で針路の修正を指示した後、適正な速度に減速するよう指示。学生操縦士は、減速のため、両方エンジンの出力設定を最低出力とし、進入を継続した。教官操縦士は、練習機の過度な降下率と速度低下を認識したため、原状の回復を試みたが、練習機は降下を続け、モンゴメリー空港の滑走路進入端から約600メートルの地面に衝突した。
調査結果では、原因として教官操縦士は、学生操縦士が減速のためにエンジンの出力設定を長時間最低出力にしたことへの状況認識が欠如しており、練習機が危険な状況に陥っているにもかかわらず、適切な時期に必要な措置ができなかったため、回復不能な状況にしたとしている。
また、学生操縦士は、練習機の滑走路への飛行経路の修正操作に追われ、実施すべき事項を顧みる余裕を失っており、教官操縦士からの減速の指示により、エンジンの出力設定を最低出力のままとし、その結果、速度の低下、高度の不足および降下率の増加をもたらし、練習機を安全ではない状況にしたとしている。
学生操縦士は、米空軍14飛行教育団の教育課程に入り、平成31年から約2年半の予定で戦闘機の操縦士資格を取得するための訓練を行っていた。