こんにちは、元警察官ゆうきです!
今回は場合によっては重大事案にも発展の恐れもあるDVについてお話しします。
当事者は通報を躊躇いやすいこともありますので周りの方からの声がけも必要になってきます。

1 DVとは?

 DVは「Domestic Violence」の略語であり、直訳すると家庭内暴力となります。

 明確に定義はありませんが日本国内では、「配偶者や恋人など親密な関係にある、又はあった者から振るわれる暴力」という意味で使われることが多いです。 

 近年発生件数は増え続けており、さらには殺人などの重大事件にまで発展する恐れもあることから取り扱いの際には様々な可能性を考慮して慎重に対応する必要があります。

2 関係法令:配偶者暴力防止法

 配偶者からの暴力に係る通報、相談、保護、自立支援等の体制を整備し、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図ることを目的とする法律です。

 ここでいう配偶者暴力とは婚姻届を出していない事実婚も含み、男女の別も問いません。 
 また、離婚後も引き続き暴力を受けることも含みます。

3 DV相談状況等

画像: 3 DV相談状況等

 DVに関する相談件数は年々増加しており、令和2年には82,643件(前年比+0.5%)となっています。
 これは年々メディアでDVが報道されることで認知度が高まっていること、それにより相談しやすい環境が整い始めているからだと思われます。
 また、令和2年の保護命令違反での検挙数は76件(前年比+7%)となっており、刑法犯・特別法犯での検挙数は8,702件(前年比ー4.3%)となっています。

 刑法犯としての検挙はやはり暴行と傷害が大半を占めており、合計で約7,800件となっています。

 男女別については男性が加害者となるケースが76.4%となっており、それに比例して女性が被害者になるケースは約75.9%となっています。

 年齢別については被害者は「30代:27%」「20代:23.4%」「40代:22.9%」に順に多くなっており、加害者は「30代:26.3%」「40代:23.9%」「20代:20.7%」の順で多くなっています。

 この2つのデータから「年上男性から年下女性に対するDVが多い傾向にある」ということがわかります。

4 DV被害者に対する支援制度

画像: 4 DV被害者に対する支援制度

(1)加害者から逃げたい

 加害者からの暴力から一時的に避難する手段として、一時保護があります。
 一時保護とは加害者に知られずに身を寄せる場所が無い場合に、被害者が一時的に避難する手段です。

 対象者:配偶者暴力(交際相手暴力)等から避難する女性及び同伴する子供
 相談機関:配偶者暴力相談支援センターや警察などの相談機関に連絡してください。相談を受けた後、関係機関と連携し一時保護等の対応をいたします。 

(2)加害者が近寄ってこないようにしたい

 加害者から逃れる時などに、加害者があなたに近寄らないようにすることができる保護命令制度があります。
 保護命令とは加害者からの身体的暴力を防ぐため加害者に対し被害者に近寄らないことなどを命じる決定で、被害者の申立てにより、裁判所が決定します。

 対象者:配偶者(事実婚のパートナーを含む)、元配偶者(離婚後も引き続き暴力をうける場合)、生活の本拠を共にする交際相手、生活の本拠を共にしていた元交際相手(別れた後も引き続き暴力をうける場合)から身体的暴力を受けた方や、生命等に対する脅迫を受けた方
 相談機関:配偶者暴力相談支援センター又は警察

(3)経済的支援を受けたい

 加害者から逃れ、新たな生活を始めるにあたり、当面の生活資金を確保する制度として、行政による資金の貸付、各種手当または生活保護制度を利用することができます。

 相談機関:配偶者暴力相談支援センター、区市町村の相談窓口

5 最後に

 DV事案はとても繊細です。
 自分が被害者の立場でありながら誰かに相談するということに配偶者に対して罪悪感を抱いてしまう場合もあります。

 また警察としても間違った判断をすると信用の失墜に関わるので慎重に対応します。

 そこで自分の状況を客観視するため、また円滑に対応できるようにするため被害に遭っている若しくは遭う可能性がある場合は状況を時系列に沿ってある程度まとめておきましょう。

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