あなたの尊敬する人物は誰ですか?
人生の節目節目、面接の際によく聞かれる質問です。私は常々、この質問に対してこのように答えてきました。
「ウィンストン・チャーチルです」
この回答に最もウケてくれたのは高校受験の際の面接を担当してくれた現代国語の松本先生でした。高校入学後にも折に触れこの件でよくいじってくれました。あれから三十数年が経過しました・・・まだお元気でいらっしゃいますか? 松本先生。
大英帝国最後の宰相、救国の英雄、語り継がれる政治家
読者の方はよくご存じのようにウィンストン・チャーチルは首相として、ヒトラー率いるナチスドイツの侵略の魔の手から危機に瀕した英国を救い第二次世界大戦に於ける連合国の勝利を確実とした強力なリーダーシップ、政治力が現代にいたるまで高く評価されています。
しかし、彼ウィンストン・チャーチルの長き人生はいったいどのようなものだったかを知る人は決して多くありません。波乱に富んだ、およそ二度と彼のようなダイナミックな人生を歩む政治家は現れることはないでしょう。
そんなチャーチルの生涯を知るための日本語で読める最良のテキストが本書なのです。
【チャーチル イギリス現代史を転換させた一人の政治家】河合秀和著(1979年 中公新書)
刊行から約40年、現在では増補版6刷を数えるロングセラーです。
新書版ということもあり手に取りやすく比較的ページ数も抑えられているのが長く売れている要因の一つですが、やはりチャーチルに興味のある人ならぐいぐいと読み込ませる筆致・内容が読者の方から高い評価を受けているのだと思います。
本書ではあまり知られていないチャーチルの生い立ちから学校生活(学業は優秀でなかったようです・・・)、士官学校、キューバへの赴任と初めての原稿料、続く帝国領インドでの任務。そして政界へ。といったことにもしっかりとページが割かれています。
政界への進出も最初から順風ではなく落選も経験、やがて英国政界の重鎮たちの知己を得て要職を経験していきます。第一次世界大戦では海軍大臣、しかしガリポリ上陸作戦の失敗の責任を取り辞職。その後長く政界から距離を置きます。
運命の1940年、歴史はついにチャーチルを表舞台に引っ張り上げ活躍をさせる時になりました。時に本人の言葉で語らせる本書は自伝の趣を大胆に取り入れながら、研究者である著者の解説によってチャーチルとその時代を現代の我々に伝えてくれます。
混沌とする現代。
混迷する世界にはチャーチルのような指導者が今こそ求められているのではないでしょうか?ウィンストン・チャーチルとはいったい何者であったのか。知りたくありませんか。
この機会にぜひ読んでみてください。
Books&Café ドレッドノート店主 鈴木宏典
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