日本の防衛基盤を支える企業や研究者にスポットを当てる新コーナー「そこが知りたい! 開発者・技術者たちのSTORY」。

 第1回目は、「FMS調達イージス艦向けソーナー用国産送受波器」の開発で令和元年度「防衛基盤整備協会賞」を受賞した日本電気(NEC)のプロジェクトチームを取り上げる。

 日本電気(NEC)ほか2社の「FMS調達イージス艦向けソーナー用国産送受波器」が、令和元年度の「防衛基盤整備協会賞」を受賞した。どんな技術なのか、受賞のポイントは何か、気になる部分を開発チームにインタビューした。(取材は令和元年12月23日)

画像: (前列左から)電波・誘導事業部の近藤氏、山本氏、西山氏 (後列左から)同大高氏、山口氏、宇宙・防衛営業本部の原氏

(前列左から)電波・誘導事業部の近藤氏、山本氏、西山氏
(後列左から)同大高氏、山口氏、宇宙・防衛営業本部の原氏

 ――「FMS(米国による軍事技術の有償援助)調達イージス艦向けソーナー用国産送受波器」について教えてください

画像: イージス艦向けソーナー用送受波器のイメージ図

イージス艦向けソーナー用送受波器のイメージ図

〔山本満氏〕 
 端的に言うと、音波と電気信号を相互に変換し、水中で対象物の位置や動きを捉えるための装置です。水中ではレーダーが使えないため、ソーナーを使って対象物から返ってくる音波をキャッチして、電気信号に変換して情報を取得できるようにします。

画像: 山本満氏

山本満氏

 ――受賞の決め手となったのは

〔大高聡明氏〕
 今回は、海上自衛隊が米国からFMS調達したイージス艦向けソーナーシステム(SQQ89)の送受波器を、日本のメーカーである私たちが開発したという点が一番のポイントです。令和2年に配備される「まや」、令和3年に配備予定の「はぐろ」に搭載されます。

〔山口功氏〕 
 軍事技術というのは各国がそれぞれ独自に開発し、開示されていない情報が多いため、どうしても米軍の製品やシステムには米国企業の部品や技術が使われることが多くなります。米国からのFMS調達が増える中で、その状況を何とか打ち破らないことには、この分野における日本のサプライチェーンが維持できなくなるかも知れません。そうした危機感から、私たちは2013年から、米国のイージスシステムへの製品・技術の提供を提案し続けてきました。

画像: (左)大高聡明氏 (右)山口功氏

(左)大高聡明氏 (右)山口功氏

 ――米海軍の認証試験をクリアするのは大変でしたか

〔山本〕
 技術的なこと以前に、日米の調達スキームの違いが大きかったですね。米軍との契約は、米国企業を介して行うなど、いくつかのハードルがありました。

〔大高〕
 技術面に関しては、これまでの実績もあり、実はそれほど心配はしていませんでした。ただ、米海軍が送受波器に用いるセラミック系の技術が非開示という中で、独自に米国製と同等以上の製品を開発しなければならず、そこに設計・開発に携わったプロジェクトメンバーの苦労と努力がありました。送受波器を覆う外装部分の水密性の確保も課題の一つでしたが、若いメンバーが問題なくクリアしてくれました。

画像1: 「そこが知りたい!開発者・技術者たちのSTORY」
日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室

 ――今回は3社での共同開発となりましたが、それぞれの役割は

〔山本〕
 NECが開発・設計を担い、NECネットワーク・センサが製造プロセスを、トーキンがセラミック素子の開発・製造を担当しました。

 ――受賞の知らせを聞いた時のお気持ちは

〔山本〕
 国産技術と海外技術をミックスした開発・契約の先駆けとなったという点で、文字通り国内の防衛基盤維持に寄与できました。FMSへの日本企業の関わり方として、有用な先例となれました。

〔大高〕 
 宮城県に今回の製造を行った工場があるのですが、そのスタッフたちと受賞の喜びを分かち合えたことが何よりです。米軍関係者を工場見学に案内した時、彼らには、それこそ下町の工場のように見えたと思います。最初は「こんなところで高度な製品が作れるのか」と不安げな表情でした。しかし、評価段階では、明らかに製造プロセスや製品のレベルに驚いているのが分かりました。

画像2: 「そこが知りたい!開発者・技術者たちのSTORY」
日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室

 ――今後の展望などをお聞かせください

〔山本〕 
 すでにFMS調達のソーナーが搭載されているイージス艦「あたご」「あしがら」の維持整備に関しても、国内技術での実施が可能となり、イージス艦の保守・整備の大幅な効率化・省力化が図れます。今回、米海軍から高い評価を得たことで、米海軍向けの送受波器の提供や共同研究など、海外展開の可能性も期待できます。コスト面などの課題もありますが、今回の受賞を励みに、一層の技術向上に努め、防衛省・自衛隊・防衛装備庁の期待に応えられるよう精進していきたいと思います。

画像3: 「そこが知りたい!開発者・技術者たちのSTORY」
日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室
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日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室
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日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室
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日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室
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日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室
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日本電気(NEC)/電波・誘導事業部 統合USW推進室

日本電気株式会社(NEC)
1899年設立。本社は東京都港区。1950年代後半からコンピュータ研究に取り組み、独自のシステム開発を進めてきた日本を代表する電気・電子機器メーカー。従業員数は連結で約11万人(2019年3月現在)。

今回受賞した開発チームの主要メンバーは、プロジェクト・リーダーの山本満氏をはじめ、大高聡明氏、山口功氏、西山進太郎氏、近藤秀一氏、(以上、電波・誘導事業部)、原崇氏(宇宙・防衛営業本部)の6人。


◆関連リンク
NEC(Japan)
https://jpn.nec.com/



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