画像: 新大綱・中期防が決定|防衛省

 政府は18日の閣議で、国防の基本的指針となる新たな「防衛計画の大綱」(防衛大綱)と平成31年度から5年間の「中期防衛力整備計画」(中期防)を決定した。

 新大綱の基本概念は宇宙・サイバー・電磁波を含む全ての領域を横断的に連携させた防衛力として「多次元統合防衛力」の構築を掲げ、新領域の対応強化を明記した。中期防の総額予算は27兆4700億円となった。

 我が国を取り巻く安全保障環境は、中国などのさらなる国力の伸長などによるパワーバランスの変化が加速化・複雑化し、既存の秩序をめぐる不確実性が増している。グレーゾーンの事態は、国家間の競争の一環として長期継続する傾向にあり、今後さらに拡大していく可能性があり、より重大な事態へと急速に発展していくリスクをはらんでいる。さらに、いわゆる「ハイブリッド戦」のような、軍事と非軍事の境界を意図的に曖昧にした現状変更の手法は、相手方に軍事面にとどまらない複雑な対応を強いていると記述した。

 中国は軍事活動を拡大・活発化させ、我が国の尖閣諸島周辺では恒常的な活動を行っている。今後も強い関心を持って注視していくとしている。

 北朝鮮は弾道ミサイルに搭載するための核兵器の小型化・弾頭化を既に実現しているとみられ、我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威であると指摘した。

 これまでに直面したことのない安全保障環境の現実に正面から向き合い、防衛の目標を確実に達成するため、あらゆる段階において、防衛省・自衛隊のみならず、政府一体となった取り組みおよび地方公共団体、民間団体との協力を可能とし、我が国が持てる力を総合する防衛体制を構築する。特に、宇宙・サイバー・電磁波、海洋、科学技術といった「あらゆる政策手段を体系的に組み合わせ、平素からの戦略的なコミュニケーションを含む取り組みを強化する」とした。

 人的基盤の強化にも触れ、「防衛力の中核は自衛隊員である」との考え方を基に、人材確保と能力・士気向上に力を入れることを強調。大卒者などを含む採用層の拡大や女性の活躍推進、定年延長、生活・勤務環境・給与面の改善、再就職支援の一層の充実などを進めていく。

 中期防では基幹部隊の見直しなど自衛隊の体制について具体的に明記。中国の太平洋進出を念頭に、近代化改修に適さないF15戦闘機についてF35Aの増勢による代替を進めるとともに、短距離離陸・垂直着陸が可能な戦闘機(STOVL機)を新たに導入する。また必要な場合にはSTOVL機の運用が可能となるよう検討の上、海上自衛隊の多機能のヘリコプター搭載護衛艦(「いずも」型)の改修を行う、とした。新領域を含めた領域横断作戦実現のため、空自に宇宙領域専門部隊を新編するほか、サイバー防衛能力を抜本的に強化し得るよう、共同の部隊としてサイバー防衛部隊を新編する。電磁波においては統幕の態勢を強化するとした。

 陸自では陸上総隊隷下にサイバー部隊と電磁波作戦部隊を新編する。また各種事態に即応し、実効的、機動的に抑止、対処し得るよう、1個師団と2個旅団をそれぞれ機動師団、機動旅団に改編する。また島嶼部などに対する侵攻に対処し得るよう、島嶼防衛用高速滑空弾部隊の新編に向け、必要な措置を講ずるとした。

 海自では1隻のヘリコプター搭載護衛艦と2隻のイージス・システム搭載護衛艦を中心として構成される4個群と新型護衛艦や掃海艦艇から構成される2個群を保持し、水上艦艇部隊を新編。また平素からの警戒監視を強化し得るよう、哨戒艦部隊を新編する。

 空自では、航空警戒管制部隊について8個警戒群と20個警戒隊から28個警戒隊への改編のほか、1個警戒航空団を新編するとともに、戦闘機部隊1個飛行隊の新編に向け、必要な措置を講ずるとした。また空中給油・輸送部隊1個飛行隊や1個無人機部隊も新編すると記した。

 中期防の27兆4700億円の内、1兆9700億円は調達コストの削減で捻出し、実際の防衛予算は総額25兆5000億円程度になる。


◆関連リンク
防衛省 「防衛大綱および中期防について」
http://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/guideline/2019/index.html



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