あらゆる地形を克服し、橋梁を架設できる部隊を目指す
浮橋等架設訓練については、東北地区全域で実施された「みちのくALERT2024」の枠組みの中で実施され、101施設器材隊、104施設器材隊架橋中隊との協同により、浮橋、パネル橋MGBを架設し、協同架設能力の向上を図った。
演習想定における孤立地域の災害応急対策活動として、自治体の要望、上級部隊からの命令に基づき、石巻市北上川で、崩壊した橋梁の代替として92式浮橋による浮橋架設を実施するとともに、仙台市広瀬川で、パネル橋MGBによる中間橋脚を使用した2径間橋架設を実施した。
パネル橋MGBの構築では、車高の低い民間車両の進入進出路を確保するため、軟弱地盤、護岸の段差などに対し、道路マット、ボーク、応用資材などを活用した橋梁の架設に着意し、警察車両などの通過を実施するとともに、DX検証として、3施設団本部付隊の支援により、架設地域のドローンによる写真測量を実施して地形のデジタル化を推進し、大きな成果を得ることができた。
105施設器材隊は「今後も、本訓練で得た成果を踏まえ、あらゆる地形を克服し、橋梁を架設できる部隊を目指し、『プロフェッショナル』としての誇りを持って任務に邁進していく」としている。
<編集部より>
陸上自衛隊の「縁の下の力持ち」たる施設科の器材隊は戦闘部隊を支援するため、重機などの各種施設器材で障害の構成・処理や陣地の構築、渡河、道路整備、架橋など、さまざまな作業を行います。
いざという時、車両や人員がスムーズに移動ができるよう、あらゆる事態を想定し、万一の時には「いざ、鎌倉!」的に行動を移す、とても重要な役割を担っているのです。
本日(12月19日付)2面では、南恵庭駐屯地に所在する105施設器材隊が「令和6年度浮橋等架設訓練」に参加し、浮橋やパネル橋MGBを架設し、協同架設能力の向上を図りました。
訓練は、東北方面隊が主催した総合防災訓練「みちのくALERT2024」の枠組みの中で、スクラムを組んだのは同じ業務の「仲間」である101施設器材隊と104施設器材隊架橋中隊の2個部隊。紙面では船岡駐に所在する104隊の報告と合わせて紹介しました。
今回の任務の中ではとくに、パネル橋MGBに注目してみました。
防衛省などによれば、橋の耐久重量が従来のパネル橋の半分程度に抑えられる「優れもの」とされ、90式戦車も通過が可能といわれています。東日本大震災(平成23年)でも、落橋した国道の橋で架橋され、工事車両の通行などの復旧活動に大きな役割を果たしたことでも知られています。
今回、105隊は車高の低い民間車両進入・進出路を確保し、警察車両などの通過を実施したり、DX検証として架設地域のドローンによる写真測量を行うことで「地形のデジタル化」も推進していました。架橋、架設一つをとっても技術の進歩が進んでいることの表れであり、それは非常事態などで大きなプラス材料となるのだと思います。
「あらゆる地形を克服し、橋梁を架設できる『プロフェッショナル』としての誇りを持つ」。105隊のコメントには、「後方支援」という裏方ではあるものの、なくてはならない存在であり続ける、という強烈な意識と責任感を感じざるを得ません。
「戦いの場」にはせ参じようとしても、道路が使えず、川を通らなければ向こう岸にたどり着けない橋が落橋・損傷していたら、それもかないません。普通科などの前線部隊をサポートする、こうした施設科部隊はあまり、知られていないのが実情ですが、防衛日報社はその任務の重要性を多くの人たちにお伝えしたくて、とくに注目し続けています。
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