<広島>陸自中部方面混成団109教育大隊(大隊長・本田2陸佐)は10月25日、予備自衛官補(一般)の採用時の年齢要件緩和後における初の修了式を行った。
2人が最短期間で全課程を修了
年齢要件の緩和は、上限年齢が34歳未満だったが、52歳未満として令和6年1月の受け付け開始から適用された。
今回の修了者は12人で、このうち年齢要件緩和にともない、6年7月に採用され、兵庫地本で管理されている予備自補2人が、A課程をeラーニング受講し、B課程からJ課程の9個課程(各5日間連続出頭)の45日を両名個人事業主という特性を生かして毎週出頭。同年8月末から約2カ月間の最短期間で全課程を修了した。
時田予備自衛官補(47歳)は、「酷暑、猛暑の残暑、夏日継続の10月と気象条件が非常に厳しかったものの、何度目かの青春を仲間とともに謳歌おうかできました」、また、宇髙予備自衛官補(48歳)は、「共同生活や教育訓練における仲間と協力しつつ切磋琢磨(せっさたくま)する環境が非常に刺激になりました」と熱く語った。
109教育大隊は「引き続き、新隊員教育および予備自衛官等の基本教育任務に邁進(まいしん)する」としている。
<編集部より>
本日も予備自衛官等制度に関する話題です。国民に広く自衛隊に接する機会を設け、防衛基盤の育成・拡大を図るため、将来にわたって予備自衛官の勢力を安定的に確保する。一方で、情報通信技術(IT)革命や自衛隊の役割の多様化などを受け、民間の優れた専門技能を有効に活用し得るよう予備自衛官制度へ公募制を導入したという経緯があります。これが、予備自衛官補制度でした。
その予備自補(一般)の採用時の年齢の上限が今年1月の受け付け開始から、それまでの34歳未満から52歳未満となりました。防衛日報の本日(11月20日付)2面では、採用まで通常は2~3年はかかる教育期間をわずか2カ月間というトップスピードで駆け抜け、全課程を修了した個人事業主2人(時田、宇高両予備自補)に焦点を当てた内容を紹介しました。陸上自衛隊中部方面混成団109教育大隊からのうれしい報告です。
2人の「超特急」ぶりはなぜ、できたのでしょうか。中混団の報告や防衛省の資料などを参考に調べてみました。
まずは、予備自補(一般)の教育訓練招集による移動や時間の効率化を図るため、A~J全課程のうちA課程をインターネットサービスを活用した「eラーニング」による自宅などでの受講。さらに、B~J全課程(各5日間連続出頭)の45日分を毎週出頭したというのです。
2人は自営業(事業主)ということもあり、出頭時の自身の不在による社内の調整などに気兼ねしなくてもいいというメリットはあったと思いますが、それにしても物凄いスピードです。招集訓練に出頭しないため、招集手当の支給の対象とはなりませんが、そういう問題でもないでしょう。僭越(せんえつ)ながら、広報紙という立場から勝手に言わせていただくのなら、とてもありがたく、助かります。なぜなら、「少しでも早く予備自となり、国の護(まも)りの一役を担いたい」。そんな気概が感じられるからです。
中混団からは修了式とは別に2人の所感文も寄せられました。そこには、若い時の夢をかなえようとする意欲、国際情勢の悪化で愛国心を胸に飛び込もうとした気持ちなどが素直な感情とともに表れていましたので、所感文コーナー「みんなのひろば」の枠で紹介させていただきました。
「非常に充実感を得たことで、何度目かの青春を仲間とともに謳歌(おうか)できました」(時田予備自補)、「切磋琢磨(せっさたくま)する環境が非常に刺激になりました」(宇高予備自補)…。大きな経験を積んだ2人の今後に期待したいと思います。
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