瓦礫の中から要救助者を発見!
訓練では、救助犬が瓦礫(がれき)の中から発見した要救助者の救助を行うとともに、救助者へ安心感を与える声がけをしつつ、応急処置をした後、消防署が開設した応急救護所への搬送引き渡しを実施した。
参加した本部管理中隊の角田陸士長は、「災害発生を想定した訓練に参加できたことは、自身が実際に派遣される際の大事な糧となりました」と話していた。
八戸駐は「連隊は、今後も各自治体の防災訓練に積極的に参加して、災害発生時において組織間で連携した応急対策を迅速かつ円滑に実施できるよう訓練するとともに、防災対策の強化、地域住民の防災意識の高揚に協力していきます」としている。
<編集部より>
自然災害が絶えない日本列島です。「防災」は生命・財産を守る上で、また、少しでも被害を大きくさせないためにも、一人ひとりが普段からさまざまな取り組みを実施することが求められます。
それは、国民の命を護(まも)る組織としての自衛隊にとっても同じ。関係機関や多くの住民らが参加する自治体主催の訓練に参加することで、連携強化の確認だけでなく、国民が取り組むものと違う意味で、隊員の意識の高揚にも大きな役割を果たすイベントとなるのです。
イベント、と自然に書いてしまいましたが、あくまでも訓練であることは言うまでもないことですので、そこにはどれだけの意識で住民はもちろん、自衛隊も臨むのかが問われるわけです。そうでないと、「いざ発生」に十分に、効率よく、被害を可能な限り少なくするという結果にはつながりにくくなるからです。
防衛日報は、こうした日常生活から意識して取り組む国民、その国民を保護する立場である自衛隊の双方に大きな影響を与える「防災」には特別なこだわりを持って編集作業に臨んでいます。本日(11月14日付)2面のトップ記事で紹介した陸上自衛隊八戸駐屯地4地対艦ミサイル連隊が「八戸市総合防災訓練」に参加したという報告もその一連です。タイトルカットを付け、できるだけ目立つような編集にしたこともまた、同じ気持ちからなのです。
平成8年3月に編成完結した本州唯一の地対艦ミサイル部隊からは、20人が参加し、訓練では、要救助者の救出・搬送、炊き出しはもちろん、地域のイベントでも定番でもある装備品の展示も実施していました。「いざという時は、われわれが頑張ります!」「こんな装備品がありますので、安心してください」…。そんなメッセージが自治体関係者のみならず、参加したほかの関係機関や地域住民らへ大きなアピールにつながったのではないかと思います。
何よりも、連隊本部管理中隊の角田陸士長がコメントしているように、「実際に派遣される際の大事な糧となりました」の言葉がすべてを物語っているように思います。
冒頭でも述べたように、「災害列島」とまでいわれる日本では各地で大災害が発生し、その規模などによっては自衛隊の力が必要となります。今年1月1日の能登半島地震を見るまでもなく、多くの隊員が派遣されて日夜さまざまな活動を続け、被災地、被災地の住民に大きな希望を与えました。
「災害=自衛隊」は本来の安全保障上の国防とは異なるものであるのかもしれませんが、東日本大震災では「国難」と呼ばれました。自衛隊の気持ちがこもった丁寧な活動が世界の称賛を集めたのです。発生する前と発生後。状況は違いますが、共通するのは、日本がピンチに陥らないように、ピンチになっても拡大させないようにすること。いざという時を常に意識しながら、そして発生後の対処に向けた訓練を続けている自衛隊だからこそ、しっかりと任務を果たせるのだと思っています。
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