8月に配備の19式装輪自走155ミリりゅう弾砲も
観閲行進では、今年8月に配備された19式装輪自走155ミリりゅう弾砲や、女性隊員のみで編成された10式戦車も登場し、駐屯地所在部隊の車両が堂々とした行進を行った。
式典後には、西部方面戦車隊、8偵察隊員混成によるオートバイドリルを展示し、その高い操縦技術を披露して会場を盛り上げた。最後に実施した訓練展示では、各火砲の空包を多数使用した島嶼防衛における一連の戦闘行動を展示し、その爆音や景況に来場者は圧倒されていた。
そのほか、戦車・高機動車試乗、各種装備品展示などを行い、来場者は普段、触れる機会の少ない戦車や火砲を間近で見て、その大きさや装備品の持つ迫力に驚いた様子だった。
また、玖珠町、九重町、日田市のマスコットキャラクターが来駐し、大勢の子供たちが取り囲み、歓喜の声が上がった。
玖珠駐は「今回の記念行事を通じ、さらに地域の方々と交流を深めるとともに、日頃からの玖珠駐屯地へのご理解・ご協力に感謝し、今後も玖珠駐屯地は『地域とともに』任務に邁進まいしんしていく所存である」としている。
<編集部より>
全国の駐屯地・基地などで実施される開設・創設記念行事は、駐屯地側のスローガンに一つでもある「地域」への感謝とともに理解・関心の醸成に大きな役割を果たします。駐屯地を一般開放し、観閲行進や装備品、訓練の展示、チビッ子たちが喜ぶ出店、キッチンカーなど、それぞれに趣向を凝らしたイベントとして、地域に根付いたものとなっています。
そこで、防衛日報の開設、創設記念シリーズの本日(11月6日付)2面は、九州・大分に精鋭たちが集まる陸上自衛隊玖珠駐屯地です。迎えて67周年。訪れたのは1800人でした。
目の前に登場する戦車などの自衛隊車両、装備品の数々、そして、各火砲の空砲を多数使用した島嶼防衛における戦闘行動の展示…この2つを初見でなくても、その迫力には驚かされます。私事ながら、小学2年時、父親から連れられて地方の駐屯地に行った際、動いている車両を見ただけで正直、腰が抜けかかった思いがあります。テレビなどでしか見たことがないであろう「動く戦車」です。その後、社会人となり、記者となって取材をしてからも、その光景に対する気持ちは薄まることはあっても、消えることはまずありません。
さらには、火砲。これも、通常は演習場などでなければ見ることはできないわけですから、爆音といってもいい迫力もまた、こういう機会だからこそです。報告にもある通り、「その爆音や景況に来場者は圧倒されていた」ということでしょう。
子供心には、怖ささえ覚えるほどの迫力ですが、まずは「珍しいクルマ」と「ビックリした音」だけが心に残る、そんな思い出になってしまいますが、それはそれでよし。大人は大人の、子供は子供の、自衛隊に対する思いや見方はさまざまですから。要は、すべてをひっくるめて自衛隊なのであり、日頃の感謝を込めて実施するイベントについて、一つの思い出づくりとしてもらえればいいのではないでしょうか。節目のイベントの報告を読むとき、常にそう思って新聞づくりを続けています。
九州地方に所在する以上、「南西シフト」として今、大きな課題となっている島嶼部への対策にも大きくかかわってくる場所にあります。駐屯地の中核を成す西部方面戦車隊は今回、オートバイドリルなどで高い操縦技術を披露しました。もちろん、戦車隊の名称である以上、戦車を操るのが最大の任務ですが、実際の島嶼部に入ったらオートバイは必要不可欠。こうした訓練もまた、重要となってくるわけです。
玖珠駐といえば、新年、新成人が74式戦車や10式戦車と綱引きをする成人式を行うことで有名です。たびたびメディアに掲載されます。防衛日報でも紹介しています。
当然のことながら、戦車は新成人だけでは微動だにしないため、先輩隊員と協力してやっと動くというのもまた、祝賀行事としてのご愛嬌ですが、重要なポジションに構える玖珠駐に身を置く若き精鋭たち一人ひとりもまた、今年、節目の行事に立ち会い、新たな闘志を燃やし、気合を入れ直したことでしょう。
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