福島駐44普連(連隊長・古庄1陸佐)は1月31日、福島市山岳遭難対策協議会の主催で、吾妻山(福島市)で実施された冬山合同救助訓練に参加した。

 訓練は、冬山で自力での下山が困難となり、遭難した者、消息不明になった遭難者を救助するという想定で、福島県警察、福島県消防防災航空隊、福島市山岳遭難救助隊と合同で行われた。

画像: 救助隊と共に遭難者の救助に前進

救助隊と共に遭難者の救助に前進

 参加した隊員28人は、片道2キロほどの雪山をスキーやスノーシューを使用し、関係機関と連携し、遭難者の救助に向かった。遭難者を発見した隊員たちは、即座に低体温症ラッピングを施し、遭難者の体温を確保した。

画像: 遭難者を発見‼「大丈夫ですか‽!!」

遭難者を発見‼「大丈夫ですか‽!!」

 その後、アキオ(大型そり)により下山、遭難者を車両の進入できる地点まで搬送し、遭難者を救助する一連の行動を関係機関と訓練した。

画像: アキオにより遭難者を搬送

アキオにより遭難者を搬送

 参加した隊員からは、「冬山における救助において、各関係機関との連携を強化するとともに、ラッピングなどの技術を向上することができ、大変勉強になった」との声があった。

 44普連は「訓練を通じ、各隊員は冬山における遭難者救助活動の練度を向上させるとともに、各関係機関との連携を強化するほか、連携と信頼関係の重要性を再認識した」としている。


◆関連リンク
陸上自衛隊第44普通科連隊(福島駐屯地)
https://www.mod.go.jp/gsdf/neae/6d/unit/44i.html


<編集部より>

 本日2面では、訓練とはいえ、臨場感がある写真を使いたくて福島駐屯地44普連の「冬山合同救助訓練」をトップに置きました。警察や消防、山岳遭難救助隊との合同救助訓練でした。冬山の遭難となれば命に直結するもの。遭難者を発見し、体温を確保するためのラッピング、そしてアキオで搬送し、下山…。内容的には、通常の行動なのだと思いますが、写真がよかったので流れが分かるようにあえて、3枚使ってみました。

 かつて、冬山の遭難の現場を取材し、山の遭難の救助態勢についても専門家にも聞いたことがあります。学生時代に山登りもするサークルに在籍していました。専門家の話や僭越(せんえつ)ではありますが、自分の体験などを通した思いを書いてみたいと思います。

 遭難のケースは、遭難者本人から、登山事務所から、あるいは家族や関係者らからなど、さまざまな連絡ルートがありますが、連絡は通常、警察が動き、それに伴って消防・救急が出動しま。しかし、山の場合は「捜索範囲」の広さがあり、当然のことながら平坦な道のりというのも少なく、とくに冬山となると遭難者が雪に埋もれているケースもあり、上空からではなかなか発見しにくくなります。ヘリの高度を下げる、そこから下に降りるとなると、危険度も増してきます。そこで、自衛隊の出動という流れになるのだと言われています。「危険を顧みず」とはいうものの、自衛隊の役割の重要さに納得した次第です。

 今回は、上空ではなく陸地からの捜索でした。ほかの関係機関との合同による連携の強化が主眼でした。いざという時、一刻の猶予もないような事態なら余計に、警察や消防、救助隊との日頃からの連絡は欠かせません。

 もう一つ、低体温症を防ぐラッピングの技術は訓練がとても重要であることも専門家から聞きました。この時期はもちろんですが、どうしても山の温度は下がり、夏だとしても体温の維持は必要です。44普連の報告にもあるように、今回の訓練を通して「技術を向上することができた」という隊員のコメントを見る限り、訓練の成果があったことと思います。

 山の遭難といえば、今回参加したほかの団体というイメージですが、場合によっては自衛隊の出番となることを改めて知ってもらえる、いい機会でもありました。

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報2月20日付PDF


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