鹿児島地本(本部長・松浦1海佐)は1月25日、南さつま市立坊津学園で学校職員、全校生徒約130人に防災授業を実施した。

 今回は全校生徒を2個班(低学年班と中・高学年班)に分け、それぞれの班に募集課長の山崎2陸佐と知覧分駐所長の永山准陸尉が講師として約30分授業した。

 前半は班ごとに場所を移し募集課長は武道館で、中・高学年班生徒64人に対し、地震発生のメカニズムと地震によるさまざまな影響や防災に対する考え方「自助・共助・公助」について授業した。

 知覧所長は体育館で低学年班生徒49人に対し、地震が発生する理由や実際に地震に遭遇した場合の正しい行動、地震に対する備えについてクイズ形式で授業し、分かりやすく説明した。

 後半は生徒全員が体育館に集合し、東日本大震災での自衛隊の活動を記録した動画を鑑賞した。

 最後に、募集課長から大災害の際に必要なものは自らを守る「自助」と皆で協力する「共助」であることを強調するとともに、「災害発生時、まずは自分自身で、自分たちで対応できる知識と心構えを持ってください。われわれ自衛隊は必ず助けに行きます」と生徒に呼びかけた。

 参加した生徒からは、「能登半島地震での被災された方々の姿をテレビで見て他人事ではないと感じた。災害が起きた時に何が自分にできるのか、真剣に考えるきっかけになった」「災害の時に活躍する自衛隊の人たちの話が直接聞けて良かった」「きょう、教えてもらったことを家族と一緒に考えようと思った」など多くの感想が寄せられた。

画像1: 防災に重要な「自助・共助・公助」の授業実施|鹿児島地本

 1月31日には、南さつま市立金峰学園で学校職員、5~9年生の生徒約250人に防災授業を実施。山崎募集課長が「防災講話~地震から身を守るために~」の内容で約30分授業した。

 前半は、地震についての概要(地震発生のメカニズムと地震によるさまざまな影響)や防災で重要なこと(自助・共助・公助)について授業した。

画像2: 防災に重要な「自助・共助・公助」の授業実施|鹿児島地本

 後半は、地震発生時の自衛隊の活動として東日本大震災での自衛隊の活動を記録した動画を鑑賞した後、実際に福島県内で活動した知覧分駐所長の永山准陸尉の体験談を聞いた。

画像3: 防災に重要な「自助・共助・公助」の授業実施|鹿児島地本

 参加した生徒からは「目の前で実際に災害時に活動した隊員さんの話が聞けて、命の大事さを知った」「いざ、災害に遭った時に冷静に行動するためには日頃の準備が必要だと思った」「自衛隊の人の話を聞いて、自分も人のためになれる人間になりたい」など多くの感想と決意を聞くことができた。

 鹿児島地本は引き続き、「防災講話を通じて学校教育に協力するとともに、防災意識の向上と自衛隊の活動を合わせて広く認識してもらい、自衛隊の任務や活動への理解促進を図っていく」としている。


◆関連リンク
自衛隊 鹿児島地方協力本部
https://www.https://www.mod.go.jp/pco/kagoshima/


<編集部より>

 本日1面では、鹿児島地本が南さつま市の2つの学校で実施した講話をまとめ、トップ記事として紹介しました。よく言われる「自助・共助・公助」の意識を子供たちにしっかりと植え付ける。災害派活動を任務の大きな柱の一つとする自衛隊にとっては、欠かせない行事です。こうしたイベント、「やりすぎ」はないと思います。しつこく、丁寧に、あまり期間を置かずに、定期的に実施することに意義があるわけですから。

 今回の報告のように、地震発生のメカニズムを知ることや、いざという時の正しい行動とは、そして命の大切さなどなど。何よりも、災害時、現場での奮闘ぶりは国民から大きな称賛の声が上がる自衛隊ですから、隊員の言葉には説得力があります。

 2つの学校の報告を読んで気が付いたのが、子供たちの感想のコメントでした。より具体的で、分かりやすかったので、あえて「言葉」を別枠で紹介してみました。

 今、「防災」への関心が非常に高まっているといわれています。やはり、能登半島地震という大災害がきっかけになっているのでしょうか。過去を見てもそうでした。日本列島に大きな爪痕(つめあと)を残した大地震直後は特に、社会が動き出し、ムードが高まりました。ただ、振り返ってみると、その時だけ、「防災のためには何をしたらいいのか」と必死に考え、「どんなグッズを揃えていたらいいのか」などと思案しますが、時が経(た)つとこうした意識はどこかに行ってしまい、行動につながっていかない。そんな繰り返しのような気がします。

 重要なことは危機感。いつ起きるかわからない、という前提があるかないか、というところに尽きるのではないでしょうか。旧社在籍中、仙台市に赴任していた当時、東日本大震災に被災して以降、「防災」を記者としてのライフワークにし、メディアの責務として重点的に、定期的に関連の記事を発信し続けた経験がありますが、感じているのは人間によっていつしか必ず登場してくる「温度差」です。能登半島地震も間もなく発生から2カ月。社会が「忘れてしまう」ことがないようにするため、メディアの責任をいつも感じています。防災関連の記事は継続的に発信していかねば…との思いです。

 防衛日報社はデジタル版「防衛日報デジタル」で今回、新コンテンツ『防災~明日を考える~』をスタートさせました。特に「自助」に焦点をあて、防災アイテムや防災に携わる企業を紹介し、防災に取り組んでいる個人や団体から意見をコラムとして配信する予定です。こちらもどうぞ、ご覧ください。
→『防災~明日を考える~』

 

他記事は防衛日報PDF版をご覧ください。

→防衛日報2月20日付PDF


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