積極的に元自衛官を雇用している全電協。電気の安定供給の業務を担う同社が日本の国防を担った人材を採用する、その目的などについて同社の山口政雄代表取締役社長に聞いた。

 山口社長によると、創業当初は元自衛官を積極的に雇用していたわけではなかったと言い、同社顧問である元陸将の松島悠佐氏の影響が大きかったという。松島氏は平成7年の阪神淡路大震災の際に中部方面総監として災害派遣の指揮を執っていた人物。自衛隊退職後に開催していた「松島塾」という勉強会に山口社長が参加したのがきっかけで、地本援護課に連絡を取り、退職自衛官の求人を募るようになった。

画像: 生涯現役を貫く元自衛官の小林進さん

生涯現役を貫く元自衛官の小林進さん

 元自衛官を雇用することについて、山口社長は「集団生活に慣れている。同世代の人と比較すると、仕事の真剣さも異なる。とにかく、元自衛官は優秀な人材が多い」と話す。

 電気施設の保安管理業務を行うには「電気主任技術者」の資格が必要だ。難易度は高いが、資格さえあれば一生仕事ができるのが、同社の魅力だという。現在も86歳の元自衛官がいまだに現役。自衛隊で培った知力、そして体力が今も生かされていると話す。

画像1: 「元自衛官は優秀な人材」 全電協株式会社・山口社長インタビュー

 山口社長は、こうした中で、「定年退職した元自衛官を今後も積極的に採用していきたい。資格を取るための教育制度が整っているので、任期制で退職した若い元自衛官にも入社してほしい」と期待を寄せる。災害や他国の脅威から国民の暮らしや生命を護った元自衛官。山口社長は「今後、電気保安という新たなステージで、国民の生活を支えてほしい」とエールを送る。

高圧受変電設備の保安管理が事業の柱

画像: 高圧受変電設備(キュービクル)

高圧受変電設備(キュービクル)

 全電協の事業の柱は高圧受変電設備(キュービクル)の保安管理のほか、それにかかわる電気工事、ビル管理要員などを派遣する人材紹介などがある。主に高圧受変電設備の保安管理の業務が拡大している。発変電所から送配電された電気は数万ボルトと非常に高いため、電圧を下げる変電設備が必要となる。

 その役割を担っているのが、高圧受変電設備だ。金属の箱に収納されている同設備は変圧器(トランス)で6600ボルトの電圧を100~200ボルトに変圧する。これにより、照明や冷蔵庫など日常使用している家電などが利用できる。

 この設備は国内の病院や学校、商業ビルなどの大きな施設にも設けられている。資格を持った作業員が定期点検で異常がないかを確認する。事業者は「電気主任技術者」(電験)を必ず配置しなければならないと法律で義務づけられており、その有資格者を派遣しているのが全電協だ。

 台風などの自然災害で大規模な停電が発生した場合でも、同社の有資格者が24時間体制で復旧作業にあたる。同社には、電験1種から3種の資格を持った265人の従業員が在籍している。カバーするのは関東1都6県と静岡県、愛知県、大阪府だ。

電験3種の資格取得後押し
 高圧受変電設備の保安管理業務を行うには、最低でも電験3種の資格が必要だ。令和4年度から年2回となった電験3種の試験に合格しなければならない。さらには、経済産業省から認定された大学や短大、専門学校などを卒業し、実務経験を積むことで電験3種を取得できる制度もある。大学卒業では1年、短大・専門学校卒業では2年、工業高校卒業では3年の実務経験が必要となる。

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 こうした中で、全電協では資格のない従業員が認定を受けた夜間の専門学校などに通学できるように勤務時間の短縮といった職場環境を整えている。将来的には認定校の学費を奨学金として支給することも検討している。

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 電験3種取得後、独り立ちするには5年の実務経験を積まなければならない。だが、「保安管理業務講習」を受講すれば実務経験が3年間ですむ。同社はこの講習を主催できる事業社でもある。経産省の通達内規の要件を満たす事業社は同社を含み、全国で20社しかいない。

 研修施設も充実している。社内には技術研修センターを併設しており、技術者の知識・技能向上を図るための技術研修を実施する体制を整えている。新人社員に対しても導入教育や各種点検、安全装置などの保護継電器(リレー)試験の研修も行っている。

安全第一!指差し確認(指差呼称)

画像: 指差呼称!

指差呼称!

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画像3: 「元自衛官は優秀な人材」 全電協株式会社・山口社長インタビュー

  平成元年10月に設立。主な業務は高圧電気を低圧に変換して照明器具などに電気を供給する「高圧受変電設備(キュービクル)」の保安管理業務や電気工事。従業員は1~3種電気主任技術者などの有資格者を含め、約350人を抱える。
 同社は関東1都6県と静岡県、愛知県、大阪府に16の拠点を持ち、24時間体制で保安管理業務に携わっている。特に東京電力管内は100%カバーできる自社ネットワークを生かし、緊急時にも即座に対応できる体制を整える。令和3年1月には、保安管理実績1万件を達成するなど、保安管理業務の案件が拡大している。
 電気工事サービスでは、一般的な保守管理会社が対応できない「電気機器の修理・交換」や「電気設備の改修」なども実施。月次点検・年次点検で発見した不具合箇所の修理・交換も行っている。このほか、特定労働者派遣事業の許可を持ち、技術者派遣・紹介サービスを提供。ビルの常駐設備管理員の派遣や電気主任技術者の正社員雇用を検討するビル管理会社への人材紹介も行っている。

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全電協株式会社
〒103-0025
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求人・募集情報

【募集業務】
 電気設備の保安管理業務(補助者)
【業務内容】
 年次点検の支援、竣工検査の支援などを行っていただきます。
【求める人材】
 電気の測定・試験に興味がある方
 自動車運転免許保有者(ない方は応談)
【ポイント】
 働きながら知識・技能を磨き資格取得ができる。
 自衛隊OBが多数在籍しております。

画像5: 「元自衛官は優秀な人材」 全電協株式会社・山口社長インタビュー

【連絡】
 全電協株式会社
 総務部長 吉原 方人(空自OB)
 03-3808-2411
 k.yoshihara@zendenkyo.co.jp

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