木原稔防衛大臣は11 月26日、航空自衛隊の宇宙作戦群などがある空自府中基地(東京都府中市)を視察した。木原大臣は北朝鮮が21日に発射した軍事衛星について、「宇宙作戦群を含めて自衛隊などが得た情報を精査した」と述べた上で、宇宙専門部隊の強化に意欲を示した。
木原大臣は府中基地の視察中に会見を開き、北朝鮮の軍事衛星について「一定の技術的進展を得たものと考えられる。仮に偵察衛星を保有、運用するに至った場合、北朝鮮の核ミサイルの運用能力はさらに向上し、わが国、国際社会の平和と安全を脅かす恐れがある」と危惧した。その上で、「宇宙領域での優位性を確保するために宇宙状況把握(SDA)衛星やレーダーのほか、各種アセットの整備や宇宙専門部隊の拡充を強力に進めていく」と強調した。
府中基地の視察では、木原大臣が航空支援集団司令官の森田雄博空将から、同基地や支援集団の概要などの説明を受けた。その後、宇宙作戦群や支援集団、航空中央音楽隊など視察した。木原大臣は70人の空自隊員を前に「国民の期待にしっかりと応えている隊員諸君を誇りに思う」と訓示した。
宇宙作戦能力を担う府中基地
府中基地には、宇宙作戦群が置かれている。宇宙空間では通信衛星や軍事衛星を活用した情報収集などを行われており、同基地は自衛隊が作戦を遂行する上で重要な役割を担っている。また、宇宙ごみ(デブリ)衝突や他国の偵察衛星の監視も行っている。こうした中、令和5年3月からは宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米国と連携して宇宙空間の状況を監視する宇宙領域把握(SSA)システムの運用を開始した。
防衛省は令和9年度までに空自を「航空宇宙自衛隊」へと改称する方針を示している。将来的には、航空作戦と並び立つ主要任務に宇宙作戦を位置づける。
撮影はすべて防衛日報社