木原稔防衛大臣は11月24日の閣議後会見で、21日に北朝鮮から発射された軍事衛星偵察について「何らかの物体が地球を周回していることを確認した」と明らかにした。打ち上げに成功したかどうかは「引き続き、慎重な分析が必要だ」と話した。
偵察衛星を巡っては、北朝鮮の朝鮮中央テレビが軍事偵察衛星「万里鏡1号」の打ち上げに成功したと報じたほか、韓国軍も「軌道に進入したとみられる」と分析。日本政府は当初、「地球周回軌道への衛星投入は確認されていない」としていた。
北朝鮮は今後、複数の偵察衛星を打ち上げると発表している。木原大臣は「引き続き情報の分析と警戒監視を続ける」として上で「破壊措置命令の継続については、適切に判断していきたい」と話した。
発射を強行した北朝鮮
北朝鮮は当初、海上保安庁に対し、22日午前0時から12月1日午前0時の間に「人工衛星」を発射すると通知していた。だが、実際は通知より前の21日午後10時43分頃、北朝鮮北西部沿岸地域の東倉里(トンチャンリ)地区から、衛星打ち上げを強行した。
発射された1発は複数に分離した。1つ目は朝鮮半島の西約350キロの東シナ海上の予告落下区域外に落下。2つ目は沖縄本島と宮古島との間の上空を通過し、沖ノ鳥島の南西約1200キロの太平洋上の日本の排他的経済水域(EEZ)外である予告落下区域内に落下したとみられる。
政府関係者は「通常ならすぐに確認できる状況だが、今回はいつもと違った」と前日の強行発射に戸惑いを隠せない様子だった。北朝鮮は5月と8月に「軍事偵察衛星」の発射を失敗しており、3回目の失敗は許されない状況だった。こうした中、22日の北朝鮮の天候は雨が降ると予報されており、予告前日に偵察衛星を発射したものとみられる。
日本政府は今後、 米国や韓国などの関係国とも緊密に連携し、情報の収集・分析に加え、警戒監視を続ける方針だ。
提供以外は防衛日報社がすべて撮影