令和5年度「自衛隊音楽まつり」が11月17、18の両日、日本武道館(東京都千代田区)で開催された。今回は「+(タス)×(カケル)ヒビク~終わらない力の始まり~」をテーマに、陸海空自音楽隊をはじめ在日米軍、マレーシアの軍楽隊など約700人が演奏演技を披露した。
自衛隊音楽まつりは、毎年11月ごろに行われる自衛隊最大の音楽イベントで、57回目を迎えた。今回は4年ぶりにコロナによる制限がなく、2日間で約3万人が訪れた。
音楽まつりでは、自衛隊の各音楽隊が「メトセラⅡ」やゲーム「ファイナルファンタジーのテーマ」など日本の楽曲も披露した。最後は自衛隊太鼓で締めくくった。会場は力強い手拍子とともに一体感に包まれた。
在日米軍など海外の音楽隊も演奏を披露した。このうち、マレーシア中央音楽隊は初めて参加。今年は日ASEAN(東南アジア諸国連合)友好50周年を迎えたこともあり、同国との防衛交流の一環として同音楽隊を招聘(しょうへい)。マレーシアの民話を披露した。
また、自衛隊音楽まつりに41回も参加した在日米陸軍軍楽隊は今年が最後のパフォーマンスとなった。来年、日本での活動を終了し、離任するためで、日本の曲や米国の曲などを織り交ぜながら、観客を魅了した。
会場には木原稔防衛大臣らも訪れた。開催前のあいさつで木原大臣はコロナ禍の厳しい現状を説明した上で、「『このマイナスの経験をプラスに変えて、さまざまな力を掛け合わせ、より大きく飛躍していこう。その思いをわれわれの力で響かせていこう』。このよう思いを今年のテーマに込めている」と述べた。
撮影はすべて防衛日報社
<編集部より>
本日2面は、先日実施された自衛隊最大の音楽イベント「自衛隊音楽まつり」にこだわってみたいと思います。自衛隊のほか、在日米軍やマレーシアの軍楽隊なども参加し、今年も国際色豊かで、華やかさがあり、観客にとっては距離感が近いシチュエーション。圧倒的な迫力の中に華麗な演奏と演技が加わったわけですから、2日間で訪れた3万人の満足度は最高潮。制限がなくなった「コロナ明け」も拍車をかけたようです。自分自身、取材を通して、一般観客の一人として何度か足を運ぶことがありましたが、通常のコンサートとは迫力が全く違うように思っています。今回もそうでした。
コロナ禍に医療従事者を励ましたり、さまざまなイベント会場で美しい音色を披露したり、スポーツの世界でいえば競馬場や大相撲千秋楽の国歌演奏に至るまで、音楽隊の活躍は数えればキリがありません。また、各地で実施される演奏会やコンサートでも奏でられるメロディーは観客を魅了し、一体感を作り出します。地元の学校の吹奏楽部員への指導風景もよく、報告が寄せられています。また、「陸自の歌姫」としても活躍する鶫(つぐみ)隊員らの独唱も動画などで発信されるなど、音楽隊の存在は今や、全国的に知られるところです。
今回は日ASEAN友好50周年記念として、マレーシア軍楽隊が登場していました。実は、こうした海外の軍楽隊の演奏指導には、自衛隊が一役買っています。防衛省の「能力構築支援事業」の一環として自衛隊音楽隊が現地に赴き、ノウハウなどを教えているのです。「いつか、日本に行って『音楽まつり』で成果を披露できるように」。自衛隊と軍楽隊の間には、そんな会話が生まれることを聞いたことがありました。マレーシア軍楽隊にとっては、一生忘れられないステージだったことだと思います。
改めて。音楽は多くの人を幸せにするいいものです。地本や部隊から寄せられる報告には「音」はもちろん、ありませんが、報告文や写真を眺めているだけでほっとするのは、こうした音楽の持つ「力」みたいなものがありそうな気がします。音楽まつりを通して、日々、活躍する音楽隊の存在の重要性を改めて感じた次第です。
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