小学校の防災教育支援 東日本大震災を伝承|北上地域事務所
岩手地本北上地域事務所(所長・稲葉1陸尉)は3月9日、9高射特科大隊の協力の下、遠野市立宮守小学校(教員15人、児童83人)で行われた「防災教育の授業」を所員6人で支援した。
事業は、岩手県教育委員会が企画する学校防災アドバイザー派遣事業の一環。学校側から「東日本大震災から12年経ち、震災当時の状況・教訓事項の説明を受け、児童の防災意識を高めたい」との要望を受けて実施した。
初めに、広報官の八重樫2陸曹による防災講話を4~6年生には対面方式、1~3年生には各教室での中継方式により実施し、東日本大震災当時の活動状況や、災害に対する心構え、備えの大切さについて伝えた。
次に、1~3年生は体育館に掲示した震災当時の写真パネルを見学、4~6年生に対しては患者搬送、ロープワークの体験、人命救助セットの展示説明を実施した。
参加した児童からは、「今日教わったことを忘れず、いざという時に役立てたい」との感想のほか、校長から「貴重な体験をさせてもらい、ありがたい。震災当時を知らない児童へ素晴らしい伝承となりました」と感謝の言葉があった。
岩手地本は「今後も防災意識の向上に協力するとともに、防災教育などを通じ、地域との絆を深めていく」としている。
<編集部より>
東日本大震災からきょうで12年1カ月。本日の1面トップは被災地の一つである岩手県の話題を集めました。小学校での防災教育や地本の所長が合同追悼式に参列したことなど、現地では改めて「『あの日』を忘れない」という意識の向上につなげているようです。
岩手の小中学校といえば、震災当時、学校管理下になかった5人を除く児童、生徒約3000人が津波から逃げ切り、「釜石の奇跡」と称賛された同県釜石市の防災教育「津波てんでんこ」が有名です。津波が来たら、「てんでんばらばら」に逃げないと家族や地域が全滅してしまうという教訓でした。いざという時、誰かを探したり、家に戻ったりするなどの気持ちはとても大事だが、犠牲者が増えるケースはほかの地域でも多くありました。釜石の子供たちは「とにかく、逃げられる限り逃げること」という教育が浸透していたのでしょう。
自衛隊が学校などで子供たちに伝える防災教育の報告を見ると、「釜石の奇跡」を思い出さずにはいられません。
1面、もう一つの記事は有事を念頭に、自衛隊と海上保安庁との新たな海の連携。その運用の基となる「統制要領」の作成に向けて動き出した日本。一方の当事者である海保側の思いや狙いを前海保トップに防衛日報記者がインタビューしました。
続きはPDFにて防衛日報をご覧ください。