国民の接種推進に貢献、自衛隊初のオペレーション

 【2023年3月23日(木)1面】 自衛隊が運営する新型コロナウイルスワクチンの大規模接種会場について、防衛省は3月10日、同月25日で閉鎖することを正式に決定した。同10日、大規模接種推進本部(本部長・井野防衛副大臣)の第13回会議を実施し、発表した。防衛省は同26日に浜田靖一防衛大臣も出席して、任務終了の閉所式を開く予定。国民全体の接種推進に大きく貢献した自衛隊初のオペレーションは、その任務を終了する。

 防衛省などによると、大規模接種会場閉鎖の理由は、(1)予約数が減少傾向にあり、予約枠の20%前後にとどまっている(2)政府が新型コロナの感染症法上の位置づけを5月8日から「5類」に引き下げる方針を決定した―などが背景にあるとみられている。

 自衛隊によるワクチンの大規模接種は、自治体の接種を後押しするため、一昨年5月24日にスタートし、同11月30日でいったん、運営を終了した。 

 防衛省によると、運営日数は191日に上り、一日も休むことなく運営を継続。衛生隊、中部方面衛生隊、各師旅団衛生隊、各方面衛生隊、自衛隊病院、陸自衛生学校、海空自衛隊、防衛医科大学校の衛生要員などから「接種隊」と「支援要員」として全国から多くの隊員が任務にあたり、まさに全自衛隊による接種業務を遂行した。

 また、各種支援業務(会場設営・受け付け・誘導・案内など)を民間業者へ委託。医療行為全般では、医官や看護官らと民間の看護師らが協力する官民一体で実施。

 防衛省内では、副大臣を本部長とする「大規模接種対策本部」を設置。定期的に会議を開催して方針を定めるなど、全防衛省・自衛隊による運営体制を構築した。

 さらに、得られた知見や教訓を積極的に発信。大規模接種会場の設置を検討する自治体、職域接種を実施予定の企業や学校などの研修を受け入れ、動線の工夫やワクチン管理に係る知見などを共有し、その数は、東西で累計45団体に上った。

 その後、オミクロン株の流行を受け、3回目接種で自治体がカバーしきれない部分を補うため、センターの規模を縮小する形で昨年1月31日から東京で、2月7日からは大阪で「自衛隊大規模接種会場」として再開。防衛省内には「大規模接種推進本部」が設置された。一時は最大5000人の枠が予約で埋まることもあったが、その後は空きが目立つようになっていた。

 防衛省人事教育局によると、両会場の今年3月11日までの接種人数は、東京が33万8472人、大阪が18万4196人に上っている。


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