領空侵犯「武器使用」見直しへ

 【2023年2月22日(水)1面】 防衛省は2月14日、過去に日本の領空内で確認されていた特定の気球型の飛行型の飛行物体3件の事案について、さらなる分析を重ねた結果、中国が飛行させた無人偵察用気球であると強く推定されると発表した。同省は同15日までに、今後、日本の領空に侵入した場合に備えて、領空侵犯に対する措置として正当防衛や緊急避難などに該当する場合に限られている武器使用のルールを見直す方針を示した。

 防衛省などによると、3件の飛行物体は、2019年(令和元)11月に鹿児島県薩摩川内市、20年(同2)6月に仙台市、21年(同3)9月に青森県八戸市―の上空で確認された。

 これを受け、防衛省は外交ルートを通じて、中国政府に対して事実関係の確認を求め、今後同様の事態が生じないよう強く求めるとともに、外国の無人偵察用気球などによる領空侵犯は断じて受け入れられない旨を申し入れた。

 気球であったとしても、日本の許可なく領空に侵入すれば、領空侵犯となる。同省は「今後とも、外国政府の無人偵察用気球を含め、気球に対してこれまで以上に情報収集・警戒監視に努めて参ります」としている。

 米国で米軍が中国の偵察気球を撃墜したことなどから、防衛省は日本領空で過去に確認された飛行物体の分析を進めていた。

 NHK NEWS WEBなどの報道によると、2月15日に開かれた自民党の会合で、防衛省の発表に対し、「無人機に対する武器使用の検討を進めるべきだ」などの意見が相次いだという。

 このため、同省は今後、日本の領空に侵入した場合に備えて、現在は空自の緊急発進(スクランブル)などで対応しているが、今後は正当防衛や緊急避難に該当する場合に限られている武器使用のルールの運用を拡大するなど、見直す方針を示した。

 浜田靖一防衛大臣は、外国の気球が許可なく日本の領空に侵入した場合は自衛隊法で撃墜することも排除しない考えを示していた。

画像: 過去の飛行物体は「中国偵察気球」防衛省が3事案推定

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