【2022年12月14日(水)2面】 日本最北の演習場を整備、寒さに負けず任務完了、雪害などに備えて連絡会議…。11月でも一足早い「冬」の様相を見せる北海道。道内の部隊では、すでに季節を感じながら厳しい訓練を続けている。「北の大地」からの報告をまとめた。
演習場の道場化を推進 道路整備、機材の取り扱いなど|名寄駐屯地
名寄駐3即応機動連隊(連隊長・山﨑1陸佐)は11月6日から16日の間、ホタテ漁や酪農で有名なオホーツク海に面する北海道猿払村に所在し、日本最北端の演習場である鬼志別演習場で、令和4年度「秋季鬼志別演習場定期整備」を実施した。
整備は、陸自の演習場道場化の推進に寄与するのが目的。3即機連、2偵察隊、2後方支援連隊、2施設大隊から約400人の隊員が参加し、演習場内の道路整備・補修、訓練場の機能強化・充実を図った。
各部隊は演習場に到着後、ただちに各地域で天幕設営を実施。気温が1ケタまで低下し、風速10メートル近くの強風が吹く中、天幕や車両の線を一直線にそろえ、整斉と設営を完了させるとともに、隊員にストーブの使用方法、灯油などの取り扱いを教育し、宿営地の規律維持、火災事故防止に万全を期した。
整備当初から、2施設大隊の隊員が教官となり施設等教育が実施され、9月に部隊配置された新配置隊員を中心に土のうの作成、木杭の打ち込みなど、基本的な機材の取り扱いを教育した。
整備開始から雨が降る中、隊員は黙々と道路・排水設備の整備、胴長を着用して砂防ダム整備、演習場の勾配が険しい境界沿いの除草作業などを着実に行い、5月の整備より取り組んでいる整備で発生した枝木をウッドチップ化して、道路脇や宿営地の一角にまいて除草効果を確認した。
今回も検証結果をもとに、ウッドチップ化を引き続き実施して演習場の機能を向上させた。また、2後方支援連隊隷下の部隊は、故障した器材を現地の整備所で迅速に整備するとともに、野外風呂を開設して隊員の士気高揚に努めた。
日が沈み、暗くなった宿営地に到着した各中隊は、連隊で全隊員が取り組んでいる小銃を安全確実に操作できるようになるための訓練、格闘訓練、演習場を活用した距離を判定する訓練を実施して、演習場整備間でも各種練度の維持・向上に努めた。
整備終盤には、風速10メートル以上の強風のため暴風警報が発令され、演習場が停電となったが、各部隊は予定よりも早く整備を完了させ、1件の事故もなく整備を終了した。今回の演習場整備を通じ、優秀隊員として9人が表彰され、記念品が贈られた。
3即機連は「引き続き日本最北の駐屯地、演習場で練度の向上と基盤の充実を図るとともに、朔北部隊として道北の護(まも)り、そして即応機動連隊としてあらゆる任務を達成できるよう、さらに邁進(まいしん)していく」としている。
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