【2022年9月14日(水)1面】
陸海空3姉妹、女性市長を表敬|福井地本
「市民に紹介したい」市長が再会約束
福井県大野市出身の自衛官3姉妹が8月9日、同市の石山志保市長を表敬訪問し、福井地本(本部長・野間1海佐)が支援した。地本によると、3姉妹がそろって現役の自衛官で、それぞれが陸海空自に配属されているのは珍しいという。姉妹のうち次女と三女は、入隊激励会で石山市長と面識があったほか、地本大野地域事務所長の林1陸尉が同市とつながりがあった縁などで訪問が実現したという。
3姉妹は長女の川田愛3海曹、次女の天音(あまね)陸士長、三女の天恵(あまえ)2空士。
愛3曹は平成25年3月、海自に入隊し、現在は栃木地本(宇都宮市)の広報担当として勤務。天音士長は令和2年3月、陸自に入隊し、現在は中部方面航空隊中部方面ヘリコプター隊(大阪府八尾市)で航空機整備員として勤務している。また、天恵2士は、令和4年3月に空自に入隊し、今は3術科学校(福岡県芦屋町)に会計業務の教育入校中だ。
3姉妹が表敬した石山市長は、平成30年に北陸3県では初めての女性自治体首長として就任(現在2期目)し、以降自衛隊の活動に対し、深い理解を示し、積極的に支援してもらっている。
大野市は毎年、自衛隊への入隊者に対する入隊激励会を開催。天音士長と天恵2士も石山市長が直接激励をし、送り出した経緯があった。2人の制服姿に接した石山市長は、「いつも、激励会では子供を送り出す母親のような心境。凛々(りり)しい制服姿を拝見すると感慨深いものがある」と喜んでいたという。
この日の懇談では、3姉妹の自己紹介から始まり、市長から「陸海空をそれぞれ選んだ理由は何ですか」との質問に対し、それぞれが入隊当時を振り返り、その時の心境などを話していた。
大野市では2年に一度、自衛隊の音楽隊によるコンサートを開催しているため、市長から「次回のコンサートにはぜひ、ステージ上で大野市出身の女性自衛官が活躍していることを市民の皆さんに紹介したい」と再会を約束され、市役所を後にした。
福井地本は「今後の川田3姉妹の活躍を期待したい」としている。
高機動車見て志願した妹|愛知地本
追う形で兄、そろって入隊
愛知地本金山募集案内所(所長・宮田1陸尉)から、令和4年春に兄妹2人がそろって自衛隊へ入隊した。兄の吉野候毅自衛官候補生(23歳)は、海自舞鶴教育隊自候生教育を8月25日まで履修し、現在は呉地方総監部所属の2海士。妹の吉野夢叶ゆめか2陸士(19歳)は、大津駐での自候生教育を6月29日に修了し、現在は高知駐に所在する50普連で120ミリ迫撃砲RTの操砲を学ぶために教育履修中だ。
5歳離れた兄妹2人が自衛官を目指すようになったきっかけは、妹が街中で偶然、目の前を走行するOD色の高機動車を母親が運転する車の窓越から見て「自衛官になりたい」と感じ、母親へ感じたままを伝えた。
妹は昨年9月3日、名古屋南募集案内所(金山所の分所)で自衛隊入隊制度の説明を受け、その場で志願票を提出。その後、試験に合格して無事に合格通知を受けることができた。そして、今年2月の令和3年度「金山所入隊予定者説明会」に参加して最終準備を行い、名前(夢叶)のごとく夢を叶えるため、着隊日を楽しみに待つこととなった。
その頃、転職を考えていた兄は、妹が入隊を決意した自衛隊に興味を抱いた。令和3年度入隊予定者説明会に同席したのを機に、担当広報官の片野2海曹から自衛隊の魅力について聞く機会を得た。母親の勧めもあったことから、自衛隊を目指すことを決め、採用試験を受験し、妹を追う形で入隊。兄妹が同じタイミングで入隊する極めて珍しいケースとなった。
担当広報官は、今後それぞれの専門的技術の知識をしっかり身に付け、兄は海の守り、妹は国土の守りの任務に就き、大いに活躍してもらいたいと兄妹2人に戦いにおける無事、命運が続くことを意味する「武運長久」のエールを送った。
兄妹の担当広報官である片野2曹は、どこで対象者の琴線に触れるか計り知れない広報活動の魅力を感じるとともに、すべての広報活動にむだがないことを痛感。これからの広報活動に励む決意を頼もしく語った。
愛知地本は「民間企業の2年ぶりの新規採用、大学生の就職内定の早期化、内定率の高止まりなど、募集を取り巻く環境がますます厳しくなっている中、募集対象者の家族を含めた募集広報を行い、募集目標の達成に邁進(まいしん)する所存だ」としている。