「味」と「見た目」で気力・体力を増進
【2022年8月24日(水)2面】 古くから、「腹が減っては戦ができぬ」と言われる。自衛隊にとって過酷な活動を支える食事は重要だ。部隊で毎年実施される炊事競技会では、隊員たちの「胃袋」をつかもうと奮闘する訓練。地元の大学生が考案した献立を隊員食堂で提供した部隊も。「食」にまつわる夏の活動を紹介する。
9部隊が調理 1中隊が優勝 カツカレーなど選定|名寄駐3即機連
名寄駐3即応機動連隊(連隊長・山﨑1陸佐)は7月27日、同駐で炊事能力の向上と炊事要員の拡充を図ることを目的として令和4年度「連隊炊事競技会」を実施した。参加部隊は、3即応機動連隊の各中隊のほか、オープン参加で同駐に所在する2特科連隊2大隊、2後方支援連隊2整備大隊即応機動直接支援中隊。炊事班長以下7人で編成された計9個部隊が参加した。
開会式では、火力支援中隊の藤井陸士長が選手宣誓で心身ともに温まるおいしい食事を提供することを誓った後、統裁官(連隊長)が「おいしさにこだわれ」「衛生管理・安全管理を徹底せよ」の2点を要望。各部隊は、優勝をかけて競い合った。
炊事要員たちは、蒸し暑さの中、武器装具などを身にまとい、額に汗を流しながら野外炊具(野外における調理器具)を器用に操りつつ、必要な材料を手際よく準備。「隊員の士気の源であるおいしい食事を全力で提供する」という意識で調理に臨んだ。
競技会では「煮る・炊く・揚げる」といったさまざまな調理法が必要で、隊員から好評であるカツカレー、ミネストローネをメニューとして選定し、調理が実施された。各部隊は、同じ食材を使用する中、具材の大きさや味付けに工夫を凝らし、見た目も味もそれぞれ異なる食事を限られた時間の中で提供した。
試食審査は、炊事要員によるプレゼンの後、各部隊長らにより行われ、「食感や味付けなどのバランスが絶妙で審査に悩んだが、各部隊の料理には個性があり、大変おいしく満足できた」と、審査員は喫食後の感想を笑顔で語った。
厳正な審査の結果、3即応機動連隊1普通科中隊が調理した食事が多くの審査員の舌をうならせ、高得点を獲得し、見事優勝を勝ち取った。
3即応機動連隊は、「参加した各部隊は、競技会で得た成果、教訓をじ後の訓練に生かし、隊員の士気の源となるおいしい食事の提供に必要な炊事能力の維持・向上に努めていく」としている。