【2022年7月21日(木)1面】 一般国民が自衛隊に接する機会を広く設け、防衛基盤の育成・拡大を図る予備自等制度。予備自衛官の勢力を安定的に確保するねらいがあるだけでなく、自衛官としての勤務歴がない人でも予備自に任用されるチャンスが開けた。それが「予備自衛官補」だ。国防への使命感、熱い思いを胸に、スタート台となる辞令書交付式に臨んだ予備自補の表情を紹介する。
「先輩予備自」と意見交換|宮城地本
宮城地本(本部長・諏訪1陸佐)は7月3日、仙台第4合同庁舎で令和4年度「予備自衛官補辞令書交付式」を実施した。
7月1日付で採用となった25人のうち予備自補(一般)12人、同(技能)5人が辞令書交付式に臨んだ。
阿部予備自補の号令で本部長への敬礼に続き、一般、技能それぞれの代表者に本部長から辞令書が手渡された後、阿部予備自補が宣誓文を代表して読み上げた。
続いて、本部長が「予備自への期待値は高まっており、訓練参加により予備自・即応予備自衛官に任用することを期待するとともに、皆さん自らが予備自補制度を学校や職場で広めてもらいたい」と訓示した。
今回より新たな取り組みとして、予備自補から予備自、即自に任用された2人の「先輩」との意見交換の場を設け、不安感の軽減と訓練参加意欲の向上を図った。
参加した予備自補からは「ウクライナ情勢を見て予備自制度に関心をもって志願した」「体力にも自信があるので、自分の技能を役立てたい」「先輩予備自の方から貴重な話が聞けた」などの声が聞かれた。
宮城地本は「まずは初回訓練への参加をしっかりサポートすることで、継続的な訓練参加につなげていきたい」としている。
しっかりとした口調で宣誓|熊本地本
熊本地本(本部長・橋本1陸佐)は7月2日、北熊本駐「北熊館」で令和4年7月1日付で採用された「予備自衛官補辞令書交付式」を実施した。
予備自衛官補制度は、主として自衛官未経験者を予備自補(一般・技能)として採用。一般は3年以内に50日、技能は2年以内に10日の教育訓練に参加し、必要な知識・技能を習得した後、予備自として任用される。
近年では、令和2年の新型コロナウイルス感染拡大防止や熊本豪雨災害に係る災害派遣活動で予備自補出身の予備自が活躍したことからも注目されている。
当日は、一般13人、技能1人のそれぞれの区分で採用された予備自補が辞令書交付、宣誓の後、本部長講話、制度についての説明を受けた。辞令書交付式の予行では、不慣れな行動に戸惑い、緊張している様子がうかがえたが、いざ本番では皆一様に初めてとは思えない、きびきびとした動作を見せていた。
また、本部長からそれぞれに辞令書が手渡され、一人ひとりに「よろしくお願いします」と声をかけられると、さらに引き締まった表情になり、続く「宣誓」では全員でしっかりとした口調で宣誓を読み上げるなど、意識の高さが感じられた。
引き続き「自衛隊の概要」について本部長講話が行われ、皆、これまで知らなかった自衛隊の活動の話に真剣なまなざしで興味深く耳を傾けた。
すべての行事が終了し、参加者の一人は「教育訓練の日程表をいただいたので、早く参加し、さまざまな経験をしたい」と話していた。
熊本地本は「今後も予備自補との親身な教育訓練の出頭調整などに努め、『一日でも早く、一人でも多く』予備自が誕生するよう努めていく」としている。
※橋本本部長の「橋」は、正しくは旧字となります。
本部長「深い尊厳と感謝の意を表する」|福岡地本
福岡地本(本部長・平松1陸佐)は7月3日、クローバープラザ(春日市)で「予備自衛官補採用者に対する辞令書交付式および採用時説明会」を実施した。
辞令書交付式は、福岡県内から44人が参加。気温30度を超す真夏日の中、国歌斉唱に始まり、辞令書交付、宣誓、本部長訓示まで粛々と式が進行した。
本部長訓示では、「予備自補を志願するという崇高な使命感に対し、深い尊敬と感謝の意を表するとともに、予備自補の教育訓練を通じ、予備自についての知識・技能などを習得し、一人でも多くの方が予備自に任用され、さまざまな分野における活躍を期待する。さらに、常備自衛官を希望する道に進むことも期待したい」と述べた。
参加者には、福岡地本初の「システム防護(サイバー)」や「保育士」資格保有者も含まれており、「体力面に不安を持っていたが、説明会を通じ不安が払拭(ふっしょく)され、出頭意欲が湧いてきた」「積極的に訓練に参加し、本年度中の予備自への任官を目指す」などと感想を述べていた。
それぞれが緊張した面持ちながらも、予備自補の教育訓練に対し、高い関心と強い意気込みが感じられた。
福岡地本は「教育訓練部隊と連携し、適時適切な身上把握、おのおのに寄り添った指導を行い、一人でも多く予備自への任用につなげていきたい」としている。