「災害列島・日本」を護るため、地本・部隊は今日も活動を続ける

 【2022年6月24日(金)1面】 和歌山地本が地域防災の担い手の育成に向け、和歌山大学と連携協定を締結した。国立大学との同種の協定は全国初という。学生向けに災害ボランティア学などの講座を受け持つという。今後、予測される巨大地震の影響を受ける可能性がある地域だからこその意識の高い備えだ。災害列島・日本。災害はいつ、どんな時で起こり得る。講話、職場体験、教室や写真展示など、地本は定期的に防災意識の高揚に努め、自衛隊への理解を目指す活動を続け、部隊もまた、さまざまな訓練に参加し、練度を向上させた。本日は、各地の様子を加えた「防災特集」です。

地本初 地域防災への貢献目指し、国立大と協定

 和歌山地本(本部長・中尾事務官)は6月8日、国立大学法人和歌山大学(和歌山市、伊東千尋学長)と「国立大学法人和歌山大学と自衛隊和歌山地方協力本部の連携・協力に関する協定書」を締結した。

 同協定は、双方が有する資源などの活用を図りながら相互に協力し、地域防災に貢献する人材の育成などに寄与するのが目的。

 協定調印式は和歌山大学で行われ、和歌山地本総務課長の尾﨑事務官が協定締結に至る経緯を述べた後、伊東学長と中尾地本長が協定書に署名した。

 中尾地本長は、「和歌山では南海トラフ地震が起こった場合、甚大な被害が予想される」「和歌山大学の学生の方々は、普段からボランティア活動拠点があり、防災意識が非常に高い」とした上で、「自衛隊が『公助』としてどのような活動を行うのかを学び、救急法などの実技を習得してもらうことで、『共助』としてのボランティア活動や地域防災の担い手として、さらに活躍していただけることを期待しております」と述べた。

 和歌山地本は、10月に同大学で開講される教養教育科目「災害ボランティア学」の2コマ全8コマで「自衛隊の災害派遣」「命を守る術」と題した学びの機会を提供することが決まっている。

 調印式には、授業連携を担当する地本募集課長の高野2空佐や国民保護・災害対策連絡調整官の堤事務官も参加した。また、広報官2人も同席し、学生に直接講義を行う教職員との交流を図った。

 和歌山地本は「地域と自衛隊の架け橋となり、自衛隊の活動への理解を深めてもらうとともに、学生はもとより、多くの方々に自衛隊を身近に感じてもらい、さらなる理解と協力を促進する」としている。

南海トラフ 和歌山県内の想定死者数は9万人

 和歌山県は平成26年、「東海・東南海・南海3連動地震」と「南海トラフ巨大地震」の2つの地震被害想定を行い、その結果を公表している。

 同想定調査(概要)は、(1)マグニチュード(M)8クラスの3連動地震(2)M9クラスの南海トラフ―について、平成25年3月に公表した県の津波浸水想定の結果を反映。震度や津波の浸水などをもとに、人的被害、建物被害などを取りまとめた。結果は次の通り。

 【最大津波高】(1)3連動地震=5~10メートル(2)南海トラフ=8~19メートル【死者数】(1)約1万9000人(2)約9万人【建物被害・全壊棟数】(1)約5万9000棟(2)約15万9000棟【避難者】(1)約28万人(2)約44万人【交通施設被害・道路】(1)約1500カ所(2)約2100カ所【同・鉄道】(1)約600カ所(2)約800カ所

 このほか、水道や電気、ガスなどのライフラインでも大きな被害を想定している。

画像: 集合写真

集合写真

画像: 地本長への取材

地本長への取材

画像: 伊東大学長によるあいさつ

伊東大学長によるあいさつ

画像: 中尾地本長によるあいさつ

中尾地本長によるあいさつ

大阪、神奈川両地本でも

 自衛隊は、これまでにも大学と安全保障や防災など、さまざまな協定を結んでいる。

大阪地本は令和2年10月1日、近畿大学と教育、研究、社会貢献などの幅広い分野で相互に協力し、双方が発展するための「包括連携協定」を締結した。

 「国民の命と平和な暮らしを守る」ためにそれぞれの資源の活用を図り、幅広い分野で相互に協力して地域社会に貢献する人材の育成に寄与するのが目的。国の安全保障や防災などに関する知識・理解の深化を図り、自衛隊の活動や地域社会への貢献などについても連携・協力を強化していくことにした。

 一方、神奈川地本も令和3年9月30日、日本体育大学と包括連携協定を結んだ。

 日体大によると、それぞれの資源などを生かしながら教育、研究、社会貢献などの幅広い分野で協力し、地域社会に貢献する人材を育成するのが目的。具体的には、安全保障や防災などの分野で、同大学の保健医療学部救急医療学科や保健医療学研究科救急災害医療学専攻をはじめとする各学部、大学院での教育、研究などを行う。

 同大学は、「『国民の命と平和な暮らしを守る』さまざまな取り組みへの貢献につながることが期待されている」としている。


◆関連リンク
自衛隊 和歌山地方協力本部
https://www.mod.go.jp/pco/wakayama/


【1面特集記事】
 (和歌山地本)
 (静岡地本)
 (鹿児島地本)

【2面特集記事】
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 (板妻駐34普連)
 (板妻駐業務隊)


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