【2022年4月6日(水)1面】 3月30日付で海上幕僚長に就任した酒井良海将(前横須賀地方総監)が同日、着任した。東京・市ケ谷の防衛省で行われた着任式には、多くの幹部らが出席。酒井海幕長は栄誉礼、幹部らへの訓示など一連の行事をこなした。酒井海幕長は早速、海自公式ホームページで所信を表明。「日本の防衛政策は、大きな転換点を迎えている。海自には、将来の環境変化の動向を踏まえた大胆な政策の立案が求められている」などと述べ、その先頭に立って牽引けんいんする覚悟を改めて強調した。
この日の着任式は、防衛省儀仗(ぎじょう)広場で行われ、酒井海幕長は、着任式で儀仗隊による栄誉礼を受けた後、儀仗隊を巡閲した。
その後、幹部らに対して訓示を行った後、山村前海幕長との引き継ぎを実施。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、海自には大きな期待が寄せられる。そのトップとしての重責を担う海幕長として、新たなスタートを切った。
酒井海幕長は滋賀県出身の59歳。昭和62年に防衛大学校を卒業後、1護衛隊群司令、護衛艦隊司令部幕僚長、海幕防衛部長、大湊地方総監、呉地方総監、横須賀地方総監などを歴任した。
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酒井海幕長は、同日午後には海自公式ホームページ上で、「ごあいさつ」として着任にあたっての心境をつづった。
その中では、とくに「『人』『機能』『構想』『協働』の4つの努力の方向性を今後も堅持する」とした上で、将来のいかなる環境変化にも耐え得る精強な海自を築くため、(1)平時のみならず、有事における高負荷環境下でも戦い続けられる「長期持続力」の構築を目指す(2)有事で求められるのは、使命に基づく現場部隊の迅速・的確な処置・判断。平素からよりスピード感ある意思決定プロセスを構築する-の2点を強調した。
最後に、酒井海幕長は「全隊員が一丸となって職務に邁進(まいしん)し、海を護(まも)り、わが国の平和と独立を守り抜きます」と締めくくった。
山村前海幕長が退任
海幕長を退任した山村海将は3月30日、防衛省内で行われた離任式に臨んだ。
約3年間、海上自衛隊を率いた山村前海幕長は、儀仗隊による栄誉礼を受け、海自横須賀音楽隊による演奏が流れる中、参列した岸信夫大臣や鬼木誠副大臣らにあいさつ。鬼木副大臣からは握手を求められ、満面の笑みを浮かべていた。
その後、正門前階段の両側に整列した多くの幹部や職員らに対し、うなずきながら応え、花束を受けた=写真。最後に帽子を取ってあいさつし、防衛省を後にした。
海自は公式ツイッターで離任式の様子を動画で紹介した。