【2022年1月13日(木)2面】 防衛省は1月11日午前7時25分ごろ、北朝鮮の内陸部から弾道ミサイルの可能性があるものが少なくとも1発、東方向に発射されたと発表した。詳細は分析中だが、岸信夫防衛大臣によると、落下したのはわが国の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。同日現在、航空機や船舶からの被害報告などの情報は確認されていない。北朝鮮は今月5日、日本海のEEZ外に「新型弾道ミサイル」を発射したばかり。
岸大臣「深刻な課題」
防衛省では、政府内、関係機関に対して情報共有を行い、岸田文雄首相に速やかに報告。首相からは、(1)情報収集・分析に全力を挙げ、国民に対して迅速・的確な情報提供を行うこと(2)航空機、船舶などの安全確認を徹底すること(3)不測の事態に備え、万全の態勢をとること-3点の指示があった。
岸田首相は11日、記者団に対し、「北朝鮮が継続してミサイルを発射しているのは、極めて遺憾なこと。政府としてこれまで以上に警戒、監視を強めている」と述べた。
岸大臣は閣議後の会見で、「通常の弾道軌道だとすれば、およそ700キロ飛翔したと推定される。一連の北朝鮮の行動は、わが国と地域の平和を脅かすもので、わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題」と説明。米国などと緊密に連携し、情報収集・分析、警戒監視に万全を期すことなどの指示を出し、その後、関係幹部会議を開催した。
また、松野博一官房長官は会見で「一連の北朝鮮の行動は、わが国と地域および国際社会の平和と安全を脅かすものであり、強く非難する」と述べた。
岸大臣は5日に発射されたミサイルについて、北朝鮮から発射されたことのない新型弾道ミサイルであることを明らかにした上で、「北朝鮮は令和元年5月以降、約40発もの頻繁な発射を繰り返している。その目的がミサイル技術の向上にあることは明らか。わが国を含む国際社会全体にとっての深刻な課題だ。いわゆる『敵基地攻撃能力』の保有も含め、あらゆる選択肢を検討し、今後も防衛力の抜本的な強化に取り組む」と述べていた。