新年、明けましておめでとうございます。
昨年、陸上自衛隊は、多様な任務への対応として、新型コロナウイルスワクチンの自衛隊大規模接種センターの運営、熱海(静岡県)における災害派遣活動、在アフガニスタン・イスラム共和国邦人等輸送のほか、東京2020大会支援などの任務を完遂しました。
また、過去最大規模の演習として陸上自衛隊演習を実施し、作戦準備に焦点を当てた総合的な検証および練度向上を図るとともに、陸自の領域横断作戦と米陸軍MDO/米海兵隊EABOとの連携を焦点として日米共同訓練を質的に向上させ、同盟の抑止力・対処力の強化に寄与して参りました。
これらに加え、QUAD、ASEAN、欧州などと2国間・多国間との防衛協力・交流を多層的に積み重ね、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に寄与したほか、領域横断作戦に必要な能力および運用基盤を強化するための防衛力整備に着実に取り組んで参りました。
さて、インド太平洋地域においては、「大国間競争」、大量破壊兵器の「不拡散体制への挑戦」、非国家主体による「グローバルテロリズム」の3層の脅威や不安定要素がすべて存在し、かつ先鋭化しつつあり、わが国は国際的な安全保障の最前線に位置していると認識しております。また、新型コロナウイルス感染症が、世界的に米中の戦略的競争とAIデジタル化を加速している状況にあります。
令和4年は、わが国を取り巻く戦略環境が加速度的に厳しさを増す中、2035年頃までのわが国の安全を担保するため、国家安全保障戦略、大綱・中期防の見直しが行われる分水嶺となる年です。
陸上自衛隊としても、引き続き「変革の加速」「実力の進化」「信頼の増進」を合言葉に、大胆かつ柔軟な発想により、統合運用の下、わが国の防衛力強化に資するイノベーションを進めて参ります。
本年も強靭(きょうじん)な 陸上自衛隊の創造に邁進(まいしん)することをお誓いするとともに、皆様にとって心穏やかな一年になるようお祈り申し上げ、ご挨拶と致します。
【2022年1月6日(木)2面で掲載】