前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2021年12月4日(土)
離島防衛想定し米海兵隊と実動訓練
◯国内における陸上自衛隊と米海兵隊の共同実動訓練「レゾリュート・ドラゴン21」の訓練開始式が王城寺原演習場(宮城県)で行われた。
「レゾリュート・ドラゴン21」は、陸上自衛隊と米海兵隊の部隊がそれぞれの指揮系統に従い、共同して作戦を実施する場合の相互連携要領を実行動により訓練し、日米の連携強化と共同対処能力の向上を図るのが目的。
陸自から約1400人、米海兵隊から約2650人が参加する国内最大規模の訓練で、今回は東北方面隊が初めて参加した。
離島防衛などを想定し、米海兵隊の輸送機オスプレイによる日米隊員の輸送展開訓練や、陸自の地対艦誘導弾と米軍の高機動ロケット砲システムHIMARS(ハイマース)を用いた対艦戦闘訓練などを実施。訓練は王城寺原演習場(宮城県)、岩手山演習場(岩手県)、八戸演習場(青森県)、霞目駐屯地(宮城県)、矢臼別演習場(北海道)などで17日まで行われる。
2021年12月5日(日)
日米共同方面隊指揮所演習(YS81)始まる
◯伊丹駐屯地(兵庫県)の中部方面総監部で、令和3年度日米共同方面隊指揮所演習(YS81、通称「ヤマサクラ」)の訓練開始式と共同記者会見が行われた。
米陸軍からブランソン中将(米陸軍第1軍団長)とヴァウル少将(在日米陸軍司令官)を迎えた訓練開始式で、中部方面総監の野澤真陸将は「本演習の成功が日米同盟の絆をより一層深めるとともに、アジア太平洋地域の安定に大きく貢献する」と訓示した。
防衛省は「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化するため共同作戦能力を向上させ、領域横断作戦に必要な能力を強化していく」としている。
訓練開始式の様子は、陸上自衛隊中部方面隊のツイッターで公開されている。
2021年12月6日(月)
鬼木防衛副大臣がパワハラ防止に向け意見交換
◯鬼木誠防衛副大臣は、防衛省で開催された「第9回防衛省におけるパワー・ハラスメントの防止に関する検討委員会」に委員長として出席した。
鬼木副大臣は、防衛省・自衛隊におけるパワー・ハラスメントの防止に係る各種の取り組みについて説明を受け、パワー・ハラスメントの根絶に向けた実効的な対策について、各委員と活発に意見交換を行った。
防衛省は、「防衛力の中核である隊員が、士気高く、安心して働ける環境を構築するため、引き続き必要な取り組みを進めていく」としている。
大規模接種センター活動記録動画を作成
◯防衛省は、11月30日に運営を終了した自衛隊大規模接種センターについて、活動記録動画を作成・公開した。
191日間の運営期間中、東京、大阪合わせて延べ約28万人が勤務し、約196万回の接種を行った。動画は約2分間で、防衛省・自衛隊のホームページで閲覧できる。
2021年12月7日(火)
岸防衛相、真珠湾80年に「歴史を振り返る機会」
◯岸信夫防衛大臣は閣議後の会見で、中国が台湾周辺での動きを活発化させていることや、米軍三沢基地(青森県三沢市)所属のF16戦闘機が飛行中に燃料タンクを投棄した問題について、質問に答えた。
また、8日で真珠湾攻撃から80年となることに触れ、「日米関係の歴史を改めて振り返り、二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの決意を新たにする重要な機会であると考えております」と述べた。
会見の様子は防衛省・自衛隊のホームページで閲覧できる。
2021年12月8日(水)
真珠湾から80年 自衛官が歴史学ぶ
◯日米開戦のきっかけとなった真珠湾攻撃から80年を迎え、ハワイや米本土で追悼式が行われた。
日本では、陸上自衛隊衛生学校の自衛官8人が東京都千代田区にある戦傷病者史料館「しょうけい館」を訪れ、研修の一環として戦争の語り部の話に耳を傾けた(NHK NEWS WEB 12月8日「真珠湾から80年 各地で平和への思いを新たに」より)。
しょうけい館は、戦傷病者とその家族らの戦中・戦後に体験したさまざまな労苦についての証言・歴史的資料・書籍・情報を収集、保存、展示し、後世代の人々にその労苦を知る機会を提供するための国立の施設。2006年(平成18年)3月に開館した。
山崎統幕長が国連TPPのオンライン講義を視察
◯山崎幸二統合幕僚長は、国連三角パートナーシップ・プロジェクト(UNTPP:The UNTriangular Partnership Project)のオンライン講義を視察した。
UNTPPでは、陸上自衛官が教官となり、国連PKOミッションにおける工事現場の管理でよくある問題への対処法について、カンボジア、インドネシア、ベトナムの工兵要員に工事管理に必要な識能を修得させる教育・訓練を行っている。
防衛省は「さまざまな工程表の作成実習などを通じて、自衛隊は今後も国際平和協力に貢献していく」としている。
岩本防衛政務官が空自航空支援集団を視察
◯岩本剛人防衛政務官は、航空自衛隊府中基地に所在する航空支援集団司令部、航空開発実験集団司令部、宇宙作戦隊、中枢気象隊を視察した。
岩本政務官は、各部隊の任務などに関する報告を受け、施設などを巡視。隊員を激励した。
航空支援集団には航空輸送の機能があり、平成4年以降、従来の国内における物資や人員の輸送、航空機の管制などの任務に加え、PKOなどの国際平和協力活動、国賓の空輸や在外邦人などの輸送といった新たな任務が付与され、活動の場が世界に広がっている。
2021年12月9日(木)
岸防衛相がカナダの国防大臣とテレビ会談
◯岸防衛大臣は午前8時45分から約30分間、新たに就任したアナンド・カナダ国防大臣とテレビ会談を行った。
両大臣は、インド太平洋地域における法の支配を維持・促進するため、引き続き緊密に連携していくことを確認。また、北朝鮮情勢について、これまでの弾道ミサイルなどの度重なる発射を含め、国際社会全体にとっての深刻な課題であるとの認識を再確認した。
両大臣は、今後も防衛当局間の緊密なコミュニケーションを継続するとともに、「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化に向け、防衛協力・交流を活発に進めていくことで一致した。
硫黄島戦没者遺骨引渡式に鬼木防衛副大臣が参列
◯鬼木防衛副大臣は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で実施された硫黄島戦没者遺骨引渡式に参列した。
戦没者の遺骨収集は、「国の責務」として政府一体となって取り組むべき重要な施策であり、防衛省は「引き続き厚生労働省と連携し、戦没者の遺骨収集にしっかりと協力していく」としている。
岩本防衛政務官がYS81を視察
◯岩本防衛政務官は、陸上自衛隊伊丹駐屯地を訪れ、令和3年度日米共同方面隊指揮所演習(YS81、通称「ヤマサクラ」)を視察した。
ヤマサクラは陸上自衛隊が米陸軍・海兵隊と行う日米陸軍種間で最大規模の指揮所演習。従来の領域にサイバー、宇宙、電磁波領域を加えた領域横断作戦について、日米の連携要領の具体化について演練している。訓練は13日まで。
トカラ列島の地震被害情報を収集
◯午前11時5分ごろ、鹿児島県トカラ列島近海を震源とする最大震度5強の地震が発生。海上自衛隊第1航空群所属のP1哨戒機、航空自衛隊新田原救難隊所属のU125救難捜索機、第5航空団所属のF15戦闘機、海自補給艦「とわだ」が現場空海域に向かい被害情報を収集した。
9日夕現在、悪石島の2カ所でがけ崩れが起きたことを確認したが、住民に被害は出ていない。
2021年12月10日(金)
海自新型護衛艦「みくま」が進水
◯令和元年度計画の海上自衛隊の新型3900トン型護衛艦(FFM)である「もがみ型」護衛艦4番艦の命名式・進水式が、長崎市の三菱重工長崎造船所で行われた。
命名式の執行者は、佐世保地方総監の出口佳努海将。艦名は大分県日田市付近を流れる「三隈川」にちなみ「みくま」と命名された。式には鬼木防衛副大臣も参列した。
「みくま」は全長133メートル、全幅16.3メートル。船体がコンパクト化され、省人化と船価抑制を実現した初めての護衛艦となった。