【2021年11月18日(木)2面】 岸信夫防衛大臣は11月14日、山口県防府市の空自防府北基地を視察し、宇宙領域での防衛能力強化に向けて専門で対応にあたる「第2宇宙作戦隊」を来年度、同基地に新設する方針を明らかにした。「宇宙作戦隊」は、日本の人工衛星の他国からの攻撃や妨害を守るとともに、宇宙ごみ(スペースデブリ)の警戒活動も担う部隊。東京・府中基地に続く2カ所目の措置となる。
防衛省などによると、第2宇宙作戦隊は約20人の体制で発足する。山口県山陽小野田市に2023年(令和5)度の運用開始を目指して宇宙監視用レーダーを建設中で、これらを活用しながら監視にあたる予定という。同省では、防府北基地を宇宙監視の「西の拠点」にしたい考えだ。
防衛省によると、岸大臣は防府北基地などの視察後の臨時記者会見で、「宇宙などの新領域と陸海空の従来領域の組み合わせによる戦闘様相に適応することが死活的に重要。こうした認識の下で、防衛省では宇宙領域における戦力を強化する」とし、令和4年度予算の概算要求で庁舎などの建設工事費として、0.7億円を計上していることを明らかにした。
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宇宙領域の対応では、「令和3年防衛白書」でサイバー、電磁波とともに言及。「自衛隊の活動を妨げる行為を未然に防止するため、常時継続的に監視し、関連する情報の収集・分析を行うとともに、かかる行為の発生時には、速やかに事象を特定し、被害の局限、被害復旧などを迅速に行う」とし、「わが国への攻撃に際しては、こうした対応に加え、領域を活用して攻撃を阻止・排除する」と記している。
また、社会全般が宇宙空間やサイバー空間への依存を高めていく傾向などを踏まえ、「関係機関との適切な連携・役割分担のもと、政府全体としての総合的な取り組みに寄与する」と強調している。