前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2021年10月16日(土)
海自が米海軍との相互運用性向上を図る
◯海上自衛隊は10月12日から16日の間、日米同盟の抑止力・対処力を強化するため、米海軍と共同訓練を実施した。海自の戦術技量と米海軍との相互運用性の向上が目的。
訓練は、四国南方から関東南方の海空域で行われ、海自護衛艦「こんごう」、米海軍の空母「ロナルド・レーガン」と巡洋艦「シャイロー」が参加。各種戦術訓練を実施した。
派遣海賊対処行動水上部隊がEU海上部隊と共同訓練
◯海上自衛隊の派遣海賊対処行動水上部隊は、EU海上部隊(スペイン海軍)との間で共同訓練を実施した。海自の戦術技量の向上とEU海上部隊との連携強化が目的。EU海上部隊との共同訓練は今年4回目。
訓練はアデン湾で行われ、海自護衛艦「ゆうぎり」とEU海上部隊(スペイン海軍)のフリゲート「ビクトリア」が参加。クロスデッキ、小火器射撃訓練、乗船訓練を実施した。
防衛省は、「自衛隊は同志国とともに法の支配、航行の自由などの基本的ルールに基づく開かれ、安定した海洋の維持・強化を推進していく」としている。
2021年10月17日(日)
米・カナダの軍艦が台湾海峡で共同作戦
◯ロイター通信は17日、米国とカナダの軍艦が15日に台湾海峡を通過したと伝えた。
中国が台湾の防空識別圏に多数の軍用機を進入させたことに対し、米軍の駆逐艦とカナダ軍のフリゲートが台湾海峡を通過する共同作戦を実施したと見られている。台湾海峡へは米軍の艦艇が頻繁に航行しているほか、最近では英国の軍艦も通過している。
中国は米加の共同作戦を強く非難する談話を発表。一方、米国は「自由で開かれたインド太平洋」に向けた米国と同盟国、パートナーの決意を示すものと説明している。
2021年10月18日(月)
海自護衛艦「しらぬい」がシンガポールに寄港
◯海上自衛隊のインド太平洋方面派遣(IPD21)部隊は10月14日から18日まで、シンガポール共和国のチャンギ港に寄港した。
「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、基本的利益と考え方を共有する重要なパートナーであり、海上交通の要衝であるシンガポールとの連携を強化するのが目的。
海自護衛艦「しらぬい」が寄港し、補給などを行った。
日米豪英がベンガル湾で共同訓練
◯海上自衛隊のインド太平洋方面派遣(IPD21)部隊は10月15日から18日の間、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて、米海軍、オーストラリア海軍、イギリス海軍と共同訓練(Maritime Partnership Exercise)を実施した。海上自衛隊の戦術技量の向上と参加国海軍との連携の強化が目的。
訓練はベンガル湾海空域で行われ、海自から護衛艦「かが」「むらさめ」が参加。米海軍の空母「カール・ヴィンソン」、巡洋艦「レイク・シャンプレーン」、 駆逐艦「ストックデール」「ザ・サリバンズ」、 補給艦「ユーコン」、P8A対潜哨戒機、オーストラリア海軍のフリゲート「バララット」、イギリス海軍の空母「クイーン・エリザベス」、駆逐艦「ディフェンダー」、フリゲート「リッチモンド」、補給艦「フォート・ビクトリア」「タイドスプリング」と共に、対抗戦、防空戦、対水上射撃、洋上補給などの高度な訓練を実施した。
中ロの海軍艦艇が初めて同時に津軽海峡を通過
◯海上自衛隊は午前8時ごろ、北海道奥尻島の南西約110kmの海域を東進する中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイⅡ級フリゲート2隻、フチ級補給艦1隻、ならびにロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦2隻、ステレグシチー級フリゲート2隻、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻を確認した。
その後、これらの艦艇は津軽海峡を東進し、太平洋へ向けて航行した。
これらの10隻の艦艇のうち中国の艦艇5隻については、10月11日(月)に対馬の南西海域で確認され、その後、対馬海峡を北東進したものと同一だった。
また、中国海軍艦艇とロシ ア海軍艦艇が同時に津軽海峡を通過することを確認したのは、今回が初めて。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第2航空群(八戸)所属のP3C哨戒機、第45掃海隊(函館)所属の掃海艇「いずしま」「あおしま」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
岸防衛相が千鳥ヶ淵戦没者墓苑慰霊祭に参加
◯岸信夫防衛大臣は、東京都千代田区の千鳥ヶ淵戦没者墓苑で行われた秋季慰霊祭に参列し、献花を行った。
千鳥ヶ淵戦没者墓苑秋季慰霊祭は、毎年秋に公益財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会主催で行われている。
10代・20代の男性のみ、ファイザー社のワクチンへの変更が可能に
◯防衛省は、10月11日(月)から10月17日(日)までに自衛隊が大規模接種センターで実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数を発表した。東京は9493回、大阪は3095回。
防衛省は、厚生労働省が15日に「新型コロナワクチン接種後、ごくまれに心筋炎・心膜炎の発症事例が報告されていること、10代・20代男性で武田/モデルナ社よりファイザー社のワクチンの方が、心筋炎・心膜炎の疑い報告の頻度が低い傾向が見られる」と報告したことを受け、自衛隊大規模接種センターでも、「10代・20代の男性については、十分な情報提供の上、ファイザー社の新型コロナワクチンの接種を選択できることとする」と発表した。
発表資料によると、10代・20代の男性で自衛隊大規模接種センターで接種を予約している人(すでに1回目のモデルナワクチンの接種を受けている人を含む)は、そのままモデルナワクチンを接種することも可能だが、ファイザー社のワクチンの接種を選択することもできる。ただし、自衛隊の接種センターではファイザー社のワクチンを扱っていないため、ファイザー社のワクチンの接種を希望する場合には、居住する地域の医療機関などでの予約が必要となる。
防衛省は、「センターで接種を受けないこととした場合には、忘れずにセンターの予約の取り消しをお願いします。また、今回の厚生労働省の発表により、1回目に武田/モデルナ社のワクチンの接種を受けた上で2回目にファイザー社のワクチン接種を受けることが認められるのは10代・20代の男性のみであり、10代・20代の女性やその他の年代の人は、引き続き、同一のワクチンを接種することが原則とされていますのでご注意ください」と呼び掛けている。
(参考)厚生労働省作成リーフレット「新型コロナワクチン接種後の心筋炎・心膜炎について」(2021年10月15日)
2021年10月19日(火)
北朝鮮がミサイル発射 潜水艦発射型の可能性
◯防衛省は、北朝鮮が午前10時15分ごろ、朝鮮半島東部の新浦付近から、2発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様であると発表した。
発射された弾道ミサイルのうち1発は、最高高度約50kmを変則軌道で約600km飛翔し、朝鮮半島東側の日本海に落下。落下地点は日本の排他的経済水域(EEZ)外と推定される。
また、弾道ミサイルは潜水艦発射型弾道ミサイル(SLMB)の可能性があり、もう1発の飛翔距離などについては、引き続き分析中としている。
防衛省は、「今回の発射は、関連する国連安保理決議に違反するものであり、極めて遺憾。また、日本と地域の平和と安全を脅かすものであり、強く非難する」との声明を発表。「引き続き、米国などとも緊密に連携し、大臣指示に基づき情報の収集・分析および警戒監視に全力をあげるとともに、今後追加して公表すべき情報を入手した場合には、速やかに発表する」としている。
在日米海軍司令が山村海幕長らを表敬
◯海上幕僚長の山村豊海将、統合幕僚副長の鈴木康彦空将、岩本剛人防衛大臣政務官は、着任した在日米海軍司令官のラティ少将による表敬を受けた。
山村海幕長は懇談で、日米同盟の抑止力と対処力を強化するために、引き続き海上自衛隊 と在日米海軍の強固な連携が重要であることを確認した。
鈴木統幕副長は、在日米軍と自衛隊の緊密な連携が強固な日米同盟の基盤であるとの認識の下、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた日米豪印(クアッド)や欧州各国との取り組みの重要性について確認。
岩本政務官は、日米同盟のさらなる発展のため、海上自衛隊と米海軍とが引き続き緊密に連携していくことを確認した。
岩本政務官が硫黄島戦没者遺骨引渡式に参加
◯岩本防衛大臣政務官は、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で行われた硫黄島戦没者遺骨引渡式に防衛省を代表して参列し、献花を行った。
遺骨は、硫黄島から航空自衛隊の輸送機で入間基地に運ばれ、隊員らが出迎えた。
2021年10月20日(水)
阿蘇山噴火に伴い、ヘリで被害情報を収集
◯午前11時43分ごろに発生した阿蘇山(熊本県)の噴火に伴い、陸上自衛隊西部方面ヘリコプター隊のUH1多用途ヘリコプターが上空から被害情報の収集を行った。
米ミサイル防衛庁長官が岸防衛相を表敬
◯岸防衛大臣は、ジョン・ヒル米ミサイル防衛庁長官の表敬を受けた。
両者は、日米ミサイル防衛協力の重要性について意見を交換するとともに、さらなる日米連携の強化に向けて協力を進展させていくことで一致した。
駐日カンボジア大使が岸防衛相を表敬
◯岸防衛大臣は、ウン・ラチャナ駐日カンボジア王国特命全権大使の表敬を受けた。
両者は、今後の二国間の防衛協力に関して意見交換を行った。
防衛省は「2022年は、自衛隊が初めて国連PKOミッションとしてカンボジアに部隊を派遣してから30周年という、両国にとって意義深い年。カンボジアとの防衛協力・交流を一層発展させていきたい」としている。
井筒空幕長とインド空軍参謀長がテレビ会談
◯航空幕僚長の井筒俊司空将は、9月30日付でインド空軍参謀長に就任したチョウダリ空軍大将とVTC会談を行った。
会談では、日印防衛協力・交流の重要性について確認したほか、2022年の日印国交樹立70周年に向けて、空軍種間でも防衛協力・交流を推進していくことで一致した。
航空自衛隊は「日印両国およびインド太平洋地域の平和と安定に貢献するため、インド空軍との関係強化を図っていく」としている。
鳥取で行方不明者捜索に係る災害派遣を実施
◯午後4時23分、陸上自衛隊第8普通科連隊(米子駐屯地・鳥取県米子市)の連隊長に対し、鳥取県知事から行方不明者捜索に係る災害派遣要請があった。
鳥取県倉吉市関金町関金宿の山中に山菜取りのため18日に入山した男性(90歳)が下山せず、19日以降、警察や消防などが捜索したが発見に至らなかった。
第8普通科連隊は21日早朝から、警察や消防などと連携して捜索活動を実施。22日午後1時58分に8普連の隊員が行方不明者を発見した。午後4時39分、鳥取県知事から8普連長に対して災害派遣撤収要請があり、活動を終了した。
「しらせ」の酒井艦長が岸防衛相に出国報告
◯岸防衛大臣は、海上自衛隊砕氷艦「しらせ」の酒井艦長から出国報告を受けた。
「しらせ」は10月27日に横須賀を出港し、14日間の停留隔離を経た後、第63次南極地域観測に協力。CH101輸送ヘリコプター×2機とともに、日本と昭和基地間の人員や物資の輸送など、さまざまな任務にあたる。
2021年10月21日(木)
津軽海峡を抜けた中ロ艦艇を伊豆諸島で確認
◯統合幕僚監部が21日に公表した情報によると、18日に北海道奥尻島沖で確認され、津軽海峡を東進した中国とロシアの海軍艦艇などが、20日午前1時ごろ、千葉県犬吠埼の東約130kmを引き続き南進し、21日午前4時ごろには、伊豆諸島の須美寿島と鳥島との間の海域を西進したことが確認された。
その後、須美寿島の南西約50~100kmの海域で、中国海軍のジャンカイⅡ級フリゲート1隻、ロシア海軍のステレグシチー級フリゲート1隻と艦載ヘリコプターの発着艦を確認した。
領海への侵入はなく、国際法上の問題はなかったが、中ロ艦艇がこれだけ広範囲に活動するのは異例。
防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第2航空群(八戸)所属のP3C哨戒機、第45掃海隊(函館)所属の掃海艇「いずしま」、第11護衛隊(横須賀)所属の護衛艦「やまぎり」、第6護衛隊(横須賀)所属の護衛艦「たかなみ」により、所要の情報収集・警戒監視を行った。
また、艦載ヘリの発着艦に対し、戦闘機を緊急発進させるなどの対応を行った。
山崎統幕長がNATO軍事委員長と会談
◯統合幕僚長の山崎幸二陸将は、NATO軍事委員長ロブ・バウアー海軍大将とテレビ会談を行った。
両者は、インド太平洋地域における認識を共有し、現在のグローバルな安全保障上の課題について議論。
また、今後の日本とNATO間の防衛協力や交流、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の実現のため、協力関係を強化していくことで一致した。
危険業務従事者叙勲 防衛省関係は944人
◯政府は10月21日付で、第37回「危険業務従事者叙勲」の受章者を発表した。
防衛省関係の受章者は944人(うち女性9人)で、瑞宝双光章が560人、瑞宝単光章が384人。発令は「文化の日」の11月3日に行われる。
海自と海上保安庁が不審船対処を訓練
◯海上自衛隊は、海上保安庁と不審船対処に関する共同訓練を実施した。不審船対処に係る海自の技量の向上と、海上保安庁との共同対処能力の強化が目的。訓練は今回で22回目。
訓練は東シナ海の海空域で行われ、海自から佐世保地方総監部、護衛艦「あぶくま」、海上保安庁から第十管区海上保安本部、巡視船「あかいし」「とから」「かいもん」「たかちほ」とMA952固定翼機が参加。重要施設などに向かう不審船を想定し、情報共有訓、共同追跡・監視、停船措置を訓練した。
2021年10月22日(金)
ジブチの災害対処能力強化を支援
◯自衛隊は10月22日から12月24日までの約2カ月間、ジブチ共和国における災害対処能力強化支援事業を実施する。21日、統合幕僚監部が発表した。
事業では、陸上自衛官13人を教官団としてジブチ共和国に派遣し、ジブチ共和国軍の工兵教官と要員に対して、災害対処に必要な重機の操作や整備について教育する。
派遣される陸上自衛隊教官団の代表者は21日、岸信夫防衛大臣に出国を報告した。
ジブチ共和国は、ソマリア沖・アデン湾で海賊対処の任務にあたる自衛隊が航空隊の拠点としており、中東地域における日本関係船舶の安全確保に関する情報収集任務も行っている。
防衛省は、「今後も二国間の相互理解・信頼醸成を促進していく」としている。
岸防衛相が「日米防衛協力」テーマに講演
◯岸信夫防衛大臣は、日本経済新聞社と米国の戦略問題研究所(CSIS)が共催するシンポジウムで、「日米防衛協力の今後の展望について」をテーマにビデオメッセージによる講演を行った。
防衛省は、「今後もさらなる日米同盟の強化に努めていく」としている。