画像: 「南極講話」に興味津々 小笠原村の全学校で|海自父島基地分遣隊

 【2021年10月15日(金)2面】 海自父島基地分遣隊(隊長・奥村2海佐=現統幕校)は7月から9月にかけて、常夏の小笠原村(父島、母島)にある小学校から高校までの4校すべてに「南極と砕氷艦『しらせ』」の講話を行った。講話は、分遣隊から各学校にしらせが南極で切り取って運んできた氷を贈呈する際に行ったもの。村内にある全学校に対し、しらせの乗組員だった隊員が一律に講話をするのは初めてのことだった。

 小笠原村は、東京都心から南に約1000キロから1900キロにわたって30余り散在する島々からなる自治体。住民は父島と母島のみに住んでおり、令和3年9月現在の人口は、父島約2130人、母島約460人。

 父島に小笠原村立小笠原小学校と小笠原中学校、東京都立小笠原高校が、母島に小笠原村立母島小中学校があり、自然豊かな島の魅力を生かした教育が行われている。

 講話をした奥村隊長は、平成26~28年の間、しらせ機関長として第56、57次南極地域観測協力行動に参加しており、実際に経験した者ならではの視点で子供たちに語りかけた。

 講話では、南極の氷のでき方、しらせが氷を砕いて進む方法、白夜の景色、ペンギンの群れ、洋上で見るオーロラなど、亜熱帯の小笠原からすると別次元のような南極の話に子供たちは興味深く聞き入り、聴講後には「新型コロナウイルス感染症は、南極まで行っていませんか」など、この時世ならではの質問もあった。

 さらに、子供たちは実際に氷に触り、その中にある気泡を観察するなどし、各回とも大いに盛況だった。

 本土から遠く離れた小笠原村は、コロナ感染防止対策が首都圏より厳格に施されており、例年数多く開催されている諸式典やお祭り、運動会などの島内交流イベントがことごとく中止となっている。

 このような状況下で、今回の講話は50年以上培ってきた小笠原村と海自父島基地分遣隊との信頼関係と各学校の自衛隊に対する深い理解の上で成り立ったものだった。

 奥村隊長は「講話を聞いて少しでも南極のことに関心を持ち、亜熱帯から極地にわたるスケールの大きい視野を将来に役立ててもらえたらうれしい」と語っている。


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海上自衛隊 父島基地分遣隊
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