就任の記者会見で方針を発表する岸田首相(首相官邸ホームページから)

 【2021年10月7日(木)1面】 自民党の岸田文雄総裁は10月4日に召集された臨時国会で、第100代首相に指名され、自民、公明両党連立による岸田内閣が発足した。岸田首相は同日、首相官邸で記者会見に臨み、基本方針の中で新型コロナウイルス対策を最優先課題と位置付け、内閣を「新しい時代を国民とともにつくっていく『新時代共創内閣』」であることを強調した。また、国民を守り抜くために、日米同盟を基軸に、毅然とした外交・安全保障を展開すると述べた。また、岸信夫防衛大臣は再任され、引き続き安全保障、災害派遣などの指揮にあたることになった。

画像: 岸田内閣がスタート 「新時代共創内閣」と命名

【3つの約束】

 首相は会見で、政権運営の基本として国民との丁寧な対話を大切にするとし、(1)国民の声を丁寧に聞き、政策に反映させていくこと(2)個性と多様性を尊重する社会を目指すこと(3)みんなで助け合う社会を目指すこと-の3つを約束すると語った。

 まず、新しい資本主義の実現に関しては、「成長と分配の好循環と、コロナ後の新しい社会の開拓」のため、格差の是正や社会変革に取り組むことを強調。成長戦略とともに富の再分配を重視するとし、「新しい資本主義実現会議」を設置し、ポストコロナ時代の経済社会ビジョンを策定する考えを明らかにした。

 コロナ対策については、これまでの対策を検証した上で、ワクチン接種や医療体制の確保、検査の拡充などの取り組みを強化するため、対応策の全体像を早急に示すことを関係閣僚に指示するとともに、「丁寧な説明と、常に最悪の事態を想定して対応する」ことを明らかにした。

 また、緊急時における人流抑制や病床確保のための法整備を進める考えだと述べた。

【3つの覚悟】

 さらに、自衛隊の最高指揮官という立場に関連。「国民を守り抜く、外交・安全保障」として、日米同盟を基軸にし、(1)自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を守り抜く(2)日本の領土、領海、領空および国民の生命と財産を断固として守り抜く(3)核軍縮・不拡散や気候変動問題など地球規模の課題に向き合い、人類に貢献し、国際社会を主導する-の「3つの覚悟」を示した。

【対中国、「主張する」】

 首相は、周辺諸国への対応についても言及。中国に対しては、「対話を続けつつ主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求める」とし、北朝鮮の拉致、核、ミサイル問題を包括的に解決し、国交正常化を目指すとともに、北方領土問題を解決し、日露平和条約の締結を目指すことを強調した。

 危機管理については、大規模な自然災害やテロなど、国家的な危機が生じた際は、「国民の生命と財産を守る」とし、そのために「常に最悪を想定する」とコロナ対策と同様の言葉を使った上で、「平素から準備に万全を期す」と述べた。

 このほか、「東北の復興なくして日本の再生なし」という強い思いの下、全力を尽くすとする一方、「災害に強い地域づくり・国土強靭化を一層推進する」と強調した。

岸防衛相が再任、5日登庁

画像: 5日、防衛省に登庁した岸大臣 防衛省ホームページから

5日、防衛省に登庁した岸大臣

防衛省ホームページから

 岸信夫防衛大臣は10月4日に発足した岸田文雄新内閣で、再任され、同5日、防衛省に登庁した。

 岸大臣は5日の記者会見で「厳しい安全保障環境の中、身が引き締まる思い。しっかり力を尽くす」と述べた。

 また、岸田首相からは、①各種事態、災害に適切に対処する②戦略的かつ体系的な安全保障政策を実施する③陸海空の枠にとらわれず、真に実効的な防衛力を構築する④米国と協力し、抑止力を高める⑤日米同盟を強化し、防衛協力・交流を推進する⑥沖縄をはじめ、地元の負担軽減を実現する―の指示があったことを明らかにした。


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