防衛省のおひざ元、市ケ谷(東京都新宿区)から程近いビジネス街に、自衛隊ファン必見(そして必食!)のお店がある。その名も「やっぱりカレーは金曜日だよね」。
今回は、「食欲の秋!緊急特集」ということで、すでに自衛隊ファンの間でも有名になりつつあるこのお店の魅力を紹介する。
店名と自衛隊の深~いカンケイ
「やっぱりカレーは金曜日だよね」という店名を聞いて、すぐに「何か自衛隊に関係あるのかな?」とピンときたアナタは、きっと周囲から「自衛隊通」と言われていることだろう。「カレーを金曜日に食べる」のは海上自衛隊の古くからの習わしで、長い艦上生活において乗組員が曜日感覚を失わないようにするため、旧海軍で週末にカレーを食べていたことが由来と言われている。海自では毎週金曜日のランチにカレーライスを食べているが、「週末に食べる」から、はっきり「金曜日に食べる」になったのは、世間に週休2日制が定着してからのことだそうだ。
では、そもそもなぜ旧海軍ではカレーを習慣的に食べるようになったのだろうか。これはイギリス海軍の影響と言われている。イギリスと言えば、カレー大国・インドの旧宗主国。早くからカレーに親しんでいたイギリス人は、カレーが「栄養があり」「大量調理がしやすい」こと、さらに「おいしく」「バリエーションも豊富で飽きがこない」などなどの理由(諸説あり)から、海軍の食事にカレーを取り入れたようだ。
当時、日本では船の乗組員が栄養不足などで脚気(かっけ)に悩まされていたこともあり、イギリス海軍に倣ってカレーを導入。カレーの基となるスパイス類は、実際に古くから薬として食されてきたこともあり、消化や新陳代謝の促進、寒さや暑さに対する適応力の向上、自律神経調整や抗菌作用など、さまざまな面で健康増進に貢献したという。
こうして海自の食文化としてすっかり定着したカレーは、今では横須賀(神奈川)や呉(広島)、佐世保(長崎)、舞鶴(京都)、大湊(青森)など、海上自衛隊の基地がある町では、いわゆる「海軍カレー」(呼び名はそれぞれ地域によって違いあり)として、街の名物になっているのである。
各艦艇のレシピを参考にした本格的な海自カレー
とまあ、店名にまつわるうんちくだけで、ちょっと文字数がかさんでしまったが、こちらのお店のカレーには、さまざまな工夫と楽しみが上乗せされているので、できる限り紹介していこう。
定番は「やっぱり㊎カレー」。海自のレシピを参考にしつつも、牛骨と鶏ガラをじっくり煮込んだスープにスパイスを効かせた同店オリジナルの一品だ。このルーの色合いが、写真を通じてもスパイシーなカレーであることを伝えてくれるはず。値段が750円とリーズナブルなのも、東京のランチの相場を考えるとありがたいところだ。自衛官ばりにがっつり食べたいという方は、ぜひ大盛りでお召し上がりを。
注目はイカスミを使った「市ケ谷ブラック」。潜水艦仕様のオリジナルの器に盛られて、エビフライで波を切って進水(!)してくる。ルーにはエビやイカの旨味がたっぷり溶け込み、海の恵みを堪能できる。
そして、さらなる楽しみは「海自カレー」のオリジナルプレート。各基地や艦艇のレシピを参考にしながら、季節ごとの素材を生かした月替わりメニューを毎月2種類も投入している。このメニュー開発の労力はなかなかのもので、お店の心意気が伝わってくる。
ちなみに、記者が取材した8月は「はやしお特製激辛カレー」(練習潜水艦はやしお)と「鹿屋カレー」(第1航空群)だった。激辛カレーは食べると汗が出るが、これが食欲増進、夏バテ防止にぴったり。激辛を謳っているが、ほどよい辛さで、もっと刺激が欲しい人は独自に唐辛子をプラスする仕組みになっていた。
9月の月替わりメニューは、きのこを使った「たかなみカレー」(護衛艦「たかなみ」)と、チーズを使った「はたかぜカレー」。10月1日(金)からは、岩国航空基地(山口)の「岩国特製れんこんカレー」(写真)と那覇航空基地隊(沖縄)の「愛情たっぷりカレー」(家庭的な具だくさんカレー)が登場する。
1年間通えば、日本各地・各艦艇の海自カレーの雰囲気と日本の四季の恵みをコンプリートすることだって可能で、唐揚げとデザートがついているのもうれしい限りである♪
人気急上昇中の「空自空上げ」が猛追
ここまで、店名にもなっているカレーを紹介してきたが、実は最近、カレーに迫る勢いで人気急上昇中なのが「唐揚げ」だそうだ。
まだ海自カレーほどは広く認知されていないので説明しておくと、航空自衛隊では今、「空自全体で上を目指す」という意味を込めて、各基地の給食で提供されている鶏の唐揚げを「空上げ」と呼称し、絶賛売り出し中なのである。10月1日には、三沢基地(青森県)の「空上げ」が、地域の店舗で販売されるなど、商品化も進んでいる。
その空上げが、同店ではブルーインパルス仕様のオリジナルの器に盛られて着陸。ジューシーな唐揚げが、翼の部分に6個並ぶ様子は壮観だ。
「オリジナルからあげ」の定食は、唐揚げ6個にライス、サラダ、スープが付いて950円。なかなかのボリュームで、人気急上昇というのもうなずける満足度だ。そして海自カレー同様に月替わりメニューがあり(こちらは1種)、10月は空自美保基地(鳥取)の「美保サルサ」が投入される。野菜をふんだんに使い、秋の味覚の梨を使ったさわやかなサルサソースを空上げに乗せ、さっぱりした後口に仕上げている。
もう一つ、空自がらみでお伝えしておかなければならい重大事項がある。なんと航空自衛隊のトップである井筒俊司航空幕僚長が来店され、メッセージノートの冒頭ページにも言葉を残して帰られたそうだ。ちなみにメッセージノートとは、店内に置かれているノートで、来店者が自由に自衛隊へのメッセージを記入するもの。いっぱいになると、お店の方から自衛隊の広報窓口へ届けられるという。
味に関してもお墨付きをいただいたそうなので、空自ファンの皆さん、「空自空上げ」をぜひご体験ください。
最新情報! 海空自に続き、ついに陸自メシも登場
取材時にオーナーの鈴木勲さんがそっと教えてくれたところによると、海自のカレー、空自の空上げに続き、早ければ年内にも陸自に関するメニューが投入されるそうだ。今年開催された「陸自飯グランプリ」で真駒内駐屯地(北海道)の「日本新三大夜景藻岩山ラーメン」がグランプリを獲得したことから、記者は「ラーメンですか⁉」と質問したが、詳しい内容は現時点ではまだヒミツ(メニューを鋭意検討中)とのこと。
また、陸自メニューの登場に合わせて、これまで1階は空、地下1階は海のイメージで内装されていた店内のどこかに陸のコーナーをつくる計画もあるという。陸海空が揃ってこその自衛隊だけに、陸自飯の登場が今から待ち遠しい。
なお、同店はただいま神田カレー街の食べ歩きスタンプラリー(2021年9月1日~2022年1月15日)にも参加中だ。
将来は退職自衛官が働ける場所にしたい
令和3年4月5日にオープンしました。コロナ禍の中でのスタートとなり、正直不安もありましたが、近所のサラリーマンやOLさんにも好評で、自衛隊関係者や自衛隊ファンの応援もあり、まずまず順調なスタートを切れたと思います。
本社(経営母体)が「カレーの街」として有名な神田にあるのですが、このコンセプトでお店を出す以上、1号店はやはり市ケ谷周辺に出したいという思いがあり、場所にはこだわりました。住所は千代田区九段北になりますが、JR市ケ谷駅から徒歩約7分(都営新宿線市ケ谷駅から徒歩3~4分)。靖国神社にも歩いて行ける場所なので、参拝のついでに足を運んでいただけるようになれればうれしいですね。
将来的には、店舗数を増やしていって、退職自衛官の就職の受け皿になろうという目標もあります。これからしっかり頑張って、皆様に長く愛されるお店をつくっていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
食事も雰囲気も楽しめる空間です
お店のデザインコンセプトなどは私が担当しました。1階は空(航空自衛隊)、地下は海(海上自衛隊)をイメージしたカラーリングで、航空機や艦艇の模型を置いたりして、飲食以外の部分でも雰囲気を楽しんでもらえるようにしています。もちろん味には、とことんこだわり、スパイスの配合や唐揚げの味付けなどには毎回、試行錯誤を重ねています。
最近は自衛隊の方からも認知され、自衛隊グッズの種類も増えてきていますので、自衛隊ファンの方にとっては以前にも増して居心地のいいお店になってきたのかなと思っています。ご来店、お待ちしております。
PRESENT
「やっぱりカレーは金曜日だよね」から自衛隊仕様のオリジナルの器(陶器)【海自潜水艦、空自ブルーインパルス】を、それぞれ2名様にプレゼントいたします(計4名)。
▼プレゼントの応募条件
●Instagramから
1.「やっぱりカレーは金曜日だよね」の公式Instagramをフォロー
2.1日の投稿のコメント欄に「潜水艦」か「ブルーインパルス」のご希望をお寄せください→応募完了
▼プレゼントの締め切り、当選発表について
応募受付期間: 10月1日~10月4日23:59まで
当選告知について: 応募いただいたアカウントに対し、当選者の方に数日以内にダイレクトメッセージをお送りし、発送先の情報などをお聞きいたします。当該期間中は「すべてのアカウントからDMを受け取る」の設定にしておいてください。なお、公式アカウント上での当選された方のID等の発表は予定しておりません。
アクセス
やっぱりカレーは金曜日だよね
住所: 東京都千代田区九段北4-1-35 GLAX市ヶ谷一口坂1F
営業時間:11:00~22:00
※緊急事態宣言下では20:00閉店となります。
定休日: 日・祝・不定休