陸自警務隊(隊長・梅田陸将補)による「警務隊鑑識競技会」が12月16日、市ヶ谷駐体育館で行われた。全国の5個方面隊が実施した鑑識競技会を勝ち上がった5チーム(1チーム5人)が参加。鑑識技術の腕を競い合った結果、前回大会に引き続き北部方面警務隊が優勝、2連覇を達成した。準優勝は東部方面警務隊だった。陸自警務隊による競技会は昭和48年に始まり、今回が15回目。
競技会は、鑑識技術の練度向上を促すとともに、士気の高揚と団結の強化を図るのが目的。新型コロナウイルス感染拡大防止のため、部外からの招待や研修を中止し、参加選手や審査員らの入場時の手指の消毒や検温、マスクの着用を徹底した。
競技内容は「参加部隊選手による不正アクセス禁止法違反事案の現場鑑識活動」。サイバー犯罪が増加している近年の傾向を踏まえ、「部隊長室に侵入した不審者により、隊長の業務システム端末(ノートパソコン)からマルウェアのアラート検知がされた旨の通知があった」を想定。実況見分に準じた指揮や指紋、足跡の採取、写真撮影など、現場での作業項目で競い合った。
5個チームの隊員たちは、2時間の競技時間を使い、不審者のものと思われる指紋や足跡などを発見し、採取資料として提出したほか、立証写真の撮影やパソコンの押収手続きなども行った。
審査は中央警務隊の要員が担当。翌日、警察による協力を得て、資料の評価判定が行われ、日頃の練成成果を発揮した北方警務隊が、平成26年の前回大会に引き続き優勝を果たした。
競技終了後、統裁官の梅田警務隊長は、「現場鑑識活動は事件の解決、真相究明のために極めて重要であり、今回の競技会に向けて切磋琢磨せっさたくまして向上した識能に満足することなく、さらに普及、発展させ続けることを期待する」と訓示した。
優勝チームを率いた北方警務隊の横道潤2陸尉は勝因について、「これまでの実務や訓練を通じて蓄積された隊員個々の識能とチームワーク」と話し、パソコンの押収を担当した髙橋寿行陸曹長は、「近年、サイバーやインターネット関連の犯罪が増加しているため、今回の成果を今後の実事件捜査においても生かしていきたい」と意欲を見せた。