【神奈川】海自掃海業務支援隊(司令・高岩1海佐)航法支援科が50年にわたって掃海作業のための航法支援に運用してきた「デッカ航法」が、10月1日で終了することが決まった。
デッカ航法は、英国デッカ社が昭和19年に開発した電波航法の一つ。アンテナ、送受信機、電源で構成される装置を指定の3地点に設置して各地点から電波を送信し、洋上の艦艇がその電波を受信することで自艇の正確な位置を把握できる。
海自掃海部隊の機雷除去任務では、機雷による損害を受けないために正確な艦位を知る必要があり、昭和45年からデッカ航法を運用してきた。3地点を結ぶ最大300キロ(直線で東京から三重県鈴鹿市付近までのエリア)での正確な位置測定が可能で、現在主流となっているGPS(衛星利用測位システム)と同等の精度があり、世界各国で運用されてきた。
航法支援科は、指定地点まで車両で移動して送信局を設定。運用期間中は天幕を設営して24時間態勢で機器の監視と調整に従事してきた。
しかし、GPSが急速に普及したことで、平成13年には北海道のデッカ局が運用停止となり、民間でのデッカサービスが終了。平成15年にはメーカーでの製造中止、平成19年には修理部品の供給が終わり、ついにその歴史に幕を下ろすこととなった。
航法支援科は「世界で唯一、運用を継続してきた海自掃海部隊のデッカが、運用開始から50年の節目に廃止を迎えるのはとても感慨深い」としている。