【新たな試みへ 統合研修②】「制服の色が気にならなくなった」―討議と気付きの1週間|統合幕僚監部

セクション画像
研修初日は緊張していた参加者たちも、数日後には笑顔が増え、活発な議論が交わされた


防衛日報 2026年2月4日付


【新たな試みへ 統合研修①】より続く←前の記事を読みたい方は左をクリック


 14日から15日にかけては、シンジケートディスカッションが行われた。参加者は7~8人程度の少人数グループに分かれ、テーマごとに意見を交わした=写真。

 討議では、統合部隊における最先任の情勢認識や判断力、服務指導の在り方を考えさせるための事例が課題として提示された。

 2日目の課題では、陸海空自の隊員に加え、事務官も在籍する統合の部隊を想定。軍種ごとの慣行や組織文化、世代や立場の違いが交錯する中で、最先任としてどのように向き合うべきかが討論された。

 統合の部隊における服務指導やリーダーシップのあり方が、討議の大きな論点となったという。

 

セクション画像
小グループに分かれ、活発なディスカッションが行われた

 

 討議を進める中で、軍種ごとの組織文化の違いが浮かび上がる場面もあった。

 数字の読み方一つを取っても、海自では「ひと、ふた」、陸自では「いち、に」と異なるなど、普段は意識しない違いが新鮮な驚きや気付きにつながったという。

 各グループでは各幕の最先任らがファシリテーター(進行役)となり、参加者が主体となって意見を交わせるよう補佐し、討論は大いに盛り上がった。ファシリテーターを務めた最先任等にとっても気付きが多く、刺激を受ける機会となったようだ。


セクション画像
各幕の最先任等も討論を補佐し適宜アドバイス


  19日の最終日には、陸海空各自衛隊や統合作戦司令部、統幕で最先任を務める隊員が登壇するパネルディスカッションが行われた。最先任に至るまでの経験談や、その立場ならではの悩みなどが紹介され、参加者が今後の在り方を考える一助となった。

 参加者からは「1週間で制服の色が気にならなくなった」との声も聞かれた。研修初日に松永副長が示した「制服の色を意識することはない」との言葉が、研修を通じて、参加者の実感となった形だ。


セクション画像
真剣な表情で考え続ける参加者たち


 統幕では、今後、統幕最先任等が防衛交流の場に立つ機会は増えると考えている。米軍の最先任が戦略、歴史、安全保障環境を踏まえて発言するように、自衛隊の最先任等にも必要な能力を習得させたいと考えているという。

 

セクション画像
軍種、制服も異なる隊員たちが垣根なく議論し合った


 統幕では本年度、米国側から初めて招待を受け、2月に米軍の統合下士官専門軍事教育課程へ1人を派遣する。

 8年度には、統幕総務部長(J1=人事・教育分野を所掌)が渡米し、米軍の統合参謀組織で人事・教育分野の幕僚と会談し、「日米人事教育幕僚懇談」を実施する構えだ。人事面では統合人材の育成、教育面では統合分野の教育内容を中心に、日米間での連携を探っていくとしている。

 

セクション画像
部隊で起こった事態を想定して討論

 

 各自衛隊が連携し、実動面で一体となって対応する場面が増える中、最先任等が陸海空それぞれの特性を踏まえながら部隊をまとめていく役割の重要性は増しつつある。

 統幕では、今回の研修や日米間での教育交流を通じて得られた知見を踏まえ、最先任等を中心に、部隊全体で統合の視点を意識する素地を広げていくことを念頭に、今後の教育の在り方を検討していく考えだ。


セクション画像
真剣に聞きいる参加者からは熱意が感じられた


【メモ②】

米軍の統合最先任教育とは 

 米国防総省などによると、米軍では、統合部隊の下士官に対して、統合下士官専門軍事教育(EJPME)として、段階的な教育体系が整備されている。

 代表的な課程が、上級下士官が作戦レベルにおける統合部隊の最先任として任務に備える課程の「ゲートウェイ」と、司令部の最先任下士官(CSEL)を対象とした「キーストーン」。

 ゲートウェイは、統合運用の基礎や各軍種の役割、組織文化の違いなどについて理解を深め、統合の視点に触れることを目的とした課程とされている。続くキーストーンは、より最上位の最先任下士官を対象に、戦略環境への理解や、指揮官を補佐する立場としての考え方、多国間・多機関との連携を意識した議論などを行う課程と位置付けられている。

 令和7年度に米国統合下士官専門軍事教育課程の門戸が防衛省・自衛隊に初めて開かれ、今年2月には「ゲートウェイ」に人を派遣する予定だ。


防衛日報PDF閲覧はこちらから