「援護を援護する」第131号 人生の氾濫期を次のステージに押し上げる肥やしにする人になろう

人事採用のプロが教える。国防人のための「使える」キャリアコラム

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どんな順調なキャリアにも、突然すべてが崩れた

ように感じる「氾濫の瞬間」が訪れます。

ですが、その混乱こそが次の成長を運んでくる

肥料になることがあります。ミドルクライシスに

揺れるビジネスマンの実例から、その真実を

読み解いてみませんか。今号はそんなお話です。


自衛隊のみなさま、日々国防の仕事に

従事くださり本当にありがとうございます。

心から感謝いたします。


前回(130回・11/29)は、人生や

ビジネスは「扉のない冷蔵庫」。迷うほどやる気が

溶けてしまう。完璧を待つより、氷=意欲が残る

うちに行動することが成果につながる。常に扉が

開きっぱなしでないか確認し、即行動が大切だ、

という話をしました。


古代エジプト人はナイル川の氾濫を神からの恵みと

して受け止めました。

氾濫が運ぶ肥料が土地を肥やし、翌年の収穫を

豊かにしたからです。


私たちの人生にも、同じような「氾濫の時期」が

訪れます。

特にビジネスマンが直面するミドルクライシスは、

その典型と言えます。

40代半ば、ある管理職の男性は突然成果が

出なくなり、自分でも理由が分からず苦しみました。

部下に追い抜かれる不安、会社の方針転換への

戸惑い。長年積み上げてきた自信が崩れ、

彼はまるで洪水の中に放り込まれたようでした。


その時彼は一度立ち止まり、今の仕事にしがみつく

理由をていねいに見直すことにました。

すると、若い頃には気づかなかった強みや興味が

新たに見えてきたのです。

その後、彼は未経験だった新規事業プロジェクトに

手を挙げ、周囲の支援も得ながら活躍の幅を広げて

いきました。


氾濫のように感じた混乱は、実は自身の肥やしと

なる経験を運んできたのです。不安や停滞の渦中

にいるとき、人は「なぜ自分だけが」と嘆きたくなります。

ですが、ナイル川の氾濫が大地を豊かにしたように、

人生の氾濫もまた私たちを次のステージへ押し上げる

力を秘めています。いま苦しみのただ中にいる人こそ、

その土の下に新しい芽が育ちつつあることを信じて

ほしいのです。


(了)


援護を援護するこのコラムはいつか訪れる

定年後のセカンドキャリアに活かせて、

「使える」再就職・キャリアのポイントを

毎回わかりやすく解説します。

毎週月曜日掲載です。


執筆者:株式会社 求人代表取締役 石塚毅氏

1970年新潟県出身。

前職のリクルートでは年間MVP受賞を

はじめ表彰多数。人事採用のプロ。AC

これまで7000社の採用支援、2万人

以上の個人向けキャリア相談実績あり。

サイパン島で戦死した陸軍少尉の祖父を

持つ