「援護を援護する」第93号 シンプルな答えにリスペクトを持てる人になろう

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タイパの時代はなんでもかんたんに

わかりやすく「答え」にたどりつきます。

だから「答え」がわかるとなんだ、そんなの

たいしたことないよ、と自分でもできそうな

気がします。

でもここには重大な落とし穴が潜んでいます。

今日のコラムはこれがテーマです。


自衛隊のみなさま、日々国防の仕事に

従事くださり本当にありがとうございます。

心から感謝いたします。


さて前回(92号・3/10)は、

脳も鍛えれば鍛えるほど強くなる、

本を読んだり、人の話を聞いたりして

トレーニングすることでどんどん鍛えられて

いく。でも自分で考えないとどんどん老化

していくから、いくつになっても

頭のトレーニングは必要ですよ、という話

をしました。

 

答えを見てかんたんだ、と言っては

いけません。

シンプルな答えは、プロセスが難しいのです。

答えを先に知るのはかんたんです。

スマホでググればすぐにたどりつきます。

 

でも答えはかんたんだからといって、

そのプロセスがかんたんかというと

決してそんなことはありません。

シンプルな答えほど、途中のプロセスは

すごく複雑です。

その人が独自に歩いてきたプロセスは、

すごく厳しかったはずです。

 

難しい山を登るのと同じです。

登山では頂上は1つですが、

登り方が何通りもあり、

頂上もいくつもあることがほとんどです。

正解はいくつもあり1つとは限らない。

たどり着いた人が出した答えを見て、

あんなものは簡単だ、わかっていた

と言ってはいけないのです。

 

やっている人間は大変な思いをして

そこへたどり着いているのです。

自分がもしも苦労しながらその頂上へ

たどり着く道の大変さを知っていたら、

他人の答えを見てあんなものは簡単だ

とは言わなくなります。

なんと素晴らしい答えだろう、と感心

するのです。

 

人が一生懸命考えていることに対して

リスペクトを持てるようになると、

その人の成長レベルはますます

上がっていきます。

今までの自分からもう一段成長すること

ができるのです。

 

コピーライターの文章は短いです。

しかも何でもないシンプルな言葉です。

でもどうしてコピーライティング料は

高いのでしょう?

それはその短い文章にたどり着くまでの

道のりが長いからです。

長い文章を書くより長い道のりを経て

短い言葉に到達しているのです。

文字の数が少ないから簡単だというのは

文字を書いたことのない人の発想です。

難しい言葉を使って長々と書くのは簡単です。

シンプルな言葉で短く表現するのが

一番難しいのです。

 

(了)

 

援護を援護するこのコラムはいつか訪れる

定年後のセカンドキャリアに活かせて、

「使える」再就職・キャリアのポイントを

毎回わかりやすく解説します。

毎週月曜日掲載です。


執筆者:株式会社 求人代表取締役 石塚毅氏

1970年新潟県出身。

前職のリクルートでは年間MVP受賞を

はじめ表彰多数。人事採用のプロ。

これまで7000社の採用支援、2万人

以上の個人向けキャリア相談実績あり。

サイパン島で戦死した陸軍少尉の祖父を

持つ。