「家族として迎えたい」 任務を終えた警備犬第2の人(犬)生へ|航空自衛隊

航空自衛隊 小牧基地

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譲渡会に訪れた引き取り希望家族を見つめる警備犬カイザー号

防衛日報 2026年1月15日付


 基地の警備やテロ防止活動などに従事し、災害時には現場での救援活動にも活躍する自衛隊の警備犬。隊員にとってかけがえのない「バディ」だが、役目を終える時期が来る。

 昨年11月下旬、「第二の人(犬)生」に向けたイベントがあった。

 航空自衛隊小牧基地(司令・鮫島空将補、愛知県小牧市)で、任務を終えた警備犬を一般家庭に引き継ぐ譲渡会が行われた。警備犬たちは大きな役目を終え、多くの隊員に見送られながら穏やかに次の道へ歩み出した。


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譲渡会に集まった多くの引き取り希望家族


 小牧基地では11月21日、「非可動犬譲渡会」が開かれた。この日は警備犬4頭の譲渡に対し、全国から45組73人が来場。参加者は警備犬と直接触れ合いながら、迎え入れに向けた意思を確認した。

 基地によると、「全国津々浦々から多くの方が警備犬のために来てくれたことを大変うれしく思う。警備犬を家族として迎え入れたいという真剣な思いが伝わり、感慨深かった」としている。

 

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基地が里親を募集した譲渡会のお知らせ(小牧基地公式Xから)


 来場者からは「警備犬は怖いイメージがあったが、想像以上に穏やかで人に慣れていることに驚いた」といった声も聞かれた。

 ジャーマン・シェパードの10歳の「マリオ号」(オス)は、高齢に伴う四肢機能の低下で自力歩行が困難な状態にあり、「何とかしてあげたい」と話す希望者に引き取られた。また、同じくジャーマン・シェパードの9歳の「アミ号」(メス)は4人家族に迎えられ、譲渡当日、アミ号が隊員やハンドラーと別れる際、家族が涙を流す場面もあったという。


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4頭の家族が無事決定し12月5日までに引き渡しが終わった(小牧基地公式Xから)


 基地側は譲渡会翌日に譲渡決定を通知し、翌日から順次引き渡しを開始。

 12月5日までに、すべての警備犬の譲渡を終えた。譲渡後は、家庭を訪問して生活環境や健康状態を確認するなど、フォロー体制も整えている。

 

 警備犬の除隊式や譲渡会は、長年任務にあたってきた警備犬をねぎらうと同時に、自衛隊の活動を地域社会に伝える機会ともなっている。基地警備や災害派遣、新たな技術との連携を通じ、警備犬の役割は広がりつつある。

 入間基地での除隊式と小牧基地での譲渡会は、警備犬の活動を支える取り組みの一つといえる。


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来場者と触れ合うテルマ号


小牧基地から譲渡された4頭の警備犬たち 

【テルマ号/ジャーマン・シェパード/10歳/メス】

 基地警備や広報活動に携わり、明るく活発な性格で来場者との触れ合いにも貢献してきた。小さな子供がいる家庭に迎えられ、新たな生活を始めている。



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まじめで一生懸命な性格というマリオ号

【マリオ号/ジャーマン・シェパード/10歳/オス】

 重要防護施設の警備や基地見学などの広報活動に従事してきた。高齢に伴い自力歩行が困難な状態にあったが、状況を理解した希望者により、介助を前提として家庭に迎え入れられた。

 

【アミ号/ジャーマン・シェパード/9歳/メス】

 警備犬としての任務に加え、小牧基地で初めて国際救助犬資格を取得し、救助活動や広報活動に携わった。譲渡前には体調面の変化もみられたが、4人家族の家庭に迎えられた。


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お転婆な性格というアミ号

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八方美人で甘えん坊というカイザー号

【カイザー号/同/10歳/オス】

 基地警備などの任務に従事してきた。生まれた場所で訓練に関わった関係者と約10年ぶりに再会し、その縁から引き取られることが決まった。


 

 基地側は、譲渡後も家庭を訪問し、生活環境や健康状態を確認するなどフォローを続けているという。また、関係者は「これからは警備犬としてではなく、『家庭犬』としてたくさん遊び、穏やかに過ごしてほしい」と話している。