基地の警備やテロ防止活動などに従事し、災害時には現場での救援活動にも活躍する自衛隊の警備犬。隊員にとってかけがえのない「バディ」だが、役目を終える時期が来る。
昨年11月下旬、「第二の人(犬)生」に向けたイベントがあった。
航空自衛隊入間基地(司令・杉山空将補、埼玉県狭山市)で、警備犬の除隊式が行われた。警備犬は、大きな役目を終え、多くの隊員に見送られながら穏やかに次の道へ歩み出した。
基地の警備やテロ防止活動などに従事し、災害時には現場での救援活動にも活躍する自衛隊の警備犬。隊員にとってかけがえのない「バディ」だが、役目を終える時期が来る。
昨年11月下旬、「第二の人(犬)生」に向けたイベントがあった。
航空自衛隊入間基地(司令・杉山空将補、埼玉県狭山市)で、警備犬の除隊式が行われた。警備犬は、大きな役目を終え、多くの隊員に見送られながら穏やかに次の道へ歩み出した。
11月28日、入間基地で行われた警備犬の除隊式には、爆発物探知犬として活躍してきたジャーマン・シェパードの「ヨモギ号」(メス)が部隊を離れた。
ヨモギ号は平成28年2月に同基地に配属され、約10年にわたり任務に従事。12歳となり、年齢による体力の衰えを理由に除隊した。
爆発物探知犬として基地警備やテロ防止活動に従事し、平成30年度に朝霞駐で開催された観閲式では、要人警護の一環として関係施設の爆発物捜索を行い、要人の安全確保に貢献した。
優しい性格で嗅覚にも優れ、任務への切り替えが速く集中力も高かったといい、担当ハンドラー(警備犬専属の担当者)は「心配になるほど、仕事が好きな警備犬だった」と振り返る。
除隊式では、ヨモギ号が隊員に囲まれながら送り出された。式の終盤には隊員たちの「バンザイ」に見送られ、多くの隊員から名前を呼ばれながら拍手を受けた。
らっぱの吹奏も行われ、任務を終えた警備犬をねぎらう温かな雰囲気に包まれた。式には新たな飼い主となる夫婦も出席し、ヨモギ号は引き取られていった。
除隊後は里親家庭で家庭犬として生活する。空自では、警備の任務を果たすことができなくなった警備犬は、売却(入札)または譲渡のほかに終生飼養によって余生を過ごす形を取っており、ヨモギ号も里親家庭で静かな生活を送る。
除隊後も、ハンドラーとはいつでも面会できる体制がとられているという。
空自の警備犬の育成や管理を中核的に担っているのが、入間基地に置かれている警備犬管理班だ。
同班は昭和38年以降、警備犬育成の拠点として、教育や研究、訓練を重ねてきた。同班は警備犬の購入・管理やハンドラーの育成をはじめ、全国規模での集合訓練や教育、在日米空軍との共同訓練の調整、調査研究などを担っている。
こうした取り組みを通じ、警備犬は全国の基地へ配属されている。
警備犬は基地内外の巡回や要所警備、不審物への対応など、基地警備の重要な役割を担う。担当ハンドラーとペアを組み、継続的な訓練を通じて築かれた絆のきずな 下で任務にあたる。その姿は「人犬一体」とも表現されている。
そんな警備犬の活躍は基地警備にとどまらない広がりを見せている。
能登半島地震では、浜松基地所属の警備犬「ジェニファー号」が災害現場で捜索活動に参加し、注目を集めた。平時は警備犬として任務にあたる一方、災害時には救助犬としても派遣され、石川県輪島市内の被災家屋で高齢の女性を発見し、救出につなげた。
近年は、新たな技術との連携を通じた災害対応の在り方も検討されている。
昨年5月、防衛日報社が取材した百里基地での子供向け見学行事では、警備犬とドローンなどの装備が連携する災害救助訓練の展示が行われた。上空から状況を把握する装備と、地上で嗅覚を生かす警備犬を連携させることで捜索活動の効率化や安全確保につながる可能性が示されている。
警備犬の除隊式や譲渡会は、長年任務にあたってきた警備犬をねぎらうと同時に、自衛隊の活動を地域社会に伝える機会ともなっている。基地警備や災害派遣、新たな技術との連携を通じ、警備犬の役割は広がりつつある。
入間基地での除隊式は、警備犬の活動を支える取り組みの一つといえる。