「援護を援護する」第128号 恥をかくことを恐れず脳をバージョンアップさせる人になろう

人事採用のプロが教える。国防人のための「使える」キャリアコラム

セクション画像


恥をかく瞬間こそ、人の脳が最も激しく成長します。  

顔が熱く、心臓が鳴り、逃げ出したくなるあの瞬間  

実はあなたの脳は、眠っていた力を総動員しています。  

恥は痛みではなく、知性を更新するチャンス、今号は

そんなお話です。


自衛隊のみなさま、日々国防の仕事に

従事くださり本当にありがとうございます。

心から感謝いたします。


前回(127回・11/10)は、

出会いは計画できない。

人生を変えるのは、予定外の偶然だ。

電車を乗り過ごした夜のラーメン屋での

出会いが転機になるように、運命の扉は

スケジュールの外側にある。偶然を受け

入れる勇気が人生を面白くしますよ、

という話をしました。


人間は恥をかくとき、最も劇的に変化します。  

恥とは、社会的危機であると同時に、脳に

とっての非常警報でもあるからです。  

私たちの脳は、普段は怠惰な官僚組織の

ように動きます。  

必要最低限の部署だけが稼働し、あとの部署は

「暇な課」として沈黙しています。  

が、恥をかく瞬間、この眠っていた部署が

総動員されます。脳内に「非常招集」がかかり、

休眠中だった回路が呼び起こされるのです。  


ある若手社員が大事なプレゼンの途中で

資料のページをすべて逆順に綴じて配って

しまいました。  

会議室の空気は一瞬にして氷点下になります。  

顔は真っ赤、手は震え、頭は真っ白。  

この「どうにかしなければ」という瞬間に、

脳は全神経を総動員するのです。  

その場を取りつくろうために必死に語彙を探し、

ことばにしてつなぎ、相手の反応を読み取り

ながら、瞬時に最適解を探ります。

  

つまり、恥は脳をフル回転させるトレーニング

であり、新しい神経ネットワークを構築する

契機・機会なのです。  


私自身、かつてあるセミナーで受けた質問に

うまく答えられず、受講者の前でしどろもどろになった

ことがあります。

その帰り道は悔しさと恥ずかしさでどうやって帰ったか

覚えてませんし、その晩は眠れずに関連資料をすべて

1から読み込みました。


たまたま数日後、某社の社長を前に同じテーマで

質問される機会があり、今度は完璧に答えられました。  

あの恥ずかしさがなければ、脳のスイッチは入らなかった

でしょう。  


人間の知的成長とは、恥を避けることではなく、  

恥をかいたあとに「更新」「バージョンアップ」される

自分を信じることなのです。  

恥は脳のリセットボタンです。それを押すのはいつも

あなた自身です。


(了)


援護を援護するこのコラムはいつか訪れる

定年後のセカンドキャリアに活かせて、

「使える」再就職・キャリアのポイントを

毎回わかりやすく解説します。

毎週月曜日掲載です。


執筆者:株式会社 求人代表取締役 石塚毅氏

1970年新潟県出身。

前職のリクルートでは年間MVP受賞を

はじめ表彰多数。人事採用のプロ。AC

これまで7000社の採用支援、2万人

以上の個人向けキャリア相談実績あり。

サイパン島で戦死した陸軍少尉の祖父を