「援護を援護する」第126号 ホームランより大きいキャッチャーフライを打とう

人事採用のプロが教える。国防人のための「使える」キャリアコラム

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人は小さな成功よりも、デカイ失敗をする人の方が

大きく成長するものです。  

ある選手の「空へ消えたフライ」は珍事でした。  

でも一瞬、その場の時を止めてしまうほどのフライ。  

小さくまとまらず、派手に転んでこそ、

スケールのある人間になれる、今号はそんなお話です。


自衛隊のみなさま、日々国防の仕事に

従事くださり本当にありがとうございます。

心から感謝いたします。


前回(125回・10/27)は、

どんな状況も前向きに捉える姿勢が、

人生を「バラ色」に変える。

カフェの主人は、雨も風も商機として楽しみ、

日々の小さな出来事に喜びを見いだす。

物事の見方を少し変えるだけで、世界は

驚くほど明るくなりますよ、という話をしました。


社会人野球のグラウンドには、

時折、理屈の通らない奇跡が転がっています。  


その日、ある打者が放った打球が、

まるで空に吸い込まれるように姿を消しました。  

バットに当たった確かな音。

スタンドもベンチも、次の瞬間には沈黙しました。  

キャッチャーは審判に新しいボールを求め、

淡々と構えを直したのです。

  

ところが。キャッチャーミットの真上から

何かが落ちてきました。  

空を切り裂くような小さな音。  

見上げると、それは行方を失っていた打球でした。  

誰もがもう1度、時間を見失ったのです。  

ホームランよりも高く上がり、

戻ってきたキャッチャーフライ。  

打者はバットを持ったまま、

半歩ほどベンチの方向を見ました。  

その背中には底知れない不気味さが

あったそうです。  


球場のざわめきが戻るまで、わずか数秒。  

しかし、その瞬間だけ、完全に止まっていたのです。


その打者の名前は東芝府中の落合という選手。

そうです。後に25歳でロッテに入団し

3度の三冠王に輝いた落合博満さんです。


(了)


援護を援護するこのコラムはいつか訪れる

定年後のセカンドキャリアに活かせて、

「使える」再就職・キャリアのポイントを

毎回わかりやすく解説します。

毎週月曜日掲載です。


執筆者:株式会社 求人代表取締役 石塚毅氏

1970年新潟県出身。

前職のリクルートでは年間MVP受賞を

はじめ表彰多数。人事採用のプロ。AC

これまで7000社の採用支援、2万人

以上の個人向けキャリア相談実績あり。

サイパン島で戦死した陸軍少尉の祖父を

持つ