前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。
2022年2月19日(土)
ウクライナ問題でG7が緊急外相会合
◯日本時間の19日夜、緊急のG7(主要7カ国)外相会合がドイツで開催され、緊迫するウクライナ情勢をめぐり協議が行われた。会合で各国の外相は「仮にロシアが軍事侵攻すれば、制裁措置を含めた甚大なコストを招く事態になる」という認識で一致した。
日本からは林芳正外務大臣が参加。会合後、オンラインで記者団に対し、「私からは、現下のウクライナ情勢は力による一方的な現状変更を認めないという国際社会の根本的な原則に関わる問題で、欧州の安全保障の問題にとどまるものでなく、日本もウクライナの主権および領土の一体性を一貫して支持し、引き続きG7をはじめとする国際社会と緊密に連携して対応していくと発言した」と述べた。
岸信夫防衛大臣は22日の閣議後の会見で、「2月19日、ロシア大統領府および国防省は、戦略核および非核戦力による『戦略抑止力演習』を実施した旨発表した。ロシアは当該演習でICBM、SLBM、空中発射型ミサイル(ALCM)などのさまざまなミサイルを発射した旨を発表するとともに、ウクライナ周辺に所在する南部軍管区および黒海艦隊も演習に参加した旨、明らかにしている」と状況を説明していた。
2022年2月20日(日)
山村海幕長が米、インドへ 各国海軍との関係強化
◯海上幕僚長の山村浩海将は、日米豪海軍高官3者会談とインド海軍主催多国間共同訓練(MILAN2022)に参加するため、20日に出国した。
日米豪海軍高官3者会談では、インド太平洋地域における日米豪海軍種間協力の課題と今後の方向性について議論。その後、インドでのMILAN2022に参加し、海上自衛隊とインド海軍、参加各国との関係強化を図った。
山村海幕長は、9日間でアメリカ(ハワイ州)とインド(アーンドラ・プラデーシュ州)を訪問し、28日に帰国する。
【行動の概要】
2月20日(日) | 出国、移動(日本~パールハーバー) |
2月21日(月)~2月22日(火) | 3国間会談(日米豪)、2国間会談(日米、日豪) |
2月22日(火)~2月24日(木) | 移動(パールハーバー~ニューデリー) |
2月25月(金) | 2国間会談(日印)、移動(ニューデリー~ヴィシャーカパトナム) |
2月26日(土) | インド海軍主催多国間共同訓練(MILAN2022) |
2月27日(日)~2月28日(月) | 移動(ヴィシャーカパトナム~日本)、帰国 |
2022年2月21日(月)
日・ポーランド防衛協力・交流覚書に署名
◯岸防衛大臣は午後6時30分から約80分間、ポーランドのブワシュチャク国防大臣とオンライン形式で日・ポーランド防衛協力・交流覚書署名式、防衛相テレビ会談を行った。
両大臣は、日・ポーランド間の国家安全保障や防衛協力に関する協力の推進を具体化する覚書への署名を歓迎し、これを契機に両国の防衛協力・交流を一層深化させることで一致した。
続いて防衛相会談を実施し、両国が共通して抱える安全保障上の課題について議論。欧州情勢に関し、ブワシュチャク大臣から、ウクライナ情勢に関するポーランドを含むNATO各国の対応方針に加え、ポーランド・ベラルーシ国境における問題について説明があった。
岸大臣は、日本はウクライナの主権と領土の一体性を一貫して支持しており、力による一方的な現状変更は認められないとし、その上で、ウクライナ国境周辺地域におけるロシア軍の増強の動きについて重大な懸念を持って注視しており、引き続き国際社会と連携して適切に対応していく立場を表明した。
両大臣は、インド太平洋における地域情勢についても意見を交換。岸大臣は、欧州諸国によるインド太平洋地域への関与の高まりを歓迎した。また、NATOおよびEUを通じた協力を含む両国の防衛協力・交流を引き続き活発に進めていくことで一致した。
外交70周年 統幕長が駐日イスラエル大使と懇談
◯統合幕僚長の山崎幸二陸将は、コーヘン駐日イスラエル特命全権大使の表敬を受け、懇談した。
両者は、2022年に外交関係樹立70周年を迎えたことを歓迎するとともに、包括的パートナーシップに基づき、今後も各種の防衛協力・交流を継続していくことを確認した。
山崎統幕長とフィジー国軍司令官が意見交換
◯山崎統幕長は、フィジーのカロニワイ国軍司令官と電話会談を行った。
両者は、火山噴火の被害にあったトンガ王国の被災者支援状況について意見交換を行うとともに、自衛隊とフィジー軍が今後とも防衛協力・交流を通じて連携し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて協力していくことを確認した。
低圧訓練を体験 中曽根防衛政務官「キツかった」
◯中曽根康隆防衛大臣政務官は、航空自衛隊入間基地を訪れ、航空医学実験隊を視察した。
航空医学実験隊は、航空医学に関する調査研究、医学適性検査、航空生理訓練を行っている部隊。航空生理訓練では、低圧訓練装置(チャンバー)を使用した低圧訓練や、遠心力発生装置を使用した耐G訓練などを行い、飛行中における心身機能の効果的な維持、発揮、飛行の安全に寄与している。
中曽根政務官は、部隊の任務などについて説明を受けたほか、実際に低圧訓練を体験し、人体に及ぼす影響とその対策などを確認した。
中曽根政務官は自身のツイッターで、「空を飛ぶということ。それは命をかけるということ。航空自衛隊のお陰で日本の空は守られている。心からの敬意と感謝。それにしても26,500ft(エベレスト頂上)での酸素マスクなし算数はキツかった」と感想を述べた。
「てつのくじら館」がリニューアルオープン
◯改修工事のため臨時休館していた海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)が、21日から見学を再開した。
海上自衛隊についてのプロローグ・エピローグ展示コーナーを新設したほか、歴史や装備を最新の情報に更新。展示解説パネルの文字を大きくし、高齢者や子どもにも分かりやすいデザインとした。音声ガイドシステム(英語にも対応)も導入し、授乳室の設置、バリアフリー化なども図った。
新型コロナウイルス感染防止のため1日4回の入替制を実施しているため、見学の際は同館のホームページやツイッターなどで事前確認を。
自衛隊の大規模接種 5万回突破
◯防衛省は、2月14日(月)から2月20日(日)までに自衛隊が東京・大阪の大規模接種会場で実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数(3回目接種)を発表した。
東京は3万4116回、大阪は1万6690回。前回から大幅に増加し、5万回(5万806回)を突破した。
2022年2月22日(火)
沖縄周辺で海自と米海軍が共同訓練
◯海上自衛隊は19日から22日の間、日米同盟の抑止力・対処力を強化するため、米海軍との共同訓練を行った。
訓練は沖縄周辺で行われ、海自から護衛艦「みょうこう」、米海軍から空母「エイブラハム・リンカーン」、巡洋艦「モービル・ベイ」、駆逐艦「スプルーアンス」が参加した。
日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練を実施
◯航空自衛隊横田基地で令和3年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練が実施された。
中曽根防衛大臣政務官が横田基地を訪問し、日本に飛来する弾道ミサイルなどへの日米共同対処連携要領などをシミュレーションによって演練する様子を視察。中曽根政務官は訓練に参加した隊員を激励した。
第2回気候変動タスクフォースを開催
◯防衛省・自衛隊は、鬼木誠防衛副大臣を座長とし第2回気候変動タスクフォースを開催した。
現在、気候変動を安全保障上の課題ととらえる動きは各国の国防組織にも広がりを見せており、防衛省は「気候変動という課題に的確に対応し、将来にわたり防衛省に与えられた任務・役割をしっかりと果たしていく考えであり、気候変動が安全保障に与える影響や防衛省・自衛隊としての対応などを踏まえ、気候変動に係る戦略を検討していく」としている。
山村海幕長がハワイで日米豪3国間会談
◯22日、山村海幕長は米国ハワイを訪問し、米太平洋艦隊司令官パパロ大将、豪海軍本部長ヌーナン中将との日米豪3国間会談を実施した。
「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、3カ国間で同地域における共通の課題や今後の協力の方向性について意見を交換した。
山村海幕長は20日に日本を出国していた。この後、インドを訪問する。
防衛装備庁と米国防安全保障協力庁が意見交換
◯午後8時から10時、防衛装備庁と米国防安全保障協力庁とのテレビ会議(第6回安全保障協力協議会合)が行われ、鈴木防衛装備庁長官やハーシュ米国防安全保障協力庁(DSCA)長官らが意見を交換した。
会議では、FMS(対外有償軍事援助)調達をめぐる諸課題について協議。両庁の長官は、両国間でFMS調達の合理化などに向けた各種取り組みを推進していくことを確認した。
2022年2月23日(水)
天皇誕生日祝い海自艦艇が満艦飾
◯海上自衛隊は、2月23日の天皇誕生日を記念して各地で満艦飾を行った。
この日、日本海側は降雪量が多く荒天となったが、首都圏では快晴に恵まれ、朝8時に一斉に旗があがると、青い空に鮮やかな色彩の旗がなびいた。
2022年2月24日(木)
20カ国参加 インド太平洋海軍大学セミナー
◯海上自衛隊は2月21日から24日の間、第25回インド太平洋海軍大学セミナーをオンライン形式で実施した。
インド太平洋諸国の海軍大学教官らとの研究会を通じ、学校教育および学校研究の資を得るのが目的。セミナー参加者との意見交換や部隊などの研修を行い、相互理解を深めるとともに、防衛交流を推進した。
参加国はオーストラリア連邦、ブルネイ・ダルサラーム国、カナダ、チリ共和国、フランス共和国、インド、インドネシア共和国、イタリア共和国、マレーシア、ニュージーランド、ペルー共和国、フィリピン共和国、大韓民国、シンガポール共和国、タイ王国、ロシア連邦、 英国、アメリカ合衆国、ベトナム社会主義共和国の計19カ国(日本を除く)。
セミナーでは、各国の海軍大学の教官や海上自衛隊幹部学校職員らが、「インド太平洋の海軍の将来」をテーマに、「海軍はいかに気候安全保障に取り組むか」「海軍はウイルスとの戦いにどのように備えるべきか」「有人水上艦艇は海軍にとって今後も有用なアセットであり得るか」などについて討論した。
鬼木防衛副大臣が船越地区、横須賀地区など視察
◯鬼木防衛副大臣は、海上自衛隊船越地区、横須賀地区、記念艦三笠を訪れた。
海上作戦センターの視察では、自衛艦隊司令部の任務などの概要説明を受けるとともに、海上作戦センターに所在する司令部の長らと意見交換を行った。
海上作戦センターは、陸・海・空自衛隊の統合運用に加え、米軍、関係省庁と緊密に連携するための重要拠点であり、自衛艦隊司令部、護衛艦隊司令部、潜水艦隊司令部など、海上自衛隊の主要な司令部を集約させることにより、各種事態に迅速かつ的確に対応することが可能となっている。
海上自衛隊横須賀地区では、護衛艦「まや」に乗艦し、令和3年度日米共同統合防空・ミサイル防衛訓練を視察。強固なミサイル防衛網を構築し、日米同盟の抑止力・対処力を強化するための日米共同訓練の状況を確認し、訓練に励む隊員を激励した。
鬼木防衛副大臣は記念艦三笠を訪れ、戦艦三笠についての説明を受けるとともに、艦内の展示品を見学。記念艦三笠は世界三大記念艦の一つで、防衛省が所管しており、神奈川県横須賀市の三笠公園で一般にも公開されている(高校生以上は有料)。
岩本防衛大臣政務官が次世代装備研究所を訪問
◯岩本防衛大臣政務官は、防衛装備庁次世代装備研究所(東京都世田谷区)を訪れ、宇宙・サイバー・電磁波といった新たな領域の能力の獲得・強化のほか、高出力マイクロ波発生装置やサイバー攻撃対処技術などの研究について説明を受けた。
次世代装備研究所は、陸・海・空の装備領域に縛られず、宇宙、サイバー、電磁波などの新たな戦闘領域を含む領域を横断し、変化する戦闘様相に対応した次世代の装備の実現に関する研究・試験を行なっている。
豪が北朝鮮の瀬取りを警戒監視
◯防衛省は24日、国連安保理決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対して、オーストラリアが2月下旬から3月下旬までの間、警戒監視活動を行うと発表した。同国の活動は2018年以降10度目。
オーストラリアは、国連軍地位協定に基づき在日米軍嘉手納飛行場を使用して航空機による警戒監視活動を実施する。
防衛省・自衛隊は、「海上自衛隊が国連安保理決議違反が疑われる船舶の情報収集をしており、関係国と緊密に協力していく」としている。
海自護衛艦「のしろ」のロゴマークを公募
◯海上自衛隊は、2022年就役予定の護衛艦「のしろ」(ローマ字表記:JS NOSHIRO)のロゴマーク募集を開始した。
採用作品は、護衛艦「のしろ」のロゴマーク(部隊識別帽や各種グッズのデザイン)として広く使用される。締め切りは令和4年3月25日(金)23時59分(JST)(必着)。
募集要領は海上自衛隊のホームページで確認できる。
https://www.mod.go.jp/msdf/application/noshiro/
2022年2月25日(金)
岸防衛相 ロシアのウクライナ侵攻を非難
〇岸防衛大臣は閣議後、ウクライナ情勢について記者の質問に回答した。
24日、ロシアのプーチン大統領は、ウクライナの一部であるいわゆる2つの「共和国」からの「要請」に応えるとの名目で、軍事作戦の実施を決定。ウクライナ政府は、首都キエフを含む多数の都市がロシアによりミサイル攻撃を受けるとともに、複数の地点へのロシア軍の侵入、攻撃が行われている旨の発表をしている。ロシア軍が多数の弾道ミサイルや巡航ミサイル「カリブル」、多連装砲、航空機などを用いたとの指摘もあり、複数正面からさまざまなアセット・兵力を用いた同時多発的な攻撃を行っていると考えられる。また、ロシアは軍事手段と非軍事手段を組み合わせた、いわゆる「ハイブリッド戦」の手法をとっているともみられる。
今回のロシアの軍事行動は、明らかにウクライナの主権および領土の一体性を侵害し、武力の行使を禁ずる国際法の深刻な違反であり、国連憲章の重大な違反でもある。力による一方的な現状変更は断じて認められず、これは、欧州にとどまらず、アジアを含む国際社会の秩序の根幹を揺るがす極めて深刻な事態で、日本は最も強い言葉でこれを非難する。ロシアに対し、即時に攻撃を停止し、部隊をロシア国内に撤収するよう強く求めるとともに、防衛省として、引き続き関連動向の情報収集・分析に努めていくとしている。
質疑応答については、防衛省・自衛隊のホームページで確認できる。
https://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2022/0225a.html
【お知らせ】
自衛隊・防衛省ウオッチャー「時々刻々」は、コンテンツのリニューアルに向けて来週以降、一時休載といたします。