前週の防衛省・自衛隊の動きをチェックできる週報記事を毎週月曜日の通勤・通学時間にお届けします。

2021年10月23日(土)

海自が南シナ海で日米共同訓練

 ◯海上自衛隊は19日から23日の間、日米同盟の抑止力・対処力を強化するため、南シナ海で米海軍と日米共同訓練を行った。海自の戦術技量と米海軍との相互運用性の向上が目的。

 訓練には海自護衛艦「あきづき」と米海軍の駆逐艦「ミリウス」が参加し、各種戦術訓練を実施した。

画像: 海自が南シナ海で日米共同訓練
画像1: 海上自衛隊 自衛艦隊ツイッターより
海上自衛隊 自衛艦隊ツイッターより

中国海軍艦艇が長崎沖を通過 ヘリ発着艦も確認

 ◯海上自衛隊は午前10時ごろ、長崎県男女群島の南南東約130kmの海域で、中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻の艦載ヘリの発着艦を確認した。

 海自は前日の22日午後1時ごろにも、高知県足摺岬の南約180kmの海域を西進する中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦1隻、ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦1隻、ジャンカイⅡ級フリゲート2隻、フチ級補給艦1隻、ならびにロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦2隻、ステレグシチー級フリゲート2隻、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻を確認していた。

 これらの中国、ロシアの艦艇は、21日に伊豆諸島の須美寿島と鳥島との間の海域を西進したものと同一である。

 防衛省・自衛隊は、海上自衛隊第11護衛隊(横須賀)所属の護衛艦「やまぎり」、第12護衛隊(呉)所属の護衛艦「とね」、第1航空群(鹿屋)のP1哨戒機により、所要の情報収集・ 警戒監視を行った。 また、艦載ヘリの発着艦に対し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させるなどの対応を行った。

画像: 行動概要

行動概要

画像: 中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦(101)(手前)およびロシア海軍ネデリン級ミサイル観測支援艦(331)(奥)

中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦(101)(手前)およびロシア海軍ネデリン級ミサイル観測支援艦(331)(奥)

画像: 中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(172)(手前)およびロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦(564)(奥)

中国海軍ルーヤンⅢ級ミサイル駆逐艦(172)(手前)およびロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦(564)(奥)

画像: 中国海軍ジャンカイⅡ級フリゲート(573)(手前)およびロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦(548)(奥)

中国海軍ジャンカイⅡ級フリゲート(573)(手前)およびロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦(548)(奥)

画像: 中国海軍ジャンカイⅡ級フリゲート(515)

中国海軍ジャンカイⅡ級フリゲート(515)

画像: 中国海軍フチ級補給艦(902)

中国海軍フチ級補給艦(902)

画像: ロシア海軍ステレグシチー級フリゲート(335)

ロシア海軍ステレグシチー級フリゲート(335)

画像: ロシア海軍ステレグシチー級フリゲート(339)

ロシア海軍ステレグシチー級フリゲート(339)

画像: 中国海軍艦艇(右側)、ロシア海軍艦艇(左側)および中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦搭載ヘリコプターZ-9

中国海軍艦艇(右側)、ロシア海軍艦艇(左側)および中国海軍レンハイ級ミサイル駆逐艦搭載ヘリコプターZ-9

画像: 中国海軍艦艇(右側)及びロシア海軍艦艇(左側) 統合幕僚監部 報道発表資料より(一部加工)

中国海軍艦艇(右側)及びロシア海軍艦艇(左側)

統合幕僚監部 報道発表資料より(一部加工)

2021年10月24日(日)

ロシア海軍の艦載ヘリに対し緊急発進

 ◯海上自衛隊は午前10時ごろ、対馬の北東約60kmの海域で、ロシア海軍のステレグシチー級フリゲート1隻の艦載ヘリの発着艦を確認した。

 海自は23日午後10時ごろ、対馬の南西約140kmの海域を北東進したロシア海軍ウダロイⅠ級駆逐艦2隻、ステレグシチー級フリゲート2隻、マルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻を確認しており、艦載ヘリが発着艦したのは、そのうちの1隻。

 防衛省・自衛隊は、艦載ヘリの発着艦に対し、航空自衛隊の戦闘機を緊急発進させるなどして対応した。

日米が南シナ海で共同訓練

 ◯海上自衛隊のインド太平洋方面派遣(IPD21)部隊は19日から24日の間、南シナ海で米海軍と共同訓練を実施した。

 訓練には海自護衛艦「しらぬい」、米海軍の駆逐艦「ヒギンズ」が参加し、日米同盟の抑止力・対処力を強化するとともに、日米が共に行動している姿を示した。

画像1: 防衛省・自衛隊ツイッターより
防衛省・自衛隊ツイッターより
画像1: 海上自衛隊ツイッターより
海上自衛隊ツイッターより

 「あきづき」は、中東方面での情報収集活動を終了し、帰国途上だった。

陸・空の高射部隊が米国で初の協同射撃訓練

 ◯陸上自衛隊第15高射特科連隊(沖縄・八重瀬分屯地)と航空自衛隊第2高射群(福岡・春日基地)が、米国ニューメキシコ州のマクレガー射場で初めての協同射撃訓練を実施した。陸・空高射部隊の協同対処能力を向上させ、総合ミサイル防空の実効性を向上させるのが目的。

 陸上自衛隊は「今後も領域横断作戦に必要な総合ミサイル防空能力を向上させ、わが国の抑止力・対処力を強化していく」としている。

画像1: 陸・空の高射部隊が米国で初の協同射撃訓練
画像2: 陸・空の高射部隊が米国で初の協同射撃訓練
画像3: 陸・空の高射部隊が米国で初の協同射撃訓練
画像: 陸上自衛隊ツイッターより
陸上自衛隊ツイッターより

2021年10月25日(月)

米海軍長官が岸防衛相、山崎統幕長を表敬

 ◯岸防衛大臣、山崎幸二統合幕僚長は、今年8月に着任したデル・トロ米海軍長官の表敬を受けた。

 岸防衛大臣との会談で、両者は日米同盟の抑止力・対処力のさらなる強化や「自由で開かれたインド太平洋」の維持・強化のため、海上自衛隊と米海軍とが引き続き緊密に連携していくことを確認した。

画像1: 防衛省・自衛隊ホームページより
防衛省・自衛隊ホームページより

 また、山崎統幕長との会談では、日米同盟の抑止力・対処力強化のための共同訓練などの推進、F35B戦闘機の発着艦検証などによる相互運用性強化、LSGE(大規模広域訓練)やマラバール(日米印豪共同訓練)など「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けた多国間協力の強化について、認識を共有した。

画像: 統合幕僚監部ツイッターより
統合幕僚監部ツイッターより

護衛艦「あきづき」が沖縄で米豪と共同訓練

 ◯海上自衛隊は、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて連携を強化するため、米海軍、オーストラリア海軍との共同訓練を実施した。

 訓練は沖縄東方の海空域で行われ、海上自衛隊の護衛艦「あきづき」、米海軍の駆逐艦「ベンフォールド」、オーストラリア海軍の駆逐艦「ブリスベン」が各種戦術訓練を行った。

画像1: 護衛艦「あきづき」が沖縄で米豪と共同訓練
画像2: 護衛艦「あきづき」が沖縄で米豪と共同訓練
画像3: 護衛艦「あきづき」が沖縄で米豪と共同訓練
画像2: 海上自衛隊ツイッターより
海上自衛隊ツイッターより

若い世代にも対応 ワクチン1回目接種、東西で大幅増

 ◯防衛省は、10月11日(月)から10月17日(日)までに自衛隊が大規模接種センターで実施した新型コロナウイルスワクチンの接種回数を発表した。東京は1万5983回、大阪は8967回。ワクチン接種の年齢が16歳以上となり、若い世代の1回目の接種にも対応しているため、前週から大幅に増加した。

画像2: 防衛省・自衛隊ツイッターより
防衛省・自衛隊ツイッターより

2021年10月26日(火)

日本とASEANの空軍種が意見交換

 ◯防衛省・自衛隊は、日ASEAN防衛協力の指針「ビエンチャン・ビジョン2.0」に基づく取り組みとして、ASEAN諸国の空軍などを対象に、第2回プロフェッショナル・エアマンシップ・プログラム(PAP)を開催した。

 第2回PAPは、セッション1「国際航空法と規範」、セッション2「航空の安全保障」、セッション3「人道支援・災害救援」から構成され、参加者がそれぞれのテーマについて意見を交換した。

 防衛省・自衛隊からは防衛政策局参事官付、統合幕僚監部運用部運用第2課、航空幕僚監部防衛部防衛課、航空幕僚監部首席法務官付、航空幕僚監部運用支援・情報部運用支援課、航空支援集団などの関係者が参加。オンライン形式で、ASEAN全加盟国とASEAN事務局の空軍士官らと意見交換を実施した。

画像1: 日本とASEANの空軍種が意見交換
画像2: 日本とASEANの空軍種が意見交換
画像2: 防衛省・自衛隊ホームページより
防衛省・自衛隊ホームページより

 防衛省は「日ASEAN空軍種間で、実務的・専門的な知見や認識の共有を促進することができた」としている。

海自がベトナム海軍と親善訓練

 ◯海上自衛隊のインド太平洋方面派遣(IPD21)部隊は、ベトナム海軍との親善訓練を実施した。海自の戦術技量の向上とベトナム海軍との相互理解の推進が目的。

 訓練はベトナム・ハイフォン沖の海空域で行われ、海自護衛艦「しらぬい」とベトナム海軍の哨戒艇「266号」が、戦術運動や通信訓練を行った。

画像1: 海自がベトナム海軍と親善訓練
画像2: 海自がベトナム海軍と親善訓練
画像3: 海自がベトナム海軍と親善訓練
画像2: 海上自衛隊 自衛艦隊ツイッターより
海上自衛隊 自衛艦隊ツイッターより

空自がイタリア空軍と操縦者養成の取り決め

 ◯統合幕僚監部は26日、航空自衛隊がイタリア空軍と「航空自衛隊及び伊空軍間のIFTS
(International Flight TrainingSchool)における教育訓練についての取り決め」について合意したと発表した。航空自衛隊の操縦者の教育をイタリア空軍に委託することで効果的な養成を目指すとともに、イタリア空軍との防衛交流・協力を推進していくのが狙い。
 署名は10月21日に行われた。

 IFTSは、各種戦闘機操縦者の養成を目的に、最新のT346練習機や器材などを用いた教育を実施しているイタリアの学校で、この取り決めにより航空自衛隊の隊員の派遣が可能になる。

画像: 空自がイタリア空軍と操縦者養成の取り決め
画像1: 航空自衛隊ツイッターより
航空自衛隊ツイッターより

米海軍長官が「いずも」で海幕長と懇談

 ◯海上幕僚長の山村浩海将は、護衛艦「いずも」でデル・トロ米海軍長官の訪問を受けた。

 両者は、10月初旬に実施された護衛艦「いずも」でのF35B戦闘機の発着艦検証作業が日米のインターチェンジアビリティに資することを認識し、日米同盟の抑止力・対処力を強化していく必要性を確認した。

 訪問の様子が動画で公開されている。

Twitter: @JMSDF_PAO tweet

twitter.com

岩本防衛政務官が艦艇装備研究所を視察

 ◯岩本剛人防衛大臣政務官は26日、防衛装備庁艦艇装備研究所を訪問した。

 艦艇などの模型を用いた流体力学的な性能評価や、人工的に作った波の中での船体動揺を計測する大水槽などの試験施設を視察した。

画像1: 岩本防衛政務官が艦艇装備研究所を視察
画像2: 岩本防衛政務官が艦艇装備研究所を視察
画像3: 防衛省・自衛隊ホームページより
防衛省・自衛隊ホームページより

 艦艇装備研究所は、船舶や船舶用の機器、水中武器、音響器材、磁気器材、掃海器材それぞれに関する研究や、これらをシステム化する技術を研究する、海洋分野の研究所。日本の生命線である海上交通の安全確保のために必要となる技術の獲得のため、研究・開発に取り組んでいる。 

2021年10月27日(水)

空自1高射群が防大で初のPAC3機動展開訓練

 ◯航空自衛隊第1高射群(埼玉・入間基地)は、防衛大学校(神奈川県横須賀市)で初めて、地対空誘導弾「PAC3」の機動展開訓練を実施した。

画像1: 空自1高射群が防大で初のPAC3機動展開訓練
画像2: 空自1高射群が防大で初のPAC3機動展開訓練
画像2: 航空自衛隊ツイッターより
航空自衛隊ツイッターより

 PAC3は、敵の弾道ミサイルを地上から迎撃できる地対空誘導ミサイルで、北朝鮮がミサイル発射を繰り返す中、弾道ミサイル対処に係る戦術技量を向上させるのが目的。

山崎統幕長が英国防参謀総長とテレビ会談

 ◯統合幕僚長の山崎幸二陸将は、イギリス国防参謀総長ニコラス・カーター陸軍大将とテレビ会談を行った。

 両者は、厳しさを増す安全保障環境について意見を交換するとともに、9月の英空母打撃群の日本寄港、米・蘭を含めた多国間での共同訓練の成果と意義を確認した。また、今後の日英間の防衛協力・交流に関して議論し、「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向け、日英の協力関係を一層強化していくことで一致した。

画像: 山崎統幕長が英国防参謀総長とテレビ会談
画像: 統合幕僚監部 報道発表資料より
統合幕僚監部 報道発表資料より

砕氷艦「しらせ」が南極へ向け出港

 ◯海上自衛隊の砕氷艦「しらせ」は、第63次南極地域観測に対する協力の任務にあたるため、横須賀を出港した。

 出国行事では、しらせ艦長が統合幕僚副長に出国報告を行い、横須賀音楽隊の行進曲「軍艦」の演奏に合わせ派遣隊員が乗艦。

画像1: 砕氷艦「しらせ」が南極へ向け出港
画像: 海上自衛隊 横須賀地方総監部ツイッターより
海上自衛隊 横須賀地方総監部ツイッターより

 「しらせ」は14日間の停留隔離を経た後、CH101輸送ヘリコプター×2機とともに、日本と昭和基地間の人員や物資の輸送など、さまざまな任務にあたる。

画像2: 砕氷艦「しらせ」が南極へ向け出港
画像4: 防衛省・自衛隊ホームページより
防衛省・自衛隊ホームページより

2021年10月28日(木)

オーストラリアが北朝鮮の瀬取りを警戒監視

 ◯防衛省は28日、北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対し、オーストラリアによる警戒監視活動が始まったと発表した。

 国連安保理の決議により禁止されている北朝鮮籍船舶の「瀬取り」を含む違法な海上活動に対し、オーストラリア海軍フリゲート「ワラマンガ」が10月下旬以降、日本の周辺海域で警戒監視活動を開始した。オーストラリア海軍としては、2018年度以降6度目。

 防衛省は、「北朝鮮の完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法でのすべての大量破壊兵器、およびあらゆる射程の弾道ミサイルの廃棄の実現に向け、国際社会が一致団結して、国連安保理決議の実効性確保に取り組んでいく観点から、こうした取り組みを歓迎する」としている。

画像: オーストラリア海軍フリゲート「ワラマンガ」 防衛省提供

オーストラリア海軍フリゲート「ワラマンガ」

防衛省提供

2021年10月29日(金)

大量破壊兵器などの拡散阻止訓練に参加

 ◯自衛隊は28、29の両日、シンガポールが主催した「拡散に対する安全保障構想(PSI)」訓練「Deep Sabre 21」に参加した。PSIは「Proliferation Security Initiative」の頭文字。

 大量破壊兵器などの拡散阻止に係る活動要領を演練することにより、自衛隊の当該活動に係る技量を向上させるとともに、国内関係機関との連携強化、参加国関係機関との相互理解の深化を図るのが目的。

 自衛隊からは統合幕僚監部2人、陸上自衛隊中央特殊武器防護隊1人が参加。ほかに外務省、警察庁、財務省・税関、海上保安庁が参加し、参加者はアカデミック・セッション、机上訓練、CBREシンポジウムをテレビ会議方式で行った。

 ※CBRE は、Chemical, Biological, Radiologicaland Explosive=化学、生物、放射性物質および爆発物のこと


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